つい先程、かねてから「iPhone SE 4」と噂されていた「iPhone 16e」が発表されました。簡単にかいつまむと、色はホワイトとブラックの 2 種類。128GB スタートで、予約は 2025年2月21日午前10時から。発売は 2025年2月28日です。価格は予想より高くて 9万9,800円からです。
気になるのは、iPhone 16e と iPhone 16 の性能や価格はどれだけ違うのかという点。この記事では、2 つの機種のスペックを比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
iPhone 16e と iPhone 16 の比較表
一番わかりやすいのは比較表だと思いますので、主要な仕様について比較表にしてみました。主に色がついて項目で変更点があります。
項目 | iPhone 16e | iPhone 16 |
価格 | 99,800円(税込)から | 124,800円(税込)から |
チップ | 4コアGPUを搭載したA18チップ | 5コアGPUを搭載したA18チップ |
ストレージ | 128GB/256GB/512GB | 128GB/256GB/512GB |
カメラシステム | ツーインワンの48MP Fusionカメラシステム | 先進的なデュアルカメラシステム(48MP Fusion + 12MP超広角)、カメラコントロールに対応 |
超広角カメラ | 非搭載 | 12MP超広角カメラを搭載 |
ビデオ再生時間 | 最大26時間 | 最大27時間 |
デザイン | ガラスの背面とアルミニウムのデザイン、ブラックとホワイトの仕上げ、Ceramic Shieldで保護 | カラーインフューズドガラスの背面とアルミニウムのデザイン、ウルトラマリン、ティール、ピンク、ホワイト、ブラック、最新世代のCeramic Shieldの前面 |
Dynamic Island | 非搭載 | 搭載 |
アクションボタン | 搭載 | 搭載 |
カメラコントロール | 非搭載 | 搭載 |
ディスプレイ | iPhone 16と同じコントラスト比のOLEDディスプレイ 最大輝度800ニト(標準) ピーク輝度1,200ニト(HDR) | iPhone 16eと同じコントラスト比のOLEDディスプレイ 最大輝度1,000ニト(標準) ピーク輝度1,600ニト(HDR) ピーク輝度2,000ニト(屋外) 最小輝度1ニト |
iOS | iOS 18を搭載 | iOS 18を搭載 |
Apple Intelligence | 対応 | 対応 |
通信機能 | Wi-Fi、5G通信、eSIMに対応。携帯電話通信やWi-Fiが利用できない場合は、衛星に接続して緊急サポートを求めることが可能 | Wi-Fi、5G通信、eSIMに対応。携帯電話通信やWi-Fiが利用できない場合は、衛星に接続して緊急サポートを求めることが可能 |
モデム | Apple C1 モデム | Qualcomm Snapdragon X75 モデム |
Wi-Fi/Bluetooth | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.3 | Wi~Fi 7 Bluetooth 5.3 |
環境への配慮 | 再生素材を30%以上使用、筐体に85%再生アルミニウムを使用 | 再生素材を30%以上使用 |
MagSafeワイヤレス充電 | MagSafe充電非対応(最大7.5WのQiワイヤレス充電対応) | 最大25WのMagSafeワイヤレス充電(30W以上のアダプタを使用) |
気になるポイント
比較表を見ても分かる通り、見た目は近いですが性能面では結構違いがあります。ここでは、特に注目すべきポイントをまとめます。
チップ性能
iPhone 16e と iPhone 16 は、どちらも A18 チップを搭載していますが、GPU のコア数に違いがあります。iPhone 16e は 4コアGPU、iPhone 16 は 5コアGPU を搭載しています。グラフィック処理性能(主にゲーム)を重視するなら、iPhone 16 の方が若干快適に使えるかと思います。特に 3D ゲームなど、グラフィックスを多用するアプリではこの違いが効いてきます。
ただし、メッセージやメール、写真撮影など、普段使いの範囲なら、GPU のコア数による違いはほとんど体感できないと思います。ですので、ゲームをガッツリ遊ぶ予定がない方は、この点はあまり気にしなくて大丈夫です。
カメラ
iPhone 16eは、4,800 万画素の Fusion カメラを採用し、2つのレンズが1つのシステムとして連携するシングルレンズタイプです。恐らく iPad mini で使われているカメラとほぼ同等でしょう。画素数は十分なレベルなので、日常的な写真撮影であれば、十分な性能を発揮できると思います。
一方、iPhone 16はメインカメラに加え、1,200 万画素の超広角カメラも搭載しており、2つのレンズを切り替えて撮影が可能です。また、カメラコントロールを搭載しているので、撮影設定をきめ細かく調整するなど、カメラの扱いやすさはこちらの方が上です。具体的には、次のような点で優れています。
- 広い風景や建物全体を1枚に収められる超広角撮影
- より正確な露出調整や色調整が可能
- プロ仕様の撮影設定オプション
写真撮影を趣味としている場合や、SNSで写真を頻繁にアップしている人の場合、iPhone 16 の方がカメラの自由度は高いと言えます。
ディスプレイの輝度
まず注目したいのがディスプレイの輝度(明るさ)です。iPhone 16e と 16 では次のように違います。
- iPhone 16e
最大輝度(標準):800ニト
ピーク輝度(HDR):1,200ニト - iPhone 16
最大輝度(標準):1,000ニト
ピーク輝度(HDR):1,600ニト
ピーク輝度(屋外):2,000ニト
最小輝度1ニト
このように屋外でのピーク輝度が大きく異なっており、iPhone 16 の方が直射日光下でも見やすいディスプレイです。また、HDRコンテンツの表示においても、iPhone 16 の方がより鮮やかでダイナミックな映像を楽しめます。
MagSafe
個人的にちょっと痛いなと思ったのは、iPhone 16e は MagSafe に非対応な点です。MagSafe はご存知の通り、専用の充電器を使用すると最大 25W の高速ワイヤレス充電が可能。これだけではなく、磁石によっていろいろなアクセサリ(MagSafe対応のカードケースや車載ホルダー、モバイルバッテリー、SSDなど)が使えます。
しかし、iPhone 16e は MagSafe に対応していないため、MagSafe のアクセサリが使えません。一応、ワイヤレス充電は従来の Qi 規格には対応しているので、最大 7.5W までのワイヤレス充電はできます。ただ、磁石でくっつけて充電できないので、充電の際はパッドの上で正確な位置を探す必要があります。
もし、MagSafe に慣れた体の人や、すでに MagSafe 対応アクセサリを持っている人にとっては、使い勝手の点でかなり痛いポイントじゃないかなと思います。
カラーバリエーション
iPhone 16e のカラーバリエーションはホワイトとブラックの 2 種類。iPhone 16 はブラック、ホワイト、ピンク、ティール、ウルトラマリンの 5 種類だったので、ちょっと寂しいです。
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Dynamic Island
iPhone 16 は「Dynamic Island」と呼ばれる通知システムを搭載していますが、iPhone 16e は従来型のノッチデザインを採用しています。
Dynamic Island とは、画面上部の切り欠き部分を単なるカメラやセンサーの収納スペースとしてではなく、インタラクティブな通知エリアとして活用する機能で、次のような場面で特に便利に使えます。
- 音楽再生中の操作
再生中の曲の情報が Dynamic Island に表示され、タップするだけで操作画面を開ける
別のアプリを使用中でも、音楽のコントロールにすぐにアクセスできる - タイマーの確認
設定したタイマーの残り時間をDynamic Islandでリアルタイムに確認できる
アプリを切り替えても、常に目に入る位置で時間を確認できる - 電話やAirDropの進行状況
通話中の状態や、ファイル転送の進行状況が視認性の高い形で表示される
マルチタスク中でも重要な情報を見逃しにくくなる
つまり、iPhone 16e は「Dynamic Island」を採用していないため、これらの便利な機能が使えず、通知などは従来通りに画面上部から降りてくる形で表示されます。ただし、基本的なスマートフォンの機能を使用する範囲では、Dynamic Island 非搭載でも特に支障はなく、利便性が若干落ちると思えば OK です。その点を踏まえて、この機能の必要性を判断すればいいと思います。
その他
内部的な点ですが、通信機能を担うモデムというパーツですが、iPhone 16e からはアップル純正の「Apple C1 モデム」に変更されています。これの影響かどうかはわかりませんが、対応する Wi-Fi 規格は「Wi-Fi 6」となりました。
iPhone 16 は「Wi-Fi 7」に対応していますので、この点は少し後退しています。ただ、Wi-Fi 7 で通信するには対応ルーターが必要なので、これの影響はそれほど大きくないと思います。
価格
最も気になるのが価格です。Apple ストアで購入できる SIM フリーモデルの価格を比較してみました。
モデル | 128GB | 256GB | 512GB |
iPhone 16e | 9万9,800円 | 11万4,800円 | 14万4,800円 |
iPhone 16 | 12万4,800円 | 13万9,800円 | 16万9,800円 |
表を見て分かる通り、それぞれ 2万5,000円の価格差ですね。性能面で大きく違うのは、ここまで書いてきた部分になるので、これらの性能を求めていないのであれば、iPhone 16e の方がお得感が強いと思います。ただ、カメラなどの性能を考えるとちょっと微妙な感じもします。
ちなみにアメリカでの販売価格は 599 ドルスタートです。つまり、為替レートは 1 ドル 160 円ぐらいで計算している感じですね。円安の影響が強く出ています。
正直、iPhone SE 第3世代は 7 万円を切る高コスパモデルだったので、10 万弱の価格設定は思ったよりも高くなっているなという印象。廉価版のモデルと考えると、手が出しにくい印象を受けます。
まとめ:思ったより高い
ようやく発表された廉価版の iPhone ですが、思ったより高いというのが本音です。性能面は iPhone 16 に近いので、それ相応の価値はあると思いますが、やはり 10 万近いとなると話が違ってきます。すでに書きましたが、アメリカでは 599 ドルスタートなので、円安の影響をもろに受けている印象ですね。
あと地味に痛いのが、MagSafe 非対応な点。MagSafe は充電だけではなく、いろいろなアクセサリが使えるところに魅力があるわけですが、これらのアクセサリが使えないのは非常に残念です。Apple Intelligence 狙いで iPhone 14 から移行を考えていた人の場合、もし MagSafe アクセサリを使っていたら使えなくなってしまいますからね。
というわけで、iPhone 16e について、主に iPhone 16 と比較する形でまとめてきました。性能面は本当に問題ないと思いますが、価格などはやはり引っかかるところ。ただ、一番安い iPhone であることは間違いないので、これから iPhone レビューする人や、買い替えを考えている人にとって、検討する価値はあると思います。
ただ、自分だったら、楽天モバイルでまだ販売している iPhone 15 Pro を検討しちゃうかもなぁ。と考えるところです。
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