2025年10月以降、Windows業界でちょっとした話題になっているのが「Windows 11 26H1」というバージョンコードです。いつものようにMicrosoftから公式発表があったわけではなく、コミュニティや技術系メディアで「こんなコードが見つかったぞ!」という報告が相次いでいるんですよね。
Windows 11を使っている方なら、「24H2」とか「23H2」といったバージョン番号を目にしたことがあるはず。これは年と期(H=Half)を組み合わせた命名規則で、例えば「24H2」なら2024年後半のアップデートという意味になります。となると「26H1」は2026年前半のアップデート…ということになりそうですが、実はそう単純な話ではありません。
そこで、Windows 11 26H1について現時点でわかっていること、そしてまだ不確定な部分を整理してお伝えします。
「26H1」はどうやって発見されたのか?
最初にこの話題が大きく広がったのは、2025年10月下旬のこと。TechRadarやWindowsReportといった海外の技術系メディアが、「Microsoftの内部文書やコードの中に26H1という記述を発見した」と報じたのがきっかけです。
特に注目されたのが、Microsoftが提供している「Known Issue Rollback(既知の問題のロールバック)」というシステムの更新プログラムコード。具体的には「KB5066791」という更新プログラムの中に、「SUPPORTED_Windows_11_0_26H1_Only」という記述が含まれていたことが確認されました。
これがなぜ重要かというと、今までこのような公式ドキュメント内で新バージョンのコードが見つかったことがほとんどなかったからです。通常、新しいWindowsのバージョンは、公式発表がある程度近づいてから表に出てくることが多いのですが、今回はかなり早い段階で痕跡が見つかったということになります。
NichePCGamerやNeowinといったWindows情報に強いメディアも、「これは初の公式記述かもしれない」として記事を公開。業界ウォッチャーやInsiderプログラム参加者の間で、「いよいよ2026年の大型アップデートが動き出すのか」と話題になりました。
わかっていること:ARM版Windowsへの限定配信?
複数の情報源を総合すると、Windows 11 26H1について現時点で確度が高いと考えられているのは次の点です。
Snapdragon X2 Elite搭載デバイス向けのリリース
最も有力な情報として挙がっているのが、26H1はSnapdragon X2 Eliteを搭載したARM版Windowsデバイス向けの限定アップデートという説です。
Snapdragon X2 Eliteというのは、Qualcomm(クアルコム)が開発した最新世代のプロセッサで、いわゆる「Copilot+ PC」と呼ばれる新しいカテゴリのWindows PCに搭載される予定のチップ。従来のIntelやAMDのプロセッサ(x64アーキテクチャ)とは異なるARM系のアーキテクチャを採用しており、バッテリー持続時間やAI処理能力に優れているのが特徴です。
WindowsForumやTechRadarの報道によれば、26H1はこれらの新世代ARM搭載PCに先行してリリースされ、従来型のIntel・AMD搭載PCには配信されない可能性が高いとのこと。つまり、多くの一般ユーザーが使っているPC向けではなく、特定の新機種向けの「先行版」のような位置づけになるということですね。
なお、ARM版Windows PCについては、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
AI機能強化が中心になる可能性
Copilot+ PCという名前からもわかるように、これらの新型デバイスは「Copilot」というAIアシスタント機能を前面に押し出した製品です。26H1では、こうしたAI関連の新機能や改良が盛り込まれると予想されています。
具体的にどんな機能が追加されるのかは現時点では不明ですが、画像生成やテキスト編集、システムの最適化など、AIを活用した機能が強化される可能性は十分に考えられます。
一般PC向けは「26H2」で統合?
では、Intel CPUやAMD CPUを搭載した従来型のPCはどうなるのか──という疑問が出てきますよね。
複数のメディアが指摘しているのは、一般PC向けには2026年後半に「26H2」としてリリースされるのではないか、という見方です。つまり、ARM版で先行投入された機能や改良を、後半のアップデートで全体に展開するという段階的なリリース戦略が取られる可能性があります。
過去にもMicrosoftは、特定のデバイスや地域で先行してテストを行い、問題がないことを確認してから広く展開する手法を取ったことがあります。今回もその流れに沿った形になるのかもしれません。
まだわからないこと:変更や統合の可能性も
「26H1」については、まだ不確定な要素がたくさんあります。
正式名称は「26H1」で確定ではない
まず、「26H1」という名称が最終的なものとは限らないという点です。
過去にも、開発段階で使われていたコードネームやバージョン番号が、正式リリース時には変更されたケースがありました。例えば、Windows 11の大型アップデートも、当初の予定から時期やバージョン名が変わったことがあります。
YouTubeのWindows情報チャンネル「PhantomOfEarth」なども、「内部コードとして26H1が使われているのは事実だが、正式名称や配信時期はまだ流動的」という見方を示しています。
限定リリースではなく統合される可能性
「ARM版だけに26H1を配信して、一般PCは26H2で」という二段階リリース説が有力視されていますが、これも確定情報ではありません。
もしかすると、開発の進捗によっては、すべてのデバイス向けに統合した形で2026年前半にリリースされる可能性もゼロではありません。あるいは逆に、ARM版の先行リリース自体がキャンセルされて、最初から26H2として全体リリースされる可能性だってあります。
具体的な機能内容は不明
「AI機能が強化される」という予想はあるものの、具体的にどんな機能が追加されるのか、どのような改良が行われるのかについては、現時点でほとんど情報がありません。
UIデザインの変更があるのか、パフォーマンス改善はどの程度なのか、セキュリティ強化の内容は──といった詳細は、今後の続報や公式発表を待つしかない状況です。
公式発表を待つことの重要性
このように、Windows 11 26H1に関する情報は、現時点ではあくまでコード内の痕跡や業界関係者の分析に基づいた推測の域を出ていません。
Microsoft公式からの正式発表は一切なく、リリース時期も、対象デバイスも、搭載機能も、すべて「おそらくこうだろう」というレベルの話です。
Windows関連の情報を扱うメディアは信頼性の高い情報源ですし、過去の実績からも彼らの予想はかなり当たることが多いのですが、それでもやはり公式発表があるまでは「可能性の一つ」として受け止めておくべきでしょう。
特に、購入を検討しているPCが「26H1対応かどうか」を気にする必要は今のところありません。仮に26H1がARM版限定でリリースされたとしても、一般的なIntel・AMD搭載PCは26H2で同等の機能を受け取れる可能性が高いですし、焦って判断する必要はないということですね。
今後の注目ポイントと情報の追い方
Windows 11 26H1に関心がある方が、今後どんな点に注目すればいいかをまとめておきます。
Insider Programのビルド情報をチェック
Microsoftは、正式リリース前の新機能を試せる「Windows Insider Program」というプログラムを提供しています。DevチャネルやCanaryチャネルと呼ばれる、より早い段階のビルドで、26H1と思われるバージョンがリリースされる可能性があります。
普段Insider Programに参加していない方でも、技術系メディアがこれらのビルドについてレポートを出すので、そちらをチェックするだけでも十分です。
Snapdragon X2搭載デバイスの発売情報
2026年前半にかけて、Snapdragon X2 Eliteを搭載した新しいCopilot+ PCが各メーカーから発表・発売される見込みです。これらのデバイスがどんなWindows 11バージョンを搭載してくるのかは、26H1の存在を確認する上で重要な手がかりになります。
Microsoft公式ブログと技術文書
Microsoftの公式ブログ(Windows Blog)や、開発者向けのドキュメントサイトでは、定期的に新機能や今後の計画について情報が公開されます。26H1について何か動きがあれば、まずこうした公式チャネルで発表される可能性が高いでしょう。
現時点では、Windows 11のリリース情報ページにも26H1に関する記述はまったくありません。今後、このページが更新されていないかを定期的にチェックするのも一つの方法です。
業界ニュースサイトの続報
今回紹介したTechRadar、WindowsReport、Neowinといったメディアは、Windows関連の情報を素早く、正確に報じることで知られています。26H1に関する新しい情報が出れば、こうしたサイトが最初に取り上げる可能性が高いので、気になる方はブックマークしておくといいかもしれません。
まとめ:期待と冷静さのバランスを
Windows 11 26H1は、2026年に登場するかもしれない新しいバージョンとして興味深い存在です。特に、ARM版Windowsの進化やAI機能の強化という文脈では、今後のPC業界の方向性を占う上でも注目したいところ。
ただし、現時点ではあくまで「噂」や「推測」の段階。公式発表を待たずに過度に期待したり、購入判断を急いだりする必要はありません。
情報が出てきたら「へえ、そうなんだ」と楽しむくらいのスタンスで、焦らず続報を待つのがいいでしょう。Windows 11は今後も定期的にアップデートが続いていくので、26H1が出ようが出まいが、PCは確実に進化していきます(本当に進化?というアップデートもありますが)。
また何か新しい情報が入ったら、記事をアップしていきたいと思います。


