昨晩、突如として新しい iPad が発表されました。いずれも前モデルから順調にスペックがアップしたマイナーチェンジモデルといった感じです。ただ、スペックが上がったことにより、できることが増えているポイントもあります。そこで、新しい iPad の情報を詳細にまとめていきます。
iPad （A16）：コスパが向上したエントリーモデル
エントリーモデルの iPad は約 2 年半ぶりに刷新されました。
新型 iPad（A16）は、お値段据え置きながらも性能が大幅に向上し、日常使いから軽いクリエイティブ作業まで幅広く対応できるように設計されています。
スペック
iPad（A16）の主なスペックは次の通りです。
- チップ
A16 チップを搭載 - ディスプレイ
11インチの Liquid Retina ディスプレイ（2360×1640ピクセル、264ppi）。True Tone対応で最大500ニトの明るさ - ストレージ
128GB、256GB、512GB の 3 構成（前世代は64GBと256GBの2構成） - カメラ
フロントカメラ：1,200 万画素超広角カメラ（Center Stage対応）
リアカメラ：1,200 万画素広角カメラ（f/1.8） - その他
Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.3
Touch ID（トップボタンに内蔵）
最大 10 時間のバッテリー駆動時間 - アクセサリ
Apple Pencil（第 1 世代および USB-C 対応）に対応
Magic Keyboard Folio に対応 - 価格
Wi-Fi モデルは 5万8,800 円から、Wi-Fi + Cellular モデルは 8万4,800 円から - カラー
ブルー、ピンク、イエロー、シルバーの4色展開
前世代モデルとの比較
前モデルから変更された点をピックアップすると次のようになります。
- プロセッサが A14 Bionic から A16 にアップグレード（約30%高速化）
- ベースモデルのストレージが 64GB から 128GB に倍増
- セルラーモデルが nano-SIM スロットを廃止し、eSIM のみに変更
- 重量が Wi-Fi モデルで 2g 軽量化（477g）
- ディスプレイサイズの呼称が 10.9 インチから 11 インチに変更（実際のサイズは変わらず）
チップ性能が向上
大きな特徴はチップ性能が向上している点ですね。A14 Bionic から A16 チップにアップグレードされたので、アプリの動作などはかなり快適になっていると思います。この A16 チップは、iPhone 15 に搭載されています。ただし、iPad に搭載されているチップは、iPhone 15 のチップより若干性能が落ちます。
（iPad：5コアCPU、4コアGPU iPhone15：6コアCPU、5コアGPU）
ストレージが倍増でお値段据え置き
ストレージ構成が増えて、スタートの容量が変わったのも特徴です。前モデルでは 64GB スタートで、64GB と 256GB の2構成でしたが、iPad（A16）では、128GB スタートで、128GB / 256GB / 512GB の3構成になりました。このようにストレージ容量が倍増し、チップ性能も向上しながら、価格は前モデルから据え置きなので、純粋に性能アップしたマイナーチェンジモデルといえます。
ここは注意
順当に進化した iPad（A16）ですが、いくつか注意点があります。
ディスプレイの大きさは変わっていない
ディスプレイサイズが「11インチ」と表記されていますが、実際のサイズは前モデルと同じです。ただ、画面サイズの呼び方が「11インチ」に変更されたということです。最近のアップルは、ディスプレイサイズは小数点以下を表記せず、四捨五入したインチ数を表記しています。このため、今回は「11 インチ」となっているわけですね。
Apple Intelligence に非対応
アップルの生成 AI「Apple Intelligence」には非対応です。エントリーモデルのため、非対応ということだと思いますが、非常に残念なポイント。そのため、アプリから文章を生成したり、画像を加工したりといったスムーズな AI 利用ができません。もちろん、他の生成 AI アプリなどを使えば、それらの AI は使えますので、必要に応じてそれらのアプリを使うということになりますね。
なお、Apple Intelligence は👇の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。
Apple Pencil は第 1 世代と USB-C にのみ対応
Apple Pencil は前モデルと同様に、Apple Pencil は第 1 世代と USB-C にのみの対応となりました。つまり、筆圧検知が必要な場合は第 1 世代の Apple Pencil を使わなければなりません。第 1 世代は Lightning 端子なので、iPad（A16）と繋ぐには変換アダプタが必要です。これはかなり不便に感じる点ですね。せめて第 2 世代に対応してほしかったです。
筆圧検知が不要なら Apple Pencil（USB-C）が使えますが、1万円オーバーな高価な製品なので、互換ペンでもいいかもしれませんね。
どんな人におすすめ？
iPad（A16）は最も安価でそこそこに使える「ザ・エントリーモデル」といった感じです。そのため、次のような方におすすめかと思います。
- 動画視聴やウェブブラウジング、SNS利用がメインの方
- 学生やビジネスパーソンで、軽いメモや資料閲覧を行う方
- 初めてiPadを購入する方や、コストパフォーマンスを重視する方
とにかくコスパ重視で、サクッと使う分には向いているモデルです。Apple Intelligence のことだけ目を瞑れば、普段使いには問題ありません。
iPad Air（M3）：パワフルな M3 チップを搭載したミドルモデル
iPad Air は昨年に引き続いて、新型が登場しました。iPad Air（M3）は、M3 チップを搭載し、クリエイティブ用途やマルチタスクにより最適化されています。
スペック
iPad Air（M3）の主なスペックは次の通りです。
- チップ
M3 チップを搭載 - ディスプレイ
11 インチ（2360×1640ピクセル）または 13 インチ（2732×2048ピクセル）の Liquid Retina ディスプレイ - ストレージ
128GB、256GB、512GB、1TB の 4 構成 - カメラ:
フロントカメラ：1,200 万画素（Center Stage対応）
リアカメラ：1,200 万画素広角カメラ（4Kビデオ撮影対応） - その他
Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.3
Touch ID（トップボタンに内蔵）
最大 10 時間のバッテリー駆動時間 - アクセサリ:
Apple Pencil Pro および Apple Pencil（USB-C）対応
新型 Magic Keyboard（14ファンクションキー、拡大トラックパッド）対応 - 価格:
11インチモデル：Wi-Fi モデルは 9万8,800 円から、Wi-Fi + Cellular モデルは 12万4,800 円から
13インチモデル：Wi-Fi モデルは 12万8,800 円から、Wi-Fi + Cellular モデルは 15万4,800 円から - カラー
スペースグレイ、ブルー、パープル、スターライトの4色展開
前世代モデルとの比較
前モデルから変更された点をピックアップすると次のようになります。
- プロセッサが M2 から M3 にアップグレードされ、CPU 性能が約 20% 向上
- M1 搭載モデルと比べて約 2 倍の処理速度
- ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングに対応
- ProRes のエンコード/デコードに対応
- 新しい Magic Keyboard に対応（大型トラックパッド、ファンクションキー追加）
- Wi-Fi モデルと Wi-Fi + Cellular モデルで1〜2g 軽量化
チップ性能が向上
こちらもチップ性能が向上しています。iPad シリーズとしては、初めて M3 チップを搭載しました。これにより、M2 を搭載した前モデルより CPU 性能が約 20% 向上しています。なお、M3 チップを搭載した MacBook よりは GPU コアが 1つ少ないです。
ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングに対応
ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングとは、グラフィック処理を高速化する技術の 1 つで、よりスムーズにリアルな映像を描画できるようになります。これにより、光の反射や影、透明感などをリアルに再現され、ゲームや 3D アプリでより自然なライティングや反射表現が可能になります。
このハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングが iPad Air（M3）では利用できるようになりました。ですので、3D 系のアプリやゲームがより快適になります。例えばリアルな描写の 3D ゲームが、より美しい映像で楽しめるということですね。
ProRes のエンコード/デコードに対応
ProRes とは、アップルが開発した高品質な映像コーデック（動画データを圧縮・変換して保存や再生を行う技術）で、映像編集やプロ向けの制作現場で広く使われています。ProRes は、動画のエンコード（圧縮）とデコード（再生）の処理が高速で、画質を維持しながらファイルサイズを抑えられるのが特徴です。そのため、4K や 8K などの高解像度映像の編集や再生がスムーズに行えます。
これまで ProRes のエンコード / デコード機能は、iPad Pro などの上位モデルでのみ利用可能でしたが、新たに iPad Air（M3） でも対応しました。これにより、動画編集アプリでの ProRes 書き出しや再生がよりスムーズになり、プロフェッショナルな映像制作が iPad Air でも快適に行えるようになります。動画編集を行う人にとっては有意義なアップデートです。
新しい Magic Keyboard に対応
ようやくという感じですが、iPad Air 専用の Magic Keyboard が登場しました。
前モデルの iPad Air で使える Magic Keyboard はファンクションキーのついていない古いタイプだったんですよね。今回登場した Magic Keyboard はファンクションキーが搭載されており、明るさ調整やメディアコントロールなどの操作が容易になりました。
また、トラックパッドが大型化され、より快適な操作感を実現しています。さらに、新型モデルはより薄型軽量化されており、携帯性が向上しています。もし、iPad でテキスト入力を行うことが多い人は、新型の方が快適だと思います。
ここは注意
順当に進化した iPad Air（M3）ですので、これといって大きく注意すべき点は見つかりません。ただ、やはり価格が高めなのは気になるところです。大きな違いは M2 から M3 に進化したという点ぐらいなので、かなり高度なこと（特にクリエイティブ系の作業）をやらない限りは前モデルでも十分満足できるかと思います。
Amazon などでは、前モデルはセール対象になることが多かったので、コスパを重視しつつ性能を求めるなら、前モデルを狙うのもありかなと思います。
どんな人におすすめ？
iPad Air（M3）は、かなりパワフルなモデルですので、次のような方におすすめかと思います。
- 動画編集やイラスト制作など、クリエイティブな作業を行う方
- 高性能なタブレットを求めるビジネスパーソンや学生
- 長期間使用できる高性能モデルを探している方
今後、iPadOS の主流機能となると思われる Apple Intelligence にも対応していますし、何よりチップがパワフル。向こう数年は快適に使えるでしょう。そう考えると、1 年あたりのコストパフォーマンスも良好。末長く使っていきたいなら、ちょうどいいモデルだと思います。
まとめ：総じて堅実なアップデート
新型iPad（A16）は、コストパフォーマンスに優れたエントリーモデルで、日常使いに最適です。ウェブ閲覧や動画視聴、SNS への利用ぐらいだったら、十分快適に使えます。初めての iPad、お子さんや両親へのプレゼントには最適じゃないでしょうか。
一方、iPad Air（M3）は、M3 チップの搭載により高い性能を発揮し、クリエイティブ用途やマルチタスクに適しています。動画編集やイラスト作成など、特にクリエイティブ系な使い方にピッタリですね。
いずれのモデルも外見はほとんど変化なく、内部的な性能が向上しています。よって、堅実なアップデートといえますが、大きなインパクトはありません。その分、安心して選べるといった印象です。
ここまで前モデルと変わらないのであれば、セール時に前モデルを狙うのも賢い選択肢です。そういう意味では選択肢が広がったので、性能と価格の両面から選びやすくなっているのはいいことかもしれません。
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