2026年1月に発表されたAirTag(第2世代)。Appleは「前世代より最大50%遠い位置から『正確な場所を見つける』機能が使える」ことを大々的に売りにしていますが、実は日本ではこの拡張部分が使えないことをご存知でしょうか。
Apple自身がサポート文書とNewsroomの注記で、日本のUWB規制による機能制限を明示しています。つまり、知らずに買うと「初代とほぼ同じPrecision Finding性能」なのにアップグレードしたことになってしまう可能性があるんです。
そこで、AirTag(第2世代)で何が新しくなったのか、日本で使えない機能の正体、そして買うべきかどうかの判断材料を、できるだけわかりやすく解説していきます。
AirTag(第2世代)で「何が新しくなったのか」
第2世代の主な進化ポイント
Appleが発表したAirTag(第2世代)の新機能は、大きく分けて次の3つです。
第2世代UWBチップ搭載による性能向上が最大の売りです。これにより、「正確な場所を見つける」(Precision Finding)機能が前世代より最大50%遠い位置から使えるようになりました。
次に、Bluetooth通信距離が最大1.5倍に拡張されました。これにより、AirTagとの通信可能範囲が広がり、より遠くからでも位置情報を取得できるようになっています。
そして、スピーカー音量が約50%向上しました。この改善により、より遠くから聞き取れるようになったとされています。「探す」アプリからAirTagを鳴らしたときに、より見つけやすくなったわけですね。

さらに、Apple WatchでのPrecision Finding対応も追加されました。Apple Watch Series 9、Ultra 2以降のモデルとAirTag(第2世代)を組み合わせることで、腕時計から直接「正確な場所を見つける」機能が使えるようになる予定でした。
一般ユーザーが期待する「体感」
スペック表を見ると、特にUWB関連の性能向上が目を引きますよね。「2倍の距離から見つけられる」と聞けば、広い駐車場や大きな施設内で鍵や財布を探すのが格段に楽になりそうです。
Apple Watchからも探せるようになれば、iPhoneを取り出す手間も省けます。音量アップも地味に嬉しい改善点です。
しかし、日本ではこの「最大の売り」である部分に、大きな制約があるんです。
日本だけ使えない機能
Apple公式が明示している制限
Appleは、AirTag(第2世代)のNewsroomやプレスリリースに、次のような注記を追記しています。
「日本では、拡大した『正確な場所を見つける』機能とApple Watchでの『正確な場所を見つける』機能が利用できません」
さらに、UWBサポート文書には英文でこう記載されています。
「In Japan, due to local regulation, some Ultra Wideband frequencies aren’t available…」(日本では現地規制により、一部のUWB周波数が利用できません)
さらに、「日本では一部UWB周波数が利用できないため、第2世代UWBチップ搭載デバイスの性能は前世代チップ相当になる」といった趣旨の記載があります。つまり、せっかくの第2世代チップの性能が、日本では発揮できないということですね。
実際に無効になる具体的な機能
では、具体的に何が使えないのか?整理すると次の通り。
まず、拡張された「正確な場所を見つける」範囲が使えません。AirTag(第2世代)のU2チップが持つ「広いレンジ」部分、つまり従来より遠くから探せるという機能が封じられています。
次に、Apple WatchからのPrecision Finding機能も使えません。Apple Watch Series 9やUltra 2以降を持っていても、AirTag(第2世代)を腕時計から「正確な場所を見つける」機能で探すことはできないんです。
Appleサポートは、拡張された「正確な場所を見つける」範囲に加えて、「Find People」やApple WatchでのPrecision Findingなど、いくつかのUWB機能が影響を受けると説明しています。
ユーザー体験としてどう見えるか
重要なのは、「UWBがまるごと無効になる」わけではないという点です。より正確に言えば、「第1世代UWBと同等の挙動に制限される」ということになります。
つまり、日本国内でAirTag(第2世代)を使う場合、Precision Findingの距離感は初代とほぼ変わりません。一方で、Bluetooth通信距離の拡大やスピーカー音量向上といった、非UWB部分の改善は有効です。
注意したいのは、海外渡航時の扱いです。UWB規制がない国・地域では、AirTag(第2世代)本来のフル性能が発揮されると考えられますが、この点はAppleが明確に保証しているわけではない点は気をつけたいところですね。
なぜ日本だけ制限されるのか(UWB規制の背景)
日本だけ制限されるのは、なんとなく察しがつくかと思います。これは技術的な問題ではなく、電波法による規制の問題ですね。
UWBとは何か
UWB(Ultra Wideband:超広帯域無線)は、非常に広い周波数帯域を使う無線通信技術です。位置測位や近距離通信に優れており、精度の高い距離測定が可能なため、AirTagの「正確な場所を見つける」機能の中核技術として使われています。
日本のUWB規制
日本では、総務省がUWB無線システムの運用に一定の条件を設けています。特に9.0〜10.25GHz帯の屋外利用などに制限があり、すべてのUWB周波数帯を自由に使えるわけではありません。
AirTag(第2世代)の第2世代UWBチップの性能向上は、この制限されている周波数帯も活用する前提で設計されています。そのため、日本ではその拡張部分が使えないという理由です。
Appleは「現地規制のため一部周波数を利用者に提供できない」と説明しており、これはAppleの裁量ではなく、あくまで制度上の問題であることがわかります。
日本だけではない
実は、UWB規制によるPrecision Finding制限は日本だけの特殊事例ではありません。インドネシアなど、他国でも同様の規制により一部機能が制限されているケースがあります。
ただし、主要な欧米諸国では制限がないため、「日本(や一部アジア諸国)だけ不利」という状況になっているのは事実ですね。
「買う/買わない」判断材料
初代AirTagユーザーの場合
すでに初代AirTagを持っているなら、日本国内での買い替えメリットは限定的です。
UWBに関しては、残念ながら実質「初代と同等のPrecision Finding範囲」しか使えません。これが買い替えの主目的なら、様子見が賢明のような気がします。
一方で、Bluetooth距離拡大とスピーカー音量向上は有効です。「AirTagが遠くにあっても通信できる範囲が広がる」「音が聞こえやすくなる」というメリットは確実にあります。
判断の目安としては、「UWBの拡張が目当てなら見送り」「音量アップや新モデルとしての安心感が欲しいなら買い替え候補」という線引きになるでしょう。
これから初めて買う人の場合
初めてAirTagを購入する方なら、第2世代を選んで問題ありません。初代より確実に性能は向上していますし、今から旧モデルを選ぶ理由もないでしょう。
ただし、「海外でも使うかどうか」で期待値が変わってきます。頻繁に海外出張や旅行をする方なら、UWB規制のない国・地域では拡張されたPrecision Findingの恩恵を受けられる可能性があります(ただしAppleが明確に保証しているわけではありません)。
逆に、国内でしか使わない前提なら、「最新モデルだけど、UWB部分は旧型相当」と理解した上で購入するのが賢明ですね。
Apple Watchユーザーの場合
Apple Watch Series 9やUltra 2以降を持っていて、「腕時計からAirTagを探したい」と思っていても、日本では現状その機能は使えません。
もちろん、iPhoneからのPrecision Findingは従来通り使えますので、致命的ではありませんが、期待していた人にとっては肩透かしでしょう。
まとめ:知った上で買うかどうか決めよう
AirTag(第2世代)は決して悪い製品ではありません。Bluetooth距離拡大、音量向上など、確実な改善が施されています。
しかし、日本では「最大の売り」であるUWB拡張機能が封じられているのも事実です。Appleも公式に注記していますが、プレスリリースの脚注やサポート文書を読まないと気付きにくい情報なんですよね。
日本で使う前提なら、初代との違いを冷静に見極めてから購入した方がいいでしょう。特に、UWB拡張やApple WatchからのPrecision Findingを「目玉機能」として期待している人は、肩透かしを喰らうので要注意です。
「最新モデルだから全部最高性能」と思い込んで買うのではなく、「自分が使う環境で何ができて何ができないのか」を理解した上で、納得して購入することをおすすめします。
特に、Apple WatchからのPrecision Findingを楽しみにしていた方は要注意ですよ。

参考リンク:

