Windows 11を使っていて、突然ログインできなくなったら困りますよね。実は2025年に入ってから、Windows Updateの適用後に「顔認証が使えない」「PINコードが効かない」といったトラブルが一部のユーザーで報告されています。最悪の場合、自分のPCから完全に締め出されてしまう可能性もある非常に困った問題です。
そこで、なぜこのような問題が起きるのか、そして被害に遭わないために今すぐできる設定変更について、わかりやすく解説していきます。
サインイン不能トラブルの実態
2025年に入り、Windows 11で深刻な「サインイン不能」トラブルが報告されています。特に問題となっているのは、Windows Updateを適用した直後に発生するケースです。
具体的には、それまで普通に使えていた顔認証や指紋認証、PINコードといったWindows Helloの認証方法が突然使えなくなり、ログイン画面から先に進めなくなってしまいます。この問題は、公式のサポートドキュメントやコミュニティフォーラムでも複数報告されており、決して珍しい事例ではありません。
このトラブルですが、OSアップデート時にTPM(セキュリティチップ)や、認証情報を保存している「NGCフォルダー」内のデータとの整合性に異常が生じることが疑われています。つまり、アップデートの過程で何らかの理由により、保存されていた認証情報が破損してしまうわけですね。
「Helloのみ許可」設定が招くリスク
ここで問題を厄介にしているのが、Windows 11の標準設定です。Microsoftアカウントでサインインする場合、初期設定では「Windows Helloサインインのみを許可する」というオプションが有効になっています。
この設定がオンになっていると、顔認証やPIN、指紋認証といったWindows Hello以外の方法ではサインインできません。つまり、万が一Hello認証の情報が破損した場合、Microsoftアカウントのパスワードを知っていても、それを入力する画面すら表示されないのです。
この仕様はセキュリティ強化のためにMicrosoftが推奨している設定ですが、トラブル発生時には逆に大きな障壁となってしまいます。自分のパスワードを知っているのにログインできないという、なんとも理不尽な状況に陥ってしまうんですね。
今すぐできる予防策:1分でできる設定変更
幸いなことに、この問題は事前に設定を変更しておくことで、リスクを大幅に減らすことができます。
設定を変更するには、設定アプリを開き(Windows + I キー)、「アカウント」→「サインイン オプション」をクリックします。

表示された画面で、「セキュリティの向上のため、MicrosoftアカウントではWindows Helloサインインのみを許可する」という項目をオフにします。

これだけで、万が一Windows Helloの認証情報が壊れてしまっても、従来通りMicrosoftアカウントのパスワードでログインできます。そして、ログインした後で改めてPINや生体認証を設定し直せばいいわけです。
セキュリティレベルが若干下がることを気にする方もいるかもしれませんが、完全にログインできなくなるリスクと比較すれば、この設定変更は十分に合理的な選択と言えるでしょう。
Secure Boot DBX問題という別の落とし穴
実は、Windows Hello認証のトラブルだけでなく、もう一つ注意すべき問題があります。それが「Secure Boot DBX」に関連するトラブルです。
2025年6月以降、Windows Updateを通じて「Secure Boot DBX(禁止署名データベース)」が大幅に拡張されました。これはセキュリティ強化のための措置なのですが、一部のPCではこのアップデートがBIOS(UEFI)レベルのトラブルを引き起こしているのです。
DBX更新時に、ファームウェアやTPM、署名鍵情報の不整合が発生すると、最悪の場合「起動不能」になったり、Windows Hello認証情報が破損したりする可能性があります。特に古い機種では、DBX領域の容量不足によってファームウェア自体が破損し、いわゆる「文鎮化」状態になった事例も報告されています。富士通やGIGABYTEなど、複数のメーカーで問題が確認されているんですね。
また、WindowsとLinuxをデュアルブートで使用している環境では、GRUBブートローダーが起動できなくなるケースもあります。複数のOSを使っている方は、特に注意が必要です。
トラブルが起きてしまったら
万が一、実際にログインできなくなってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
最悪のケースでは、OS再インストールやデータ消失が必要になることもゼロではありません。ただし、大半の場合は次の方法で回復が可能です。
まず試すべきなのは、セーフモードからのサインインです。セーフモードであれば、通常モードで問題が起きていても、ログインできる可能性があります。ログインできれば、そこからPIN設定をリセットしたり、NGCフォルダーを削除して認証情報を初期化したりできます。
Microsoft公式サポートには、NGCフォルダーの手動削除やPIN再設定の具体的な手順が公開されています。ただし、これらの方法は専門的な知識が必要な部分もあるため、やはり事前の予防策が最も重要です。
BIOS/UEFIのリセットやファームウェアアップデートが必要になるケースもありますが、これは機種によって手順が大きく異なるため、メーカーの公式情報を必ず確認してください。
まとめ
Windows 11のアップデート後に発生するログイン不能トラブルは、事前の設定変更で大きくリスクを減らせます。「Windows Helloのみ許可」設定をオフにする作業はたった1分で完了しますので、この記事を読んだら、ぜひすぐに確認してみてください。
それにしても、Microsoft推奨設定でWindows Updateしたらサインインできなくなる可能性っていうのは、正直どういうことなのか?と思いますね。毎回書いているような気がしますが、仕事や学業に使うことが多いPCでこういうレベルの問題は絶対に起こしてはならないもの。基本的なことが本当に疎かになっているので、Microsoftはもっとしっかりしてほしいものです。

