Enhancer for YouTubeという拡張機能を使っていると、最近「Enhancer for YouTubeが無効になりました」という通知が表示される報告が増えています。突然の通知に「ウイルスかも?」「乗っ取られた?」と不安になった方がいるかもしれません。
この症状、結論から言うと、セキュリティ上の問題ではなく、YouTubeの仕様変更に対応するための正常なアップデートが原因です。
そこで、なぜこの現象が起きているのか、そして本当に安全なのかを、技術的な背景も含めて解説していきます。
問題発生の経緯:2025年10月に何が起きた?
2025年10月下旬、特に10月23日から27日にかけて、多くのユーザーから「Enhancer for YouTubeが突然使えなくなった」という報告が相次ぎました。具体的には、次のような通知が表示され、追加の権限を求められたというものです。

実は、この現象はバグではなく、意図的なアップデートによるものです。Chrome Web Storeの情報によると、Enhancer for YouTubeは2025年10月23日に最新版(バージョン3.0.12以降)へアップデートされました。
(10月27日時点ではバージョン3.0.14が最新)
このアップデートで、拡張機能が正常に動作するために必要な権限が追加されたため、ユーザーに新たな権限の承認を求めるメッセージが表示されるようになったんです。
技術的な原因:「youtube-nocookie.com」権限が必要になった理由
今回権限を求められるようになったのは、youtube-nocookie.comドメインへのアクセス権限が新たに必要になったためです。
YouTubeの仕様変更への対応
これまでEnhancer for YouTubeは、通常のYouTube(youtube.com)にのみアクセス権限を持っていました。しかし、YouTubeの埋め込みプレーヤーの仕様や、一部のUI変更により、拡張機能の機能を完全に動作させるためには、youtube-nocookie.comドメインへのアクセスも必要になったのです。
主な追加理由
新しい権限が必要になった主な理由は次のとおりです。
- ポップアッププレイヤーの復旧
- YouTubeの仕様変更により、動画を別ウィンドウで表示するポップアッププレイヤー機能が動作しなくなっていた
- youtube-nocookie.comドメインで表示される埋め込みプレーヤーにも対応することで、この機能を復旧
- 埋め込み動画への対応
- ブログやウェブサイトに埋め込まれたYouTube動画でも、Enhancer for YouTubeの機能を使えるようにするため
- 多くのサイトでプライバシー強化モード(youtube-nocookie.com)を使った埋め込みが採用されている
- 機能の一貫性向上
- どのような形式でYouTubeを視聴していても、同じように拡張機能を利用できるようにするため
最新版の変更内容
公式の変更履歴によると、最新バージョンでは次の改善が行われています。
- バグ修正と動作の安定化
- youtube-nocookie.comドメインへの対応追加
- ポップアッププレイヤー機能の復旧
- 埋め込み動画での機能向上
前述したとおり、これらはすべてユーザー体験を向上させるための正常なアップデートです。
セキュリティ・プライバシー面の説明:本当に安全なの?
先ほどから出てきている「youtube-nocookie.com」というドメインは、YouTubeが公式に提供している完全に安全なドメインです。
このドメインは、YouTubeの「プライバシー強化モード」で使用されるもので、Google(YouTubeの運営会社)が管理している正規のもの。つまり、怪しいサイトでも、なりすましサイトでもありません。
プライバシー強化モードとは?
YouTube公式ヘルプによると、プライバシー強化モードは次のような特徴があります。
- 埋め込んだYouTubeコンテンツの視聴情報が、視聴者のYouTubeでのブラウジング体験に影響を与えない
- 動画を視聴しても、その視聴情報がYouTubeの閲覧体験のカスタマイズに使用されない
- Cookieを使用せず、プライバシー保護を強化
つまり、youtube-nocookie.comはむしろプライバシーを守るためのドメインということです。
権限付与は安全
権限を付与することによって拡張機能ができることは次のとおり。
- YouTube動画の表示や再生の制御
- 動画プレーヤーのカスタマイズ
- ポップアッププレイヤーなどの機能提供
逆に、この権限を付与しても拡張機能ができないことは次のとおりです。
- 他のウェブサイトのデータへのアクセス
- 個人情報の収集や送信
- YouTubeアカウント情報への不正アクセス
権限は、あくまでYouTube動画の表示をカスタマイズするためだけに使用されます。Enhancer for YouTubeは長年の実績があり、Chrome Web Storeでも数十万人以上のユーザーに利用されている信頼性の高い拡張機能なので、とりあえず安心感はあります。
実際のメッセージと対処法
さて、肝心の対応方法ですが、前述の通りにセキュリティ的には問題ないので、今まで通りに使いたい場合は権限を許可してあげればOKです。
通知メッセージから権限を許可する
まだメッセージが表示されているなら、通知に表示されている「権限を許可」をクリックします。

通知メッセージを消してしまった場合
通知メッセージを消してしまった場合は、拡張機能のページから有効化します。
Chromeの右上にある拡張機能アイコン(パズルのピース)をクリックし、「拡張機能を管理」を選択します。

「Enhancer for YouTube」をオンにします。

「youtube-nocookie.com」への権限を制限する
「とはいっても、youtube-nocookie.comへ権限を与えるのは怖い」という場合は、権限を制限することもできます。ただし、この場合、埋め込み動画での動作やポップアッププレイヤー機能は利用できなくなります。
拡張機能の管理画面を開き、Enhancer for YouTubeの「詳細」をクリックします。

「サイトへのアクセス」で「以下のサイトで自動的にアクセスを許可する」をオフにします。次に「*://www.youtube-nocookie.com/*」をオフ、「://www.youtube.com/*」をオンにします。

プレーヤーの下にコントロールが表示されなくなった場合
最新版では、ブラウザによってはプレーヤーの下に表示していたコントロールが表示されなくなることがあるようです。自分の環境では、Braveでコントロールが表示されなくなっていました。

この場合は、画面内にコントロールを表示させれば一時的には凌げます。画面内に表示するには、ピン留めされた「Enhancer for YouTube」のアイコンをクリックします。

設定画面が表示されるので、「コントロール」セクションで「ボタンをプレーヤー内に表示させる」を選択します。必要に応じて、「ボタンを表示させたままにして〜」にチェックを付けます。

これでプレーヤー内にコントロールが表示されるようになります。

これは、恐らく一時的な不具合だと思います。プレーヤーの下に表示された方がいいという人は、定期的に設定を戻して、不具合が修正されているかどうか確認してみてください。
まとめ
長年使ってきた拡張機能が突然「無効」になると不安になります。でも、今回の件は、より良い機能を提供するための正当なアップデートですので、安心して権限を付与していただいて大丈夫です。
拡張機能のアップデートでは、このように新しい権限が必要になることがあります。今回のように必ず安全とは限らないので、その際は次の点をチェックする必要があります。
- 慌てず、まず情報を確認:公式サイトやレビューをチェック
- 権限の内容を理解:何ができるようになるのかを把握
- 必要に応じて承認:納得できたら権限を付与
YouTubeは頻繁にUIや仕様を変更するため、拡張機能もそれに合わせてアップデートが必要になります。拡張機能のアップデートに関する通知は不安になることもありますが、冷静に対処すれば問題ありません。
公式情報

