Appleが12月4日にiOS 26.2とiPadOS 26.2のRC(Release Candidate)版をリリースしました。正式版は12月中旬(8〜16日ごろ)に正式版が配信される見込みです。今回のアップデートは安定性と不具合修正が中心の調整アップデートとなっています。
ただし、日本のユーザーにとっては見逃せない重要な変更も含まれています。代替アプリストアの対応や、Siri以外の音声アシスタントを選択できる機能など、「スマホソフトウェア競争促進法」に対応した新機能が追加されます。
そこで、iOS 26.2/iPad OS 26.2の主な変更点、不具合修正の内容、アップデート前の注意点をまとめたいと思います。メイン端末で使っている方も、サブ機で試してみたい方も、ぜひ参考にしてみてください。
今回のアップデートの位置付け
26.2はどんなアップデートか
iOSのアップデートには、大きく分けて「メジャーアップデート」と「マイナーアップデート」があります。9月にリリースされたiOS 26.0は、Liquid Glassという新しいデザインを採用した大規模なメジャーアップデートでした。その後、10月のiOS 26.1で細かな改善が入り、今回の26.2は2回目のマイナーアップデートという位置付けになります。
iOS 26.2は、多数の不具合修正と細かな改善+20以上の新機能が含まれる「仕上げ&調整寄りのアップデート」になる模様です。ロック画面のカスタマイズ機能が追加されたり、リマインダーアプリに便利な機能が加わったりと、地味ながら実用的な改善が中心です。
なお、セキュリティアップデートも含まれているため、基本的には早めの更新が推奨されるタイプのアップデートですね。
対応デバイスとリリースタイミングの目安
iOS 26.2が使えるのは、iOS 26に対応しているすべての機種です。具体的にはiPhone 11以降の機種(iPhone SE第2世代・第3世代を含む)が対象となります。
iPadOS 26.2の対応機種も同様で、A12 Bionic以降を搭載したiPadが対象です。iPad Pro(2018年モデル以降)、iPad Air(第3世代以降)、iPad(第7世代以降)、iPad mini(第5世代以降)が該当します。
アップデートは段階的に配信されることが多く、「通知が来ないんだけど?」と焦る必要はありません。設定アプリの「一般」→「ソフトウェアアップデート」から手動でチェックすれば、通知が来ていなくてもダウンロードできることがほとんどです。配信開始から数時間後には、ほぼすべての対応機種でアップデートが可能になります。
変更点まとめ(新機能・見える改善)
ロック画面のカスタマイズ強化
iOS 26.2で最も目立つ変更点は、ロック画面に追加された「Liquid Glassスライダー」です。iOS 26で導入されたガラス調デザインですが、26.2ではこの透明度を自分で調整できるようになりました。
時計の見た目をほぼ透明にしたり、曇りガラス風にしたりと、壁紙との相性に合わせて細かくカスタマイズできます。もちろん、透明効果が苦手な方向けに「ソリッド」トグルも用意されていて、完全に不透明な表示に戻すこともできます。壁紙にこだわっている方には嬉しい機能ですね。
標準アプリの新機能
リマインダー:アラーム機能の追加
リマインダーアプリには、待望のアラーム機能が追加されました。これまでリマインダーは通知で知らせてくれるだけでしたが、26.2からは時間を指定して「緊急」オプションをオンにすると、指定した時刻にアラームが鳴るようになります。集中モードを有効にしていてもアラームが鳴るので、重要なタスクを見逃す心配がありません。タスク管理をリマインダーでしている方には、かなり実用的な改善です。
Apple Music:オフライン歌詞表示
iOS 26.2では、オフライン歌詞表示機能が追加されました。Wi-Fiやモバイルネットワークに接続していない状態でも、事前にダウンロードした楽曲の歌詞が表示できるようになります。地下鉄や飛行機の中でも歌詞を見ながら音楽を楽しめるのは便利です。
Podcast:自動チャプター生成と番組リンク
Podcastアプリは大きく進化しています。エピソードに元々チャプターが設定されていない場合でも、自動的にチャプターを生成してくれるようになりました。長時間のポッドキャストで特定のトピックにスキップしたいときに便利です。また、ポッドキャスト内で他の番組が言及されると、再生画面にポップアップが表示され、タップするとその番組の詳細を確認できるようになります。
ヘルスケア・アクセシビリティの改善
睡眠スコアの評価基準見直し
Apple Watchユーザー向けには、睡眠スコアの評価基準が見直されました。これまでの基準では少し甘めの評価だったため、26.2では次のように変更されています。
- 非常に低い:0-40点(従来0-29点)
- 低い:41-60点(従来30-49点)
- 普通:61-80点(従来50-69点)
- 高い:81-95点(従来70-89点)
- 非常に高い:96-100点(従来90-100点)
より厳しい基準になったことで、睡眠の質を正確に把握しやすくなりました。ヘルスケアアプリで睡眠管理をしている方は、数値の変化に注意してください。
通知の画面フラッシュ機能
アクセシビリティ機能も強化されています。「設定」→「アクセシビリティ」→「オーディオとビジュアル」→「通知時の点滅」で、通知を受信した際にiPhoneの画面が点滅するように設定できるようになりました。これまではカメラのLEDフラッシュだけでしたが、画面点滅や両方の組み合わせも選べます。聴覚に不安がある方や、騒がしい環境で作業している方にとって便利な機能です。
その他の細かな改善
iOS 26.2には、以下のような地味ながら便利な改善も含まれています:
メニューアニメーションの改善
アプリ内のメニューを開いたときの動きがよりスムーズになり、操作感が向上しました。地味な変更ですが、毎日触れる部分だけに、使っているうちに「なんか快適になった気がする」と感じられるはずです。
CarPlay:ピン留めメッセージの無効化
運転中にピン留めしたメッセージが常に表示されるのが邪魔だった方には朗報です。メッセージアプリのピン留めメッセージを無効化する機能が追加されました。
ゲームアプリのUI改善
ゲームをサイズで並べ替えたり、友達がプレイしているゲームでフィルタリングしたり、チャレンジをサポートしているゲームを探したりできる新しいソートオプションが追加されました。ゲームライブラリの管理が格段にやりやすくなります。
計測アプリのLiquid Glass対応
水準器の気泡が透明なガラス調になり、互いに流れ込むように動くアニメーションが追加されています。実用性というよりは、iOS 26のデザイン言語をより多くのアプリに反映させる取り組みの一環ですね。
Passwordsアプリの改善
「このWebサイトでは保存しない」を選択してしまったサイトのリストが確認できるようになり、誤って除外してしまったサイトを再度有効にできるようになりました。
日本向けの重要な新機能(スマホ新法対応)
iOS 26.2では、日本のユーザーにとって特に重要な2つの新機能が追加されます。これらは2025年12月18日に施行予定の「スマホソフトウェア競争促進法」(スマホ新法)に対応したものです。
代替アプリストアの利用が可能に
iOS 26.2では、App Store以外のアプリストアが利用できるようになります。現時点で登場が予想されているのは、AltStore PALやEpic Games Storeなどのストアです。
これにより、App Storeでは配信されていないアプリや、Apple以外のプラットフォームから直接アプリをダウンロードすることが可能になります。ただし、フォートナイトなどの一部アプリでは、地域によってアプリ内課金に制限がある場合があるので注意が必要です。
セキュリティ上の重要な注意
代替アプリストアの解禁により、iPhoneの自由度は向上しますが、同時にセキュリティリスクも増大します。App Storeでは、Appleの厳格な審査を通過したアプリのみが配信されていましたが、サードパーティのストアでは審査基準が異なる、あるいは審査が緩い可能性があります。
悪質なストアアプリの中には、次のようなリスクがあるものも登場するかもしれません。
- マルウェアやウイルスを含むアプリの配信
- 個人情報を不正に収集するアプリ
- 有名アプリを装った偽物アプリ(フィッシング詐欺)
- 過剰な権限を要求するアプリ
- 高額な課金を要求する詐欺的なアプリ
信頼できるストアかどうかを見極めるポイントとしては、運営元が明確か、利用規約やプライバシーポリシーが明示されているか、ユーザーレビューや評判はどうか、といった点をチェックすることが重要です。よく知らないストアからアプリをダウンロードするのは避けてください。
特に、SNSやメールで突然送られてくる「このストアアプリをインストールすれば○○が無料で使える」といった誘導には注意が必要。基本的に、そのようなリンクは開かないのが原則です。
セキュリティに不安な人は、標準のApp Storeだけを利用するのがおすすめです。
Siri以外の音声アシスタントを選択可能に
現在、サイドボタンを長押しするとSiriが起動しますが、iOS 26.2以降は、AlexaやGeminiなどのサードパーティ製音声アシスタントを選択できるようになる「土台」が用意さにちれます。ただし、この機能を利用するには、各アプリの開発者が対応する必要があります。GoogleアシスタントやアマゾンのAlexaを普段使いしている方にとっては、iPhoneでの音声操作がより便利になるでしょう。
これらの変更により、iPhoneの自由度が大きく向上します。ただし、Apple以外のストアからアプリをダウンロードする際は、セキュリティリスクも伴うため、信頼できるストアやアプリを選ぶことが重要です。
その他の変更点(海外向け機能など)
iOS 26.2には、日本では利用できない機能の改善も含まれています。
- Apple Newsアプリの改善(米国、英国など一部地域のみ):「フォロー中」専用タブの追加
- AirPodsライブ翻訳のEU対応:欧州連合地域でAirPodsのライブ翻訳機能が利用可能に
これらの機能は日本では使えませんが、海外旅行時や将来的な日本での提供開始時に役立つ可能性があります。
iPadOS 26.2で特に変わるポイント
iPadユーザーにとって、26.2は特に重要なアップデートになります。というのも、iPadOS 26で大きく変わったマルチタスク機能が、ようやく「使いやすく」なったからです。
iPadOS 26では新しいウィンドウシステムが導入されましたが、従来のSplit ViewやSlide Overの操作感が変わってしまい、「使いにくくなった」という声が多く上がっていたのが実情です。26.1でSlide Overが部分的に復活したものの、まだ操作に一手間必要な状態。具体的には、信号機アイコンをタップして「Slide Overを開始」を選択する必要があり、直感的な操作ができませんでした。
iPadOS 26.2では、ドラッグ&ドロップ機能が完全に復活。ドックやSpotlight検索、アプリライブラリからアプリをドラッグして、画面上の好きな位置に配置できるようになりました。iPadOS 18に近い操作感が戻ってきたわけです。
具体的には、次のような操作が可能になります。
- ドックからアプリをドラッグして画面の左右にドロップすると、自動的にSplit Viewになる
- アプリを画面の端にドラッグすると、Slide Overとして配置される
- アプリを画面中央にドロップすると、フルスクリーン表示になる
アプリをドラッグしている最中にアイコンの形状が変化するので、どのモードになるかが視覚的にわかります。この「アイコンが形状を変えて視覚的にフィードバックする」という仕組みは、iPadOS 18と同じで、非常に直感的です。
この改善により、「iPadOS 26にしてからマルチタスクが使いづらくて困っていた」という方も、ようやく快適に使えるようになるはずです。新しいウィンドウシステムの機能(ウィンドウの自由な配置やメニューバーなど)はそのまま使えるので、従来の操作性と新機能の両方を活かせる状態になったと言えますね。
外部ディスプレイを使っている方や、Apple Pencilでマルチタスクしながら作業している方には、特に恩恵が大きいアップデートです。複数のアプリを切り替えながら作業する機会が多い方、PDFに注釈を入れながら別のアプリで調べ物をする方、Safariで調べ物をしながらメモアプリに書き込む方など、iPadを本格的な作業端末として使っている方は、26.2へのアップデートの恩恵に授かれそうです。
不具合修正とセキュリティアップデート
通信・接続の安定性向上
iOS 26.1までで報告されていた通信関連の問題について、26.2では改善が期待できます。
Wi-FiとBluetoothの接続安定性
「Wi-Fiが不安定」「Bluetoothの接続が切れやすい」といった報告が一部で上がっていましたが、26.2ではこのあたりの安定性が向上している可能性があります。ただし、こうした通信関連の改善は環境によって体感が変わるため、実際に使ってみて判断する必要がありますね。
ルーターとの相性や、周囲の電波環境(特にWi-Fi 6やBluetooth 5.0以降を使っている場合)によっても変わってくるので、「自分の環境では改善された」という方もいれば、「変わらない」という方もいるはずです。AirPodsやApple Watchとの接続が頻繁に切れていた方は、26.2で改善されるかもしれません。
バッテリー持ちと発熱の改善状況
多くのユーザーが気にしているバッテリー持ちと発熱について、現時点でわかっていることをまとめます。
バッテリー持ちの変化
iOS 26.0や26.1で「バッテリーの減りが早くなった」と感じていた方は、26.2で改善される可能性があります。一部では改善が見られるという報告もあります。
ただし、iOS 26で導入された新しいLiquid Glassデザインは、そもそも透明効果などの処理でバッテリーを多く消費する傾向があります。劇的な改善というよりは、「少しマシになった」程度を期待するのが現実的でしょう。
重要な注意点:アップデート直後の一時的な変化
アップデート直後の1〜2日間は、バッテリーの減りが一時的に早くなることがあります。これは実は正常な動作です。アップデート後、端末はバックグラウンドで写真のインデックス作成や、各種ファイルの整理、アプリの最適化などを行います。この処理が完了するまでは、バッテリー消費が多くなったり、端末が少し熱くなったりします。1〜2日は様子を見てから判断してください。
発熱の状況
iOS 26の新機能をフル活用すると、どうしても処理負荷が増えて発熱しやすくなります。26.2で最適化が進んで多少は改善されるかもしれませんが、根本的な解決というよりは微調整レベルの変化になると思われます。
アプリのクラッシュや動作不安定
特定アプリのクラッシュについては、アプリ側の対応も必要になるケースが多いです。iOS 26.2にアップデートしてもアプリが不安定な場合は、アプリ側のアップデートを待つか、開発元に報告するのが良いでしょう。よく使うアプリが頻繁にクラッシュする場合は、App Storeで該当アプリのページを開いて、アップデートがあれば適用してください。
セキュリティアップデートについて
iOS 26.2にはセキュリティアップデートも含まれています。これはユーザーの目には見えない部分ですが、非常に重要な更新です。
CVE(脆弱性情報)について
具体的なCVE(Common Vulnerabilities and Exposures:共通脆弱性識別子)の詳細は、Appleの公式セキュリティ情報ページで後日公開される見込みです。これまでのパターンから推測すると、WebKitやカーネルレベルでのセキュリティ修正が含まれている可能性が高いです。
セキュリティアップデートの重要性
特に、実際に悪用された報告がある脆弱性(いわゆる「ゼロデイ脆弱性」)が含まれている場合は、早急なアップデートが推奨されます。今回のアップデートでそうした緊急性の高い修正が含まれているかどうかは、正式版のリリースノートを確認する必要がありますが、セキュリティ面を考えると基本的には早めの更新が無難です。
普段からオンラインバンキングやクレジットカード情報を端末で扱っている方、仕事で重要なデータを扱っている方は、セキュリティアップデートをしっかり適用しておきましょう。悪意のある攻撃から端末を守るためにも、セキュリティ修正は見逃さないのが重要です。
iPad固有の不具合修正
iPadOS 26.2では、iPad特有の問題がいくつか修正されています。
フローティングキーボードの位置問題
画面分割で作業しているときに、フローティングキーボードの位置が予期せず変わってしまう問題が解決されました。Split ViewやSlide Overを使いながらキーボードで入力している最中に、勝手にキーボードが移動してイライラしていた方には、地味ながら重要な修正です。
VoiceOverが無効になる問題
iPadOS 26/26.1で起きていたVoiceOverが無効になってしまう問題も修正されています。視覚サポート機能を使っている方にとっては深刻な不具合だったので、この修正は見逃せません。アクセシビリティ機能に依存している方は、安心してアップデートできます。
アップデートについて
iOS 26.2のアップデートサイズは、機種によって異なりますが、概ね6〜8GB程度になる見込みです。Wi-Fi環境でのダウンロードを推奨します。
正式版は12月11日(水)前後に配信される予定です。「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から更新できます。
まとめ
iOS 26.2とiPadOS 26.2は、派手な新機能こそ少ないものの、日常的な使い勝手を向上させる実用的なアップデートになっています。特に日本のユーザーにとっては、代替アプリストア対応やSiri以外の音声アシスタント選択など、スマホの使い方が大きく変わる可能性のある機能が追加されています。
iPadユーザーにとっては、マルチタスク機能のドラッグ&ドロップ対応が復活する点も見逃せません。セキュリティアップデートも含まれているため、リリース後は早めの更新を検討するとよいでしょう。

