Appleは、macOS Tahoe 26.2のリリース候補版（RC）を12月4日に開発者向けに配信しました。正式版は、iOS 26.2と同じタイミングで12月中旬にリリースされる見込みです。
macOS 26.2は、安定性とパフォーマンスの向上を中心としたマイナーアップデートですが、ビデオ通話品質を向上させる新機能や、プロフェッショナル向けのThunderbolt 5関連機能など、注目すべき追加要素も含まれています。
そこで、macOS 26.2で追加される新機能、バグ修正の内容などをわかりやすく解説します。
今回のアップデートの位置付け
macOS 26.2はどんなアップデートか
macOS Tahoe 26（macOS 26）は、2025年9月にリリースされた大型アップデートで、透明感のあるLiquid Glassデザイン、強化されたSpotlight検索、Apple Intelligence機能の追加など、数多くの新要素が導入されました。しかし、大規模な変更に伴い、一部のユーザーからはバグ報告や動作の不安定さを指摘する声もありました。
macOS 26.2は、こうした初期の問題を解消し、システム全体の安定性を向上させることを主な目的としています。iOS 26.2と同様に「バグ修正・パフォーマンス改善」が中心ですが、ビデオ通話用の新しいエフェクト機能や、プロユーザー向けのThunderbolt 5機能など、実用的な新機能も追加されています。
派手さはありませんが、日常的な作業をより快適にし、プロフェッショナルな用途でも信頼性を高める、地に足のついたアップデートと言えますね。
対応Macとリリース時期
macOS 26.2は、macOS 26に対応しているすべてのMacで利用できます。
正式版は12月11日〜16日の間ぐらいに配信される予定です。配信は段階的に行われることがありますが、「システム設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から手動でチェックすれば、早めに入手できます。
新機能・見える改善
Edge Light（ビデオ通話用ライト効果）
macOS 26.2で最も注目したい新機能は、「Edge Light」です。これは、ビデオ通話中にカメラ周囲の画面エッジをソフトな光で縁取りする新しいビデオエフェクトです。
リングライトのような効果をソフトウェアだけで実現できるため、暗い環境でのビデオ会議でも顔が明るく映り、見栄えが大幅に向上します。FaceTimeはもちろん、Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなど、Macのカメラを使用する他社製ビデオ会議アプリでも利用できる見込みです。
在宅勤務やオンライン会議が日常的になった現在、専用の照明機器を用意しなくても、Macだけでプロフェッショナルな印象を与えられるのは便利ですよね。特に夜間や窓のない部屋での会議が多い方には、実用性の高い機能になるはずです。
緊急リマインダー（Urgent Reminders）
iOS 26.2と同様に、macOSのリマインダーアプリにも「緊急」種別のリマインダー機能が追加されます。指定した時刻に強調された通知が表示されるため、絶対に忘れてはいけない重要なタスクを確実に思い出せるようになります。
仕事用のMacで締め切りのある作業や、重要なミーティングの開始時刻をリマインダーに設定しておけば、集中モードを有効にしていても通知が届きます。タスク管理をリマインダーアプリで行っている人には、かなり実用的な改善ですね。
その他のUI・操作の細かな改善
macOS 26.2では、日常的な操作感を向上させる細かなUI改善も含まれています。
フルスクリーンでアプリを使用しているときの音量スライダーや輝度スライダーの表示位置が調整され、より直感的に操作できるようになりました。アニメーションも滑らかになり、全体的な操作感がブラッシュアップされています。
また、ベータテスターからの報告では、バッテリー管理やスリープからの復帰に関する挙動が改善されているという声もあります。スタンバイ時のバッテリー消費が安定し、MacBook Airなどのノート型Macでバッテリー持ちが向上する可能性があります。ただし、こうした変化は環境や使い方によって体感が異なるため、実際に使ってみて判断する必要があります。
プロ・クリエイター向けの機能（未確認情報）
一部のテックメディアでは、macOS 26.2にプロフェッショナル向けの新機能が追加される可能性があると報じられていますが、これらはAppleの公式発表ではなく、あくまでベータ版の動向や推測に基づく情報です。正式版がリリースされるまで、実際に実装されるかどうかは不明な点にご注意ください。
Thunderbolt 5関連機能の強化（報道ベース）
一部の報道では、Thunderbolt 5で複数のMacを接続し、計算リソースを共有する機能が追加される可能性があると伝えられています。もし実装されれば、動画編集や機械学習など、膨大な計算リソースを必要とする作業で複数のMacを活用できるようになるかもしれません。
ただし、この機能についてAppleから公式発表はなく、実際に26.2で利用可能になるかどうかは未確認です。プロユーザーの方は、正式版のリリースノートで確認することをおすすめします。
MLX／ニューラルエンジン連携の強化（報道ベース）
Appleの機械学習フレームワーク「MLX」が、最新のAppleシリコンのニューラルアクセラレータとより深く連携できるようになる可能性も報じられています。もし実装されれば、ローカルでのAI処理がさらに高速化される可能性があります。
こちらも公式確認されていない情報ですので、AI開発者や研究者の方は、正式版リリース後の公式ドキュメントで詳細を確認してください。
バグ修正とパフォーマンス改善
安定性・パフォーマンスの向上
macOS 26.2のリリース候補版のリリースノートには、「複数のバグ修正とパフォーマンス改善」が含まれていることが明記されています。具体的にどの問題が修正されたかは、正式版のリリースノートで詳細が公開される予定ですが、一般ユーザーが体感しやすい部分での改善が期待できます。
Safari、Finder、Spotlightの安定性
macOS 26.0や26.1で報告されていた、Safariのクラッシュ、Finderの動作不安定、Spotlight検索の遅延といった問題が、26.2で改善される可能性があります。日常的に使う基本機能が安定することで、全体的な使い勝手が向上するはずです。
ゲーム関連の改善
macOS 26ではゲームモードが強化されましたが、一部のゲームで動作が不安定だったり、フレームレートが低下したりする報告もありました。26.2では、こうしたゲーム関連の問題にも対処が行われている可能性があります。
既知不具合への対応
macOS 26.0～26.1で話題になっていた次のような問題について、26.2でどこまで解消されたかを確認しておきたいですね。
Electronアプリによる深刻なパフォーマンス低下問題の修正
macOS 26.0の最も深刻な問題の一つが、Electronベースのアプリによるシステム全体のパフォーマンス低下でした。VS Code、Cursor、Slack、Discord、Microsoft Teamsなど、多くの人が日常的に使っているアプリを起動すると、WindowServerプロセスのGPU使用率が100%にスパイクし、Mac全体が重くなったり、バッテリーが異常に早く減ったりする問題が報告されていました。
この問題の原因は、ElectronがAppleのプライベートAPI（_cornerMask）をオーバーライドして、半透明のカスタムコーナーマスクを適用していたことでした。各アプリ側でもElectronの新しいバージョン（v38.2.0、v37.6.0、v36.9.2以降）へのアップデートが進められていましたが、macOS 26.2 beta 3では、Apple側でパッチが適用され、古いバージョンのElectronを使用しているアプリでもパフォーマンス低下が起きなくなっていることが確認されています。
この問題は「macOS 26にアップグレードしたくない」という声の大きな理由の一つになっていたので、26.2で解決されるのは非常に重要な改善です。Slackで仕事をしている方、VS CodeやCursorでコードを書いている方、Discordで通話している方など、Electronアプリのヘビーユーザーにとっては、安心してmacOS 26系に移行できるようになります。
デスクトップウィジェットの更新不具合
一部のウィジェットが正常に更新されない、または表示が崩れる問題が報告されていました。26.2でこの問題が改善されているかどうかは、実際に使ってみて確認したいところです。
特定アプリのクラッシュ
サードパーティ製アプリの中には、macOS 26で動作が不安定になったものもありました。これらはアプリ側の対応も必要になるケースが多いため、よく使うアプリについては、開発元の対応状況も確認しておくと安心です。
外部ディスプレイの認識問題
複数の外部ディスプレイを接続した際に、認識が不安定になる問題が一部で報告されていました。26.2でこの辺りの安定性が向上しているかどうかも注目ポイントです。
セキュリティアップデート
macOS 26.2にも、重要なセキュリティアップデートが含まれています。具体的なCVE（Common Vulnerabilities and Exposures：共通脆弱性識別子）の詳細は、Appleの公式セキュリティコンテンツページで正式版リリース後に公開される見込みです。
これまでのパターンから推測すると、カーネル、WebKit、システムコンポーネントなどの脆弱性修正が含まれている可能性が高いです。もし、実際に悪用された事例が確認されているゼロデイ脆弱性の修正が含まれている場合は、早急なアップデートが推奨されます。
業務でMacを使用している方、機密情報を扱っている方、オンラインバンキングを頻繁に利用する方は、セキュリティアップデートをしっかり適用しておくのがおすすめです。
スマホ新法とmacOS 26.2
日本では2025年12月18日に「スマホソフトウェア競争促進法」が施行される予定ですが、この法律はスマートフォンのOS（iOSなど）とアプリストアを対象としています。macOSは直接の対象ではありません。
ただし、代替アプリストアの導入や支払い方法の選択肢拡大といった流れは、中長期的にはApple全体のエコシステムに影響を与える可能性があります。今後、macOSでも同様の規制対応が求められる可能性はゼロではありませんが、現時点ではiOS側の動向を見守る状況です。
macOSユーザーとしては、まずはmacOS 26.2の安定性向上やセキュリティアップデートに注目し、iOS側の変化については別途情報を追っていく、というスタンスが適切でしょう。
アップデートについて
macOS 26.2のアップデートサイズは、機種やインストールされているアプリによって異なりますが、概ね3～5GB程度になる見込みです。Wi-Fi環境でのダウンロードを推奨します。
正式版は12月中旬に配信される予定です。「システム設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から更新できます。
アップデート後しばらくは、Spotlightのインデックス再構築やTime Machineのバックアップ処理などがバックグラウンドで実行されるため、ファンの回転音が大きくなったり、バッテリー消費が増えたりすることがあります。これは正常な動作なので、1～2日は様子を見てからバッテリー持ちやパフォーマンスを評価してください。
まとめ
macOS 26.2（Tahoe 26.2）は、安定性とパフォーマンスの向上を中心としながらも、ビデオ通話用のEdge Light機能や、プロユーザー向けのThunderbolt 5クラスター機能など、実用的な新要素も追加されています。
セキュリティアップデートも含まれているため、リリース後は早めの更新を検討すると良いでしょう。ただし、業務で重要なソフトウェアや周辺機器を使用している場合は、メーカーの対応状況を確認してから更新するのがおすすめです。
