「最近、パソコンの動きが遅くなってきた気がする」「なんだか不安定で、時々エラーが出る」──こんな経験したことないですか?実は、これらの症状の多くはシステムファイルの破損や不整合が原因です。
Windows には、こうした問題を自分で解決できる強力な修復機能が標準で搭載されています。しかも、面倒なパソコンの分解やクリーンインストールは一切不要。たった2つのコマンドを実行するだけで、システムを快適な状態にできます。
そこで、このコマンドの使い方や自動化の手順も含めて詳しく解説していきます。
DISM と SFC って何?システム修復の2大コマンド
Windows には、システムを修復するための2つの公式コマンドが用意されています。
DISM(Deployment Image Servicing and Management) は、Windows イメージ、つまりシステムの基盤となる「コンポーネントストア」を修復してくれるツールです。家で例えるなら、建物の基礎や骨組みをチェックして直してくれる存在ですね。
一方、SFC(System File Checker) は、システムファイル(DLL ファイルなど)の検査と修復を担当します。こちらは壁や内装といった、より具体的な部分を点検・修理してくれるイメージです。
この2つのコマンドは、Windows 11 でも Windows 10 でも、Home エディションでも Pro エディションでも使用可能。Microsoft が公式にサポートしている安全なツールなので安心して使えます。
なぜDISM → SFC の順番が大切なの?
修復を行うときは、必ず DISM → SFC の順番で実行してください。
SFC は、修復の際に「正しいシステムファイル」を参照する必要があります。しかし、その参照元となるコンポーネントストア自体が壊れていたら、正しく修復できません。そのため、まず DISM でコンポーネントストアを修復してから、SFC でシステムファイルを修復する──この順番が重要です。
また、どちらのコマンドも管理者権限で実行する必要がある点は覚えておいてください。
「不具合が出てから」では遅い!定期メンテナンスのススメ
Microsoft の公式ガイドを見ると、DISM や SFC は主に「不具合が発生したとき」に使う想定で説明されています。でも、実際には予防的な定期メンテナンスとして使うのがとても効果的です。
おすすめの実行頻度は次のとおり。
- 月1回:通常使用の場合はこれで十分
- 週1回:ヘビーユーザーや安定性を重視する方に
- 臨時実行:Windows の大型アップデート直後や、動作に異常を感じたとき
「今は問題ないけれど…」というタイミングこそ、定期メンテナンスを活かす好機です。軽度な破損や不整合を早いうちに検知・修正できれば、大きなトラブルになる前に食い止められます。
例えば、車の定期点検と同じですね。オイル交換や消耗品のチェックを定期的に行うことで、突然のエンジントラブルを避けられます。PC も同じように、定期的なメンテナンスで「予防医療」ができるわけです。
手動でメンテナンスを実行する
それでは、実際に手動でメンテナンスを実行してみましょう。初めての方でも大丈夫、手順はとてもシンプルです。
まず、スタートメニューを右クリックして、「ターミナル(管理者)」をクリックします。

ターミナルが起動したら、次のコマンドを入力(コピペ)して、Enterキーを押します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth

処理が始まり、進捗がパーセンテージで表示されます。なお、この処理はかなり時間がかかることがあります。

DISMが完了したら、続けて次のコマンドを入力(コピペ)して、Enterキーを押します。
sfc /scannow

こちらも同様に進捗が表示されます。時間がかかることがあるので、終了するまで待機してください。

両方のコマンドの処理が終了すると、次のような画面になります。

この画面が表示されたら、PCを再起動します。これで修復作業は完了です。
メンテナンスを自動化する方法
「毎月コマンドを打つのは面倒…」「つい忘れてしまいそう」──そんな方は、メンテナンスを自動化しておくのがおすすめです。
ステップ1:バッチファイルを作成する
まず、メンテナンス用のバッチファイルを作ります。
メモ帳を開いたら、次の内容をコピーして貼り付けます。
@echo off
echo ===================================
echo Windows 定期メンテナンス開始
echo ===================================
echo.
echo Step 1: DISM を実行中...
DISM.exe /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
echo.
echo Step 2: SFC を実行中...
sfc /scannow
echo.
echo ===================================
echo メンテナンス完了!
echo ===================================
pause

ファイルメニューで「名前を付けて保存」を選択します。ファイルの保存ダイアログが表示されるので、、ファイル名を「WindowsMaintenance.bat」、「ファイルの種類」を「すべてのファイル」に変更して保存します。

保存場所は、わかりやすい場所(ドキュメントフォルダなど)がおすすめです。
ステップ2:タスクスケジューラに登録する
次に、このバッチファイルを定期的に実行するよう設定します。
タスクバーのボックスに「タスク」と入力し、「タスクスケジューラ」を選択します。

タスクスケジューラが起動するので、「基本タスクの作成」をクリックします。

任意のタスク名と説明を入力して「次へ」をクリックします。タスク名はわかりやすい名前(「Windows定期メンテナンス」など)にしておくのがおすすめです。

タスクを実行するタイミングを選択します。ここでは「毎月」を選択しました。「次へ」をクリックします。

「開始」で最初にメンテを実行する日時を設定します。「月」でメンテを実行する月度、「日」でメンテを実行する日を設定します。設定できたら「次へ」をクリックします。

「プログラムを開始」を選択し、「次へ」をクリックします。

「参照」をクリックして先ほど作成したバッチファイルを選択します。選択できたら「次へ」をクリックします。

作成したタスクの名前やスケジュールが表示されるので確認し、問題なければ「完了」をクリックします。

最初の画面に戻ります。中央のタスク一覧の中にある作成したタスクをダブルクリックします。

「全般」タブで「最上位の特権で実行する」にチェックを付けます。

「条件」タブで「タスクを実行するためにスリープを解除する」にチェックを付け、「OK」をクリックします。

これで設定完了です。指定した日時に、自動的にメンテナンスが実行されるようになります。
まとめ:定期メンテナンスで快適PC環境を維持しよう
Windows を”新品同様”の状態に保つには、DISM と SFC による定期メンテナンスが効果的です。月1回または週1回の実行を習慣にすることで、システムの小さな破損や不整合を早期に修正し、大きなトラブルを未然に防げます。
タスクスケジューラで自動化しておけば、「実行忘れ」や「コマンドの打ち間違い」といったヒューマンエラーも防げます。一度設定してしまえば、あとは放っておくだけなので非常に便利です。
パソコンが重くなってから対処するのではなく、定期的な予防メンテナンスで快適な環境を維持していきましょう。あなたの PC も、きっと長く快適に使い続けられるはずです。