2025年10月、Appleが満を持して発表したのが、新世代チップ「M5」を搭載した3つの製品です。MacBook Pro、iPad Pro、そしてVision Proが一斉にアップデートされ、特にAI性能の大幅な向上が注目を集めています。
予約開始・発売日は10月22日。価格は据え置きながらも、性能面では驚くべき進化を遂げているんですよね。そこで、この3製品の特徴や前モデルとの違いをわかりやすく解説していきます。
M5チップって何がすごいのか?M4との違いを比較
M5チップは、Appleの自社開発チップの最新世代です。まず押さえておきたいのが、製造プロセスが「第3世代3nmプロセス」にアップグレードされた点でしょう。これにより、より高性能かつ省電力な動作が実現されています。
最大の注目ポイントは「AI性能の大幅強化」
M5チップの最大の特徴は、各GPUコアに「ニューラルアクセラレーター」が新たに搭載されたことです。これにより、ローカルでのAI処理や画像・音声処理の性能が飛躍的に向上しました。具体的には、LLM(大規模言語モデル)、画像生成、音声補正などの処理が、M4チップと比較して最大3.5倍も高速化されています。
また、メモリ帯域も強化されており、従来の120GB/sから153GB/sへと増強されました。これにより、大量のデータを扱う作業でも快適に動作するようになっています。
ベンチマークで見る実測値
実際の性能を数値で見てみましょう。Geekbench 6などのベンチマークテストでは、次のような結果が出ています。
- CPUシングルコア性能:約11.9%向上
- CPUマルチコア性能:約12.2%向上
- GPU性能:最大約36%向上
グラフィック性能もM4比で最大30%アップしており、動画編集や3Dレンダリングなどのクリエイティブ作業がより快適になりそうです。
新型MacBook Pro 14インチ(M5):プロ向け性能がさらに進化

まずは、多くのクリエイターやエンジニアが愛用するMacBook Proから見ていきましょう。外観こそ変わりませんが、中身は確実にパワーアップしています。
価格と基本スペック
新型MacBook Pro 14インチの価格は24万8800円~となっており、M4モデルと同価格帯を維持しています。なお、M4搭載モデルも継続販売されるため、予算に応じて選択できるのが嬉しいポイントです。
バッテリー性能は前モデルと同等で、動画再生で最大24時間、ワイヤレス通信で最大16時間の駆動を実現。外出先での長時間作業にも対応できます。
M5になって何が変わった?
最も大きな変更点は、前述したM5チップによるAI・GPU性能の向上です。ただし、外観や基本的なポート構成には変更がありません。
メモリとストレージのオプションは次の通りです。
- メモリ:最大32GB(M4では選択不可だった構成も選べるように)
- SSD:最大4TB
ポートはThunderbolt 4を搭載しており、出力性能やカメラ仕様、筐体サイズなどは従来モデルと同一です。つまり、見た目の変化は少ないものの、中身は確実に進化しているということですね。
どんな人におすすめ?
動画編集、3Dモデリング、音楽制作などのクリエイティブワークを行う方には、GPU性能の向上が大きなメリットになります。また、AI関連のアプリケーションを頻繁に使う方にとっても、処理速度の向上は見逃せないポイントでしょう。

新型iPad Pro(M5):RAMとネットワーク性能が大幅強化

続いて、モバイル性とパワフルさを兼ね備えたiPad Proです。今回のアップデートでは、メモリとネットワーク周りが大きく進化しています。
ラインナップと価格
iPad ProはM5搭載モデルとして、13インチと11インチの2サイズで展開されます。価格は前モデルから据え置きとなっており、既存のアクセサリーとの互換性も維持されています。
スペック面での進化ポイント
新型iPad Proで注目すべき変更点は次の通りです。
CPU構成の強化
- 9コア/10コア構成を採用
- 下位モデルもRAMが8GBから12GBへ増量
RAMの増量により、複数のアプリを同時に使用する際の快適さが向上します。特に、プロ向けのアプリケーションを使う方には嬉しいアップデートです。
ネットワーク・充電性能の向上
- 外部ディスプレイ120Hz対応(本体ディスプレイは従来同等)
- Wi-Fi 7対応:最新の無線LAN規格に対応し、理論上の最大速度は従来のWi-Fi 6の約2.4倍。複数デバイスを同時接続しても速度が落ちにくく、オンライン会議や大容量ファイルのやり取りがより快適になります。
- Bluetooth 6対応:接続の安定性が向上し、ワイヤレスイヤホンやApple Pencilなどの周辺機器との通信がさらにスムーズに。省電力性能も強化されているため、バッテリー持ちにも好影響があります。
- N1RS独自チップ搭載:Appleが新たに開発したネットワーク専用チップで、Wi-FiやBluetoothの処理を最適化。接続の切り替えや通信の安定性が向上し、外出先でも途切れにくい通信環境を実現しています。
- 高速充電対応:40W以上の充電器を使えば30分で50%充電可能
充電速度の向上は、急いでいる時に特に役立ちます。外出前のちょっとした時間で十分な充電ができるのは便利ですね。
iPadでクリエイティブ作業をする方に最適
M5チップのAI性能強化により、写真編集や動画編集アプリの処理速度が大幅に向上しています。また、RAM増量によって、Procreateなどの描画アプリでも、より複雑な作品制作が快適に行えるようになりました。


新型Apple Vision Pro(M5):空間コンピューティングの進化系
最後は、Appleが提案する次世代デバイス、Vision Proです(イマイチ影が薄いですが)。M2から一気にM5へと世代を飛び越えたことで、空間体験の質が大きく向上しています。
M2から一気にM5へ
Vision ProはM2チップから一気にM5チップへと進化しました。CPUコアは8コアから10コアへ増加し、RAMも16GB程度と推定されています。
ディスプレイとバンド形状の改善
ディスプレイ
- 120Hz対応により、より滑らかな表示と応答性を実現
バンド形状の変更
- デュアルニットバンドを採用
- 固定力が向上
- ただし、重量は750g超とやや増加
頭に装着するデバイスなので、重量増加は気になるところですが、装着感の改善により長時間使用時の快適性は向上しているとのことです。
バッテリーと価格
バッテリー駆動時間は、通常使用で2.5時間、動画再生で3時間となっています。価格は前モデルから据え置き(高い!)で、新たに空間ペン型アクセサリも追加されました。
AI機能で空間体験がさらに進化
M5チップのAI性能強化により、次のような機能が高速化されています。
- スペース内ペルソナ生成
- 空間動画編集
- リアルタイム空間認識
特に、バーチャル会議などでのペルソナ表示がより自然になり、空間コンピューティングの可能性がさらに広がっています。
新モデルのスペックまとめ
M5 MacBook Pro 14インチ(2025)
項目 | 内容 |
---|---|
SoC | M5チップ(第3世代3nm、Neural Accelerators搭載) |
CPU | 10コア(高性能×4+高効率×6) |
GPU | 10コア |
メモリ | 16GB/32GB ユニファイドメモリ |
ストレージ | 512GB/1TB/2TB/4TB SSD |
ディスプレイ | 14.2インチ Liquid Retina XDR |
バッテリー | 最大24時間ムービー、16時間ワイヤレス通信 |
通信規格 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
ポート | Thunderbolt 4×3、HDMI、SDXC、MagSafe 3 |
重量 | 約1.6kg |
OS | macOS Tahoe |
ポイント
- プロユースのクリエイティブ作業に最適
- 筐体デザインは変わらないため、見た目重視の方は注意
- メモリ・ストレージの選択肢が増えた点は評価ポイント
M5 iPad Pro(2025, 11/13インチ)
項目 | 11インチ | 13インチ |
---|---|---|
SoC | M5チップ(Neural Accelerators搭載) | M5チップ(Neural Accelerators搭載) |
CPU | 9コア/10コア | 9コア/10コア |
メモリ | 12GB ユニファイドメモリ | 12GB ユニファイドメモリ |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB | 256GB/512GB/1TB/2TB |
ディスプレイ | 11インチLiquid Retina XDR | 13インチLiquid Retina XDR |
ネットワーク | Wi-Fi 7、Bluetooth 6、N1RS | Wi-Fi 7、Bluetooth 6、N1RS |
バッテリー | 最大12~14時間 | 最大12~14時間 |
ポート | USB-C(Thunderbolt 4) | USB-C(Thunderbolt 4) |
重量 | 約445g | 約579g |
OS | iPadOS 26 | iPadOS 26 |
ポイント
- RAM増量でマルチタスク性能が向上
- Wi-Fi 7、Bluetooth 6対応で将来性が高い
- 高速充電対応で外出先での使い勝手が向上
M5 Vision Pro(2025)
項目 | 内容 |
---|---|
SoC | M5チップ(10コアCPU/10コアGPU/Neural Accelerators/153GB/s帯域) |
メモリ | 16GB(推定,帯域153GB/s) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB |
ディスプレイ | 2,300万ピクセル マイクロOLED, 90-120Hzリフレッシュ |
センサー | 3Dカメラ、LiDAR、アイトラッキング, IMU他多数 |
通信規格 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3 |
バッテリー | 最大2.5時間(一般)、3時間(動画) |
重量 | 750~800g(バンド構成で異なる) |
OS | VisionOS 26 |
ポイント
- 空間コンピューティングの最先端を体験したい方向け
- 重量増加には注意(750g超)
- バッテリー駆動時間は比較的短いため、長時間使用には制約あり
まとめ:M5シリーズ、買うならどれ?注意点もチェック
今回のM5シリーズに共通するのは、AI・GPU性能の体感レベルでの飛躍です。ベンチマークの数値だけでなく、実際の使用シーンでも明確に速さを感じられるはずです。
また、価格が据え置きなのも大きなポイントですよね。性能は向上しているのに価格は変わらないというのは、買い替えを検討している方にとって嬉しい判断材料になります。
ただし、筐体・UI変化は少なめ デザインや操作性に大きな変化はありません。壁紙なども同一のため、見た目の新鮮さを求める方には物足りないかもしれません。
なお、今回の発表では、新色のアクセサリーやロジクールとのコラボレーション製品なども登場しています。本体だけでなく、周辺機器も合わせてチェックすると、より快適な環境が構築できるかと思うので、ぜひチェックしてみてください。
M5シリーズは、AI時代に対応した性能強化が魅力の製品群です。価格据え置きという点も含め、買い替えや新規購入を検討する価値は十分にあります。自分の使用用途に合わせて、最適な一台を選んでください。