先日の記事では、KB5074109適用後にクラシックOutlook+POP環境でフリーズ・終了不能になる問題を中心に解説しました。ところがその後の公式情報を追っていくと、どうやら話はOutlookだけでは終わらないことが見えてきたんです。
そこで、「Outlook続報」とともに、「クラウドストレージ上のファイルを開いたり保存したりするアプリ全般」で起こりうるリスクに絞って整理していきます。
まずOutlookの続報から
公式が認めた「POP+PST」問題の詳細
Microsoftサポートが公開した文書によると、POPアカウントとPSTを含む従来のOutlookプロファイルは、2026年1月13日以降のWindows更新後にハングする問題が正式に確認されています。
具体的な症状としては、次のような現象が報告されているんですよね。
- Outlookが「応答なし」状態になってフリーズする
- プロセスをタスクマネージャーで強制終了するか、PCを再起動しないと再度起動できなくなる
- 送信済みアイテムにメールが表示されない
- 同じメールが何度も再ダウンロードされてしまう
これだけでも十分厄介な問題なのですが、話はここで終わりません。
「OneDrive上のPST」構成も公式に問題ありと明記
同じMicrosoftの文書で、さらに重要な記述が追加されました。それは「OneDriveにPSTが保存されているOutlookプロファイルでもこの問題が発生する可能性がある」という一文です。
なお、「PST」とは、Outlookがメールやカレンダーなどのデータを保存するファイル形式のことで 正式には「Personal Storage Table」と呼ばれ、拡張子は「.pst」になります。通常はパソコンのローカルドライブに保存されますが、最近はOneDriveなどのクラウドストレージに保存している人も増えているんですよね。
The Registerや他メディアも、OneDrive上のPSTを利用している構成でOutlookがフリーズし、クラウドメール運用が事実上止まってしまうケースを具体例として挙げています。クラウドでメールを管理していた人ほど、逆に影響を受けやすいという皮肉な状況になっているわけです。
実は「Outlook専用バグ」ではないと判明
Microsoftリリースヘルスが示した「本質」
ここからが本題なんですが、Windows 11/10のリリースヘルスに追加された既知の問題の記述を見ると、問題の本質が見えてきます。
公式の説明を要約すると、「2026年1月13日以降のWindows更新(KB5074109など)をインストールすると、クラウドバックアップされたストレージ(OneDriveやDropboxなど)からファイルを開いたり保存したりする際、一部アプリが応答しなくなったり、予期しないエラーが発生する場合がある」とのこと。
ここで重要なのは、影響を受けるアプリの一例としてOutlookが挙げられているものの、「some applications(一部のアプリ)」という表現になっている点です。つまり、Outlookに限らない「プラットフォーム側の問題」として扱われているんですよね。
メディアが報じる「クラウドストレージ全般」への波及
Windows Centralや他メディアが、「OneDriveだけでなくDropboxなどクラウドストレージ全般で、開く/保存操作がトリガーになりアプリがフリーズしうる」と報じています。
実のところ、Outlookはもっとも目に見えやすい被害例に過ぎません。実際にはOfficeアプリ、テキストエディタ、画像編集ソフトなど、クラウド同期フォルダ上のファイルを直接扱うアプリはどれも影響を受ける可能性があるわけです。
どんなクラウド連携シナリオが危ないのか
典型的な「危険パターン」の例
「クラシックOutlook+POP+PSTがOneDrive上」という組み合わせは、Microsoft自身が具体例として挙げている「高リスク構成」です。でも、そのほかにも理屈の上では同じカテゴリに入るシナリオがいくつもあります。
- OneDrive上のWord/Excelファイルをローカルアプリで直接編集している
- Dropbox上のテキスト/設定ファイルをエディタから直接開いて作業している
- クラウド同期フォルダ上に写真・動画編集プロジェクト一式を置いて編集している
ただし、誤解しないでほしいのは「すべてのアプリで必ず発生する」という話ではないという点です。あくまで「クラウド上のファイルを開く・保存する経路でWindows側の不具合にヒットするとフリーズする可能性がある」というニュアンスなんですよね。
アプリ名ではなく「ファイルの置き場所」が問題の軸になっている
Microsoftの説明や各種記事を見る限り、今回の問題は「特定アプリ名」ではなく、「クラウドバックアップされたストレージを経由したファイル操作」自体に紐づいていると解釈できます。
つまり、意識すべきは、「どのアプリが安全か?」ではなく「どの場所に置いたファイルをどう扱うのが安全か?」という点。この考え方のほうが、今回の問題を理解しやすいと思います。
Microsoftが提示しているワークアラウンドと現実的な対処
Outlook向けの公式ワークアラウンド
MicrosoftがOutlook向けに案内している回避策は、大きく分けて3つあります。
1. Webメールを使う
ブラウザ版のOutlookやGmailなどのWebメールサービスに切り替える方法です。クラウド側で完結するので、ローカルアプリのフリーズ問題を回避できます。ただし、オフライン作業ができなくなるのがデメリットですね。
2. PSTをOneDriveからローカルドライブに移動する
Microsoftは専用のサポートページを用意して、OneDrive上のPSTファイルをローカルドライブに移す手順を案内しています。根本的な解決策ではありませんが、とりあえずフリーズを避けられる可能性が高いです。
3. 問題のWindows更新をアンインストールする
どうしても業務が止まってしまう場合の最終手段として、KB5074109をアンインストールする選択肢も示されています。ただし、セキュリティパッチを外すことになるので、これは本当に最後の手段として考えるべきでしょう。
その他アプリ向けの「雑すぎる」公式アドバイス
Outlook以外のアプリについては、Microsoftのガイダンスがかなりアプリ任せな内容になっているんです。「その他のアプリでこの問題が出ている場合は、アプリ開発者に連絡して、クラウド以外のアクセス方法を相談してくれ」という、正直言って雑な対応。
個人ユーザーが現実的に取り得る運用策としては、次のような方法が考えられます。
頻繁に編集するファイルはローカルへ移動
作業中のファイルはクラウド同期フォルダからローカルフォルダへ移動し、完成したらバックアップとしてクラウドに上げる運用に切り替える方法です。手間は増えますが、安全性は高まります。
数日〜数週間は様子見する
Microsoftが修正パッチを出すまで、「クラウド上で直接編集する運用」を一時的に控えるのも一つの手です。緊急性が低いファイルであれば、この選択肢が現実的でしょう。
ブラウザ版アプリを活用
どうしてもクラウド上で編集する必要がある場合は、Web版Office(Microsoft 365のブラウザ版)やGoogle ドキュメントなど、ブラウザ版アプリを選ぶ方法があります。ローカルアプリのフリーズ問題を回避できます。
個人ユーザーはどう線を引くべきか
「そのまま運用継続」してよいケース
次の条件を満たすなら、KB5074109等を維持しつつ、クラウド連携運用も慎重に継続して構わないと思います。
- クラシックOutlook+POPを使っていない
- OneDrive上にPSTを置いていない
- クラウドフォルダで頻繁に編集する「致命的な業務データ」が少ない
セキュリティ上はパッチを維持するメリットが大きいので、上記に当てはまる方は無理にアンインストールする必要はありません。
「運用見直し」や「一時ロールバック」も検討すべきケース
次のような場合は、優先順位を上げて対応を検討したほうがよいでしょう。
クラシックOutlook+POP+PSTがOneDrive上にある
実際にフリーズや送信済み表示不具合が出ている場合は、早急な対応が必要です。業務に支障が出ている状況なら、ワークアラウンドの適用を検討してください。
OneDrive/Dropbox上の業務ファイルを直接編集している
アプリフリーズによるデータ損失リスクが許容できない場合も、運用の見直しが必要になります。特に、保存中にフリーズするとファイルが壊れる可能性もあるので要注意です。
対応の優先順位としては、次のようなイメージで考えるとよいと思います。
- まずはクラウドからローカルへファイル配置を見直す
- 必要に応じて、一時的にWeb版アプリへ切り替える
- どうしても業務が回らない場合のみ、更新プログラムのアンインストールを短期的緊急策として検討する
まとめ:クラウド推進の旗振り役が起こした皮肉な事態
それにしても、ここ数年あれだけOneDriveによるクラウドバックアップを「標準の正解」として押し出してきたMicrosoftが、そのクラウド上のファイルを開いたり保存したりしただけでアプリがフリーズする不具合を出してしまうのは、あまりにお粗末と言わざるを得ません。
「ローカル保存よりクラウド保存が安心・安全」というメッセージを繰り返してきた以上、今回のクラウドストレージ絡みのトラブルについては、単なるバグ修正だけでなく、ユーザーが納得できる説明と再発防止策を示してほしいところ。
クラウド時代の便利さを享受しつつも、こうした不具合リスクも念頭に置きながら、賢く付き合っていく必要があるということでしょうか。

