最近、プライバシー保護やセキュリティ向上のためにVPNアプリを使う人が増えていますよね。特に無料のVPNアプリは手軽に始められるため、多くの人が利用しています。しかし、使っている無料VPNアプリ、実は大きなリスクを抱えているかもしれません。
そこで、危険なVPNアプリの実態と、自分のスマホを守るための対策について詳しく解説していきます。
無料VPNアプリに潜む危険性
プライバシー保護のために使っているVPNアプリが、実はユーザーの個人情報を危険にさらしているかもしれません。特に無料のVPNアプリには、想像以上のリスクが潜んでいることが最新の調査で明らかになっています。
VPNとは?
まず、VPNについて簡単におさらいしておきましょう。
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的な専用回線を作る技術のことです。普通にインターネットを使う場合、あなたの通信内容は第三者に見られる可能性がありますが、VPNを使うことで通信を暗号化し、プライバシーを保護できます。
また、VPNを使うと自分のIPアドレス(インターネット上の住所のようなもの)を隠すことができるため、匿名性を高めたり、地域制限のあるサービスにアクセスしたりすることができるようになります。
VPNについてもっと詳しく知りたい方は、👇の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
そもそもなぜ危険なのか?
「無料だし、とりあえず使ってみよう」という軽い気持ちで始める人が多いVPNアプリですが、実はそこに大きな落とし穴があります。
無料VPNアプリの運営には当然コストがかかります。サーバー代、開発費、人件費など、さまざまな費用が必要です。では、なぜ無料で提供できるのでしょうか?答えは簡単で、ユーザーのデータが商品になっているからなんです。
多くの危険なVPNアプリは、ユーザーの個人情報や通信データを収集し、第三者に販売することで収益を得ています。本来プライバシーを守るはずのVPNが、逆にプライバシーを侵害しているという皮肉な状況になっているわけです。
具体的にどんなリスクがあるの?
危険なVPNアプリが引き起こすリスクは多岐にわたります。
データの不正収集・転送
最も深刻な問題がデータの不正収集・転送でしょう。通信内容、位置情報、個人情報、ブラウジング履歴、パスワードなどの機密データが、アプリ運営企業に送信されてしまいます。特に中国企業が運営するアプリの場合、中国の国家安全法により、企業はデータ開示義務を課されているため、ユーザーデータが政府に提供される可能性が高いんです。
データの第三者提供・販売
さらに、データの第三者提供・販売も大きな問題となっています。収集したデータが広告主や他の企業に販売され、あなたの知らないところで個人情報が取引されることになります。
マルウェアの混入や不正広告
マルウェアの混入や不正広告のリスクも無視できません。一部のアプリでは、マルウェアや不正広告が挿入されることで、スマホ自体が乗っ取られる危険もあります。これはもう、セキュリティどころの話ではありません。
危険なVPNアプリの見分け方
では、危険なVPNアプリをどう見分ければよいのでしょうか?いくつかのポイントを紹介していきましょう。
過度なアクセス権限を求めるアプリは要注意
VPNアプリなのに、なぜか通話履歴やSMS、位置情報などへのアクセス権限を求めるアプリは危険です。VPNの機能に必要のない権限を求めるということは、それだけ多くのデータを収集しようとしている証拠かもしれません。
運営元が不明なアプリは避ける
次に、アプリのダウンロード画面などで運営企業の情報を確認してみてください。会社名が記載されていない、所在地が不明、連絡先が曖昧なアプリは避けた方が無難です。信頼できる企業なら、自社の情報を隠す必要はありませんので、その時点でそもそも怪しいです。
「無料・無制限」をうたうサービスは選ばない
前述したように、VPNサービスの運営にはコストがかかります。無料で無制限のサービスを提供している場合、その分をどこかで回収する必要があります。多くの場合、それがユーザーデータの販売です。
はっきり言ってしまえば、無料のVPNサービスは避けるべきです。「タダより高いものはない」という言葉通り、無料サービスの裏には必ず何らかの代償があります。プライバシー保護が目的なら、なおさら無料サービスは選択肢から外した方がいいでしょう。
評価や口コミをチェックする(ただしサクラに注意)
App StoreやGoogle Playの評価コメント、独立系レビューサイトでの評価も必ず確認しましょう。ただし、注意が必要なのはサクラレビューの存在です。
危険なVPNアプリほど、高評価のサクラレビューで評価を操作している可能性があります。レビューを確認するときは、次のような点に注意してください。
- 短期間に大量の高評価レビューが投稿されていないか
- レビュー内容が似たような文面ばかりではないか
- 最近の評価と古い評価で極端に評価が分かれていないか
- 具体的な使用感ではなく、曖昧な絶賛コメントばかりではないか
特に低評価のレビューを重点的にチェックすることが肝心です。高評価はサクラの可能性がありますが、低評価レビューには本当のユーザーの生の声が反映されていることが多いからです。
「データ通信量が異常に多い」「バッテリーの消耗が激しい」「怪しい広告が表示される」「個人情報の入力を求められた」といった具体的な問題が指摘されていないか、必ず確認してください。本当のユーザーは、具体的な問題点や改善点も含めて率直なレビューを書く傾向があります。
削除推奨の危険なVPNアプリ一覧
Tech Transparency Projectの最新調査(2025年5月8日時点)によると、次のVPNアプリは中国企業との関連が指摘されており、削除が推奨されています。これらのアプリは現在もApp StoreやGoogle Play Storeで配信が続いているため、特に注意が必要です。
Apple App Store(13アプリ)
アプリ名 | ストア上の表示名例 |
---|---|
X-VPN | Super VPN & Best Proxy |
Ostrich VPN | Proxy Master |
VPN Proxy Master | Super VPN |
Turbo VPN | Private Browser |
VPNIFY | Unlimited VPN |
VPN Proxy OvpnSpider | — |
WireVPN | Fast VPN & Proxy / Secure & Fast VPN |
Now VPN | Best VPN Proxy |
Speedy Quark VPN | VPN Proxy / VPN Master |
Best VPN Proxy AppVPN | — |
HulaVPN | Best Fast Secure VPN |
Pearl VPN | — |
Neonetworks solutions Ltd.提供のVPN | ※開発者名のみ表示 |
Google Play ストア(11アプリ)
アプリ名 | ストア上の表示名例 |
---|---|
Turbo VPN | Secure VPN Proxy |
VPN Proxy Master | Safer Vpn |
X-VPN | Private Browser VPN |
Speedy Quark VPN | VPN Master |
vpnify | Unlimited VPN Proxy |
Ostrich VPN | Proxy Unlimited |
Snap VPN | Super Fast VPN Proxy |
Signal Secure VPN | Robot VPN |
VPN Proxy OvpnSpider | — |
HulaVPN | Fast Secure VPN |
VPN Proxy AppVPN | — |
これらのアプリは、運営元情報を多層のダミー企業やシェルカンパニーで隠蔽している例が多く、アプリ内課金や広告収入を通じてユーザーデータの第三者提供・販売モデルで運営されていることが指摘されています。
もしこれらのアプリをインストールしているのであれば、すぐに削除した方がいいでしょう。また、VPNアプリのインストールを考えている人は、これらのアプリは絶対にインストールしないようにしてください。
安全なVPNサービスを選ぶためのポイント
では、どのようなVPNサービスを選べばよいのでしょうか?基本的に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
信頼できる有料サービスを選ぶ
「タダより高いものはない」という言葉がありますが、VPNサービスにおいてはまさにその通りです。適正な料金を支払うことで、データを売却する必要のないビジネスモデルを選べます。
プライバシーポリシーを確認する
面倒かもしれませんが、プライバシーポリシーには必ず目を通しましょう。どのようなデータを収集し、どう使用するのかが明記されているはずです。内容が曖昧だったり、翻訳が不自然だったりする場合は要注意です。
ノーログポリシーを掲げるサービスを選ぶ
「ノーログポリシー」とは、ユーザーの通信記録を保存しないという方針のことです。この方針を掲げているサービスなら、仮に第三者から情報開示を求められても、そもそもデータが存在しないため、プライバシーが守られる可能性が高くなります。
透明性の高い企業を選ぶ
運営企業の所在地、代表者、連絡先などの情報が明確に記載されているかチェックしましょう。また、定期的にセキュリティ監査を受けている企業であれば、より安心して利用できます。
例えば大手のVPNサービス「NordVPN」の場合、公式サイトやアプリが日本語に対応しているため、初心者でも簡単に導入できるのが大きな魅力です。また、NordVPNは世界111か国に6,400台以上のサーバーを展開しており、通信速度が速いのもいい点ですね。
さらに、ノーログポリシーを採用しており、第三者機関からも検証されているため安心ですし、メッシュネットワーク・キルスイッチ・マルウェア保護など、数多くの便利な機能を利用できます。
NordVPNの場合、長期で利用する場合は公式サイトで申し込むのが最もお得です。ただし、セール時期などでは、Amazonなどで販売されているオンラインコード版の方が安くなることもあるので、こちらをチェックした方がいいでしょう。1ヶ月版なども用意されているので、お試しで使うのもありだと思います。
まとめ
無料VPNアプリには、とにかく危険性が潜んでいます。プライバシー保護のために使い始めたVPNが、逆にプライバシーを脅かす存在になってしまうのは本末転倒ですよね。
特に今回リストアップした24のアプリについては、専門機関による調査で危険性が指摘されているため、すぐに削除した方がいいでしょう。アプリ名やブランド名を変えて再登場する場合もあるので、運営元や開発者情報が不透明なVPNアプリ全般に注意が必要です。
VPNを利用する際は、少し費用がかかっても信頼できる有料サービスを選択することが、結果的にプライバシーと安全を守ることにつながります。「安物買いの銭失い」ではありませんが、セキュリティに関しては特に、適正なコストをかけることが重要です。