2025年秋から初冬にかけて、Microsoft製品の大きな節目がやってきます。10月にWindows 10のサポートが終了するのは大きく報道されていますが、その他の製品も続々と終了します。まず、Windows 11 23H2のサポートが2025年11月11日に終了するのをはじめ、Office 2016/2019など、多くの製品が一斉にサポート終了を迎えます。
「まだ大丈夫でしょ?」と思っている方も多いかもしれませんが、実はこれ、かなり深刻な状況なんですよね。サポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムが配信されなくなり、ウイルスやマルウェアの攻撃を受けやすくなってしまいます。
そこで、2025年に迎える各製品のサポート終了について、個人ユーザーが知っておくべきポイントと対策をまとめて解説します。
2025年はMicrosoft製品のサポートが続々終了
2025年は、まさにMicrosoft製品にとって節目の年です。特に注目すべきは、10月14日と11月11日という2つの重要な日付。この2日間で、私たちが普段使っているソフトウェアの多くがサポート終了を迎えることになります。
これまでMicrosoftは段階的にサポート終了を実施してきましたが、今回は規模が違います。Windows、Office、Exchange Serverなど、主要製品が一斉に更新の区切りを迎えるため、個人・法人を問わず、多くのユーザーが移行を迫られる状況になっているんです。
では、具体的にどの製品がいつサポート終了するのか、詳しく見ていきましょう。
Windows 11 23H2は2025年11月11日で更新終了
まず、現在多くの方が使っているWindows 11 23H2について。この23H2(Home/Proエディション)は、2025年11月11日にサポートが終了します。
Windows 11 23H2って何?
Windows 11 23H2は、2023年後半にリリースされたWindows 11のバージョンの一つです。多くの方が「Windows 11の最新版」として使っているのが、この23H2になります。
サポート終了後はどうなる?
サポートが終了すると、次のような影響があります。
- セキュリティ更新プログラムが配信されなくなる
- 新しい脅威に対する保護が受けられなくなる
- 技術サポートも終了する
- 新機能の追加もストップする
「まだ普通に使えているから大丈夫」と思うかもしれませんが、セキュリティ面では非常に危険な状態になってしまうんです。
対策:Windows 11 24H2への移行が必要
幸い、解決策はシンプルです。Windows 11 24H2にアップグレードすることで、引き続き安全にWindows 11を使い続けることができます。
Windows 11 24H2へのアップグレード方法:
- Windows Updateから自動取得
- 「設定」→「Windows Update」を開く
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
- 24H2が利用可能になっていれば、自動でダウンロード開始
- 手動でアップグレード
- Microsoft公式サイトから「Windows 11インストールアシスタント」をダウンロード
- ツールを実行して画面の指示に従う
24H2は2024年10月から段階的に配信されており、多くの環境ですでに利用可能になっています。サポートは2026年10月13日まで延長されるので、早めにアップグレードしておきましょう。
安心のためのワンポイント:復元期間の延長
24H2はトラブルが続発したので、不安に感じている人も多いと思います。さすがに、トラブルはだいぶ落ち着いてきた感はありますが、万が一のトラブルに備えて「前のバージョンに戻せる期間」を延長しておくことといいでしょう。通常は10日間しか戻せませんが、簡単な操作で最大60日間まで延長できるようになります。
これで、もし24H2で何らかの問題が発生しても、60日以内なら23H2に戻すことができます。「アップデートは必要だけど心配」という方は、ぜひこの安全策も併せて実施してみてください。
詳しい手順については、以前の記事「Windows 11 24H2アップデートのトラブルを回避!復元期間を60日に延長する方法」で詳しく解説していますので、参考にしてください。
Windows 10は2025年10月14日で完全終了
当サイトでも繰り返し伝えてきていますが、Windows 10は2025年10月14日にサポートが完全終了します。こちらは23H2のような「バージョンアップ」では解決できません。
Windows 10サポート終了の影響
Windows 10のサポート終了は、単純にOSが使えなくなるということではありません。しかし、次のような問題が発生します。
- セキュリティホールが発見されても修正されない
- 新しいマルウェアに対する防御力がなくなる
- 企業のセキュリティポリシーに抵触する可能性
- 各種アプリケーションのサポート対象外になる
延長サポート(ESU)はあるが…
MicrosoftはWindows 10のセキュリティサポートを延長する「拡張セキュリティ更新」(ESU)を提供予定ですが、これは一時的な延命措置に過ぎず、根本的な解決にはなりません。
ESUの基本概要は次のとおりです。
- 提供内容:セキュリティ更新プログラムのみ
- 料金:個人向けは年間30ドル(初年度。ただし無料にする方法はあり)、年々価格上昇予定
- 期間:個人向けは最長1年、企業向けは最長3年
- 制限:新機能追加やバグ修正は含まれない
ESUでは解決できない問題
しかし、ESUを購入してもすべてが解決するわけではありません。実際には次のような問題が発生する可能性があります。
- 業務アプリケーションのサポート終了:会計ソフトや金融サービスが続々とWindows 10を推奨環境から除外
- Office 2024の長期サポート:Windows 11が実質前提となり、Windows 10での長期利用は想定外
- 既存機能の不具合:XboxゲームバーのクラッシュなどがESUでは修正されない
- サードパーティソフトとの互換性:各種アプリケーションがWindows 10サポートを順次終了
つまり、ESUは「セキュリティの延命」はできても、「実用性の維持」は保証されないのが実情です。特にビジネス利用や金融取引、クリエイティブ作業では深刻な影響が予想されます。
ESUの詳細と実際に起きている問題については「Windows 10の機能が次々停止!ESUの限界と本当のリスク」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
個人ユーザーにとってESUは現実的な選択肢とは言えず、基本的にはPC買い替えまたはWindows 11への移行を検討する必要があります。
Windows 11への移行が最優先
このような状況ですので、Windows 10ユーザーの方は、できるだけ早くWindows 11への移行を検討したほうがいいでしょう。ただし、古いPCの場合、次の要件を満たしているかチェックが必要になります
Windows 11の主要システム要件
- TPM 2.0チップの搭載
- UEFI対応
- Secure Boot機能
- 8GB以上のRAM(推奨)
- 64GB以上のストレージ
ちなみに:非対応PCでもインストールできる場合があります
最近、Windows 11 24H2では非対応とされるPCでも、クリーンインストール時に限ってシステム要件チェックがスルーされる現象が報告されています。具体的には、TPM 1.2以上とUEFI対応があれば、第7世代以前のCPUでもインストール可能な事例が相次いでいるんです。
ただし、これは公式にサポートされている方法ではなく、将来的に制限が強化される可能性もあります。また、一部のセキュリティ機能が正常に動作しない場合もあるため、あくまで「こういう方法もある」程度に捉えておくのが良いでしょう。
詳しくは「Windows 11 24H2が非対応PCにインストール可能に?報告相次ぐ”要件スルー現象”を解説」で詳しく解説していますので、興味のある方は参考にしてください。
もしお使いのPCが要件を満たしていない場合や、長期的に安心して使いたい場合は、PC自体の買い替えを検討するのがおすすめです。
Office 2016/2019も2025年10月14日で終了
Windows 10と同じ日に、Office 2016とOffice 2019も延長サポートが終了します。こちらも多くの個人ユーザーに影響する重要な変更です。
影響を受ける製品
サポート終了の対象となるのは、次の永続ライセンス版Officeです。
- Microsoft Office Home & Business 2016
- Microsoft Office Home & Business 2019
- Microsoft Office Personal 2016/2019
- Microsoft Office Professional 2016/2019
- 単体製品(Word、Excel、PowerPoint、Outlook 2016/2019など)
Office 2016/2019終了後の選択肢
サポートがなくなると、古いOfficeアプリは安全に使えなくなります。そのため、次のような対策が必要です。
1. Microsoft 365への移行(推奨)
最もおすすめの対策が、Microsoft 365への移行です。Microsoft 365は、月額または年額制のサブスクリプションサービスで、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNoteなどの主要アプリがすべて含まれており、常に最新機能が自動で追加されます。
Microsoft 365は、買い切り版にはない次のような特徴があります。
- PC、Mac、スマホ、タブレットなど無制限にインストール可能(同時使用は5台まで)
- OneDriveクラウドストレージ1TBが付属
- 新機能が定期的に追加される(AI機能のCopilotなども含む)
- 個人向けプランは月額1,490円、年額14,900円
2. Office 2024の購入
2つ目の対策は、買い切り版(永続ライセンス版)の購入です。一度購入すれば追加費用なしで使い続けられるのがメリットで、初期費用は高めですが、長期利用する場合は結果的にコストを抑えられる可能性があります。
買い切り版の特徴は次のとおりです。
- 買い切りなので毎月の支払いが不要
- 2台のPC(WindowsまたはMac)にインストール可能
- 機能アップデートは受けられない(セキュリティ更新のみ)
- サポート期間は2029年10月まで(約5年間)
3. 代替ソフトの検討
Microsoft Officeアプリを使わなくても大丈夫なのであれば、これ以外の選択肢も検討してもいいでしょう。基本的な文書作成や表計算であれば、十分実用的な代替手段が存在します。
主な選択肢は次のとおりです。
- Google Workspace:ブラウザ上で動作、リアルタイム共同編集が強み、基本機能は無料
- LibreOffice:完全無料のオープンソースソフト、Microsoft Officeとの互換性も高い
- WPS Office:低価格でMicrosoft Officeに近い操作感、年額4,000円程度
ただし、仕事でMicrosoft Office形式のファイルを頻繁にやり取りする場合は、完全な互換性の観点から純正のMicrosoft Officeを選択することをおすすめします。
サブスクか買い切りか迷ったら
「結局どっちがいいの?」と迷われる方も多いと思いますが、トータルで考えるとサブスク版(Microsoft 365)の方がメリットが大きいケースが多いんです。
常に最新機能が使える、スマホ・タブレットでも利用できる、OneDriveの1TBストレージが付属するなど、月500円程度の差額以上の価値があります。特に複数台のデバイスを使う方や、長期的に安心して使いたい方にはサブスク版がおすすめですね。
詳しい比較やお得に購入する方法については「Officeはサブスクが最強!買い切りとサブスクを徹底比較&セールでもっとお得にする方法」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Windows 10での制約は?
当初、Windows 10上で動作するMicrosoft 365アプリのサポートは2025年10月14日で終了予定でしたが、Microsoftが方針を変更し、Windows 10上でのMicrosoft 365アプリのセキュリティサポートを2028年10月10日まで延長すると発表しました。
ただし、これには次のような制限があります。
- セキュリティ更新のみ:新機能追加やバグ修正は行われない
- Windows 10本体:2025年10月14日でサポート終了(ESUで延長可能)
- 技術サポート制限:トラブル時はWindows 11移行が推奨される
この延長サポートの詳細や、Windows 10ユーザーが取るべき対応策については「Windows 10向けMicrosoft 365のサポートが2028年まで延長!Windows 10ユーザーが知るべきリスクと対応策とは?」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
これにより、Windows 10+Microsoft 365を使っている方の選択肢は少し広がりましたが、根本的な解決には「OSとOffice両方の移行」が最も安全で確実な方法であることに変わりはありません。
その他の関連製品のサポート終了日
Windows 10やOffice以外にも、同時期にサポート終了を迎える製品があります。個人ユーザーにも関係する主なものを整理してみました。
Microsoft製品の2025年サポート終了一覧表
製品名 | サポート終了日 | 備考 |
---|---|---|
Windows 10(全エディション) | 2025年10月14日 | ESU(有償延長)あり、個人利用は実質終了 |
Windows 11 23H2(Home/Pro) | 2025年11月11日 | 24H2への無料アップグレード必要 |
Office 2016(永続版) | 2025年10月14日 | Microsoft 365または新版への移行必要 |
Office 2019(永続版) | 2025年10月14日 | 同上 |
Microsoft 365 Apps on Windows 10 | 2025年10月14日 | Windows 11移行で解決 |
Visio 2016/2019 | 2025年10月14日 | 新版または365版への移行必要 |
Project 2016/2019 | 2025年10月14日 | 同上 |
この表を見るとわかる通り、2025年10月14日に集中してサポート終了が行われる予定ですね。
セキュリティリスクを軽視してはいけない理由
「サポート終了と言っても、別に今すぐ使えなくなるわけじゃないでしょ?」と思われる方もいるかもしれません。確かに、サポート終了後もソフトウェア自体は動き続けます。
しかし、セキュリティの観点から見ると、これは非常に危険な状態なんです。
サイバー攻撃者は「終了日」を狙っている
サポート終了した製品は、サイバー攻撃者にとって格好の標的になります。新しい脆弱性が発見されても修正されないため、攻撃が成功する可能性が格段に高くなるからです。実際、Windows XPやWindows 7のサポート終了後、これらのOSを狙った攻撃が急増したという事例もあります。
サポートが終了すると、新しく発見されたセキュリティの脆弱性(システムの弱点)が修正されなくなります。サイバー攻撃者たちは、このサポート終了日を狙い撃ちしているのが現実です。つまり、2025年10月14日以降、Windows 10は「攻撃しやすい標的」として狙われやすくなってしまうということなんです。
具体的には次のようなリスクが高まります。
- 個人情報の漏洩:ネットバンキングのログイン情報、クレジットカード番号、住所・電話番号などが盗まれる
- 金銭被害:不正送金や勝手なオンライン決済により、直接的な金銭損失を被る
- 身元の乗っ取り:個人情報を悪用されて、なりすまし被害に遭う
- ランサムウェア攻撃:PCがロックされ、解除のために身代金を要求される
- プライベート情報の拡散:写真や文書ファイルが勝手にインターネット上に公開される
特に怖いのは、これらの被害が「目に見えない形で進行する」ことが多いです。気づいた時には既に手遅れになっているケースも少なくありません。
つまり、サポートが終了したシステムでこれらの作業を続けることは、貴重な個人情報を無防備な状態にしておくことと同じなんです。
「後で対応すればいい」は通用しない
サポート終了後の対応は、事前準備と比べて格段に困難になります。セキュリティ上の問題が発生してからでは、既に手遅れになっている可能性も高いです。
だからこそ、余裕をもって事前に対策を講じることが重要なんですね。
まとめ:早めの準備で安心・安全に
2025年の秋から初冬にかけてのMicrosoft製品サポート終了は、多くの個人ユーザーにとって避けて通れない重要な節目です。Windows 10、Office 2016/2019、そしてWindows 11 23H2と、普段使っているソフトウェアが一斉にサポート終了を迎えるんですから、その影響の大きさは計り知れません。
でも、早めに準備を始めれば、慌てることなく安全に移行できます。
「まだ時間はあるから大丈夫」と思わずに、今から少しずつ準備を始めてみてください。特に、古いPCをお使いの方やWindows 10をお使いの方は、PC買い替えも含めた大きな移行が必要になる可能性があります。
セキュリティは「転ばぬ先の杖」が何より大切。安心・安全にパソコンを使うためにも、ぜひ早めの対策を検討してみてください。