現代のビジネスでは、「データの活用」が成功の鍵を握っていますよね。しかし、肝心のデータ活用がうまくできていないと悩んでいる企業や担当者の方は少なくないと思います。そこで注目なのが「Amplitude」(アンプリチュード)です。
Amplitude は、主にデジタルプロダクトの成長を目指す企業や、顧客データを活用して製品改善やエンゲージメント向上を図りたい企業向けに提供されている強力なプロダクト分析ツール。そこで、Amplitude が提供する代表的な機能とそのメリットを紹介していきましょう。
Amplitudeについて
「デジタルサービスを提供しているけれど、本当にユーザーに価値を届けられているのかな?」「どうすれば顧客により良い体験を提供できるのだろう?」—— こんな悩みを抱える企業の味方となっているのが、「Amplitude」(アンプリチュード)です。
2014年に設立された Amplitude は、企業のデジタル戦略を最適化する分析ツールを提供しています。例えば、アプリやウェブサービスでユーザーが躓いている箇所を特定したり、最も価値を感じている機能を見つけ出したりするなど、まさに「顧客の声なき声」を可視化できるのが最大の特徴です。
特に、デジタル製品の利用状況を詳細に分析し、顧客体験を向上させるための「プロダクトインテリジェンス」と呼ばれる分野では、世界をリードする存在として注目を集めています。また、世界中で4万6,000以上のサービス、日本国内でも1,700以上のサービスに導入されており、フォーチュン100企業のうち26社が活用しています。
Amplitudeが注目される理由
デジタルサービスの成功には、ユーザーの行動を深く理解することが不可欠であり、プロダクト分析ツールの活用が鍵を握ります。この情報収集では、主に次の3つのポイントが重要になってきます。
- ユーザーの行動データを収集:アプリやウェブサービス内でユーザーが実行する操作をすべて記録します。例えば、どの機能を使用したか、どのような順序で画面を移動したかなどです。
- リアルタイムで分析・視覚化:収集したデータをすぐに分析し、わかりやすいグラフや図表で表示します。これにより、ユーザーの行動パターンや傾向を即座に把握できます。
- ユーザージャーニーの最適化:分析結果を基に、サービスの改善点を特定し、より良いユーザー体験を実現します。
この種の分析ツールだと「Google Analytics」や「Adobe Analytics」などが有名です。これらのツールを使っている人にとっては、「なぜ Amplitude が必要なの?」と思われるかもしれません。しかし、Amplitude と既存の分析ツールが得意とするものは、次のように大きな違いがあります。
つまり、Google Analytics や Adobe Analytics などの分析ツールは「サービスへの入口」に関する分析を得意としているのに対し、Amplitude は「サービス内での行動」に関する詳細な分析を得意としています。
より深いユーザー理解のためには、一人あたりのコンバージョン率や購入単価を高めることに注目することが必要ですよね。例えば、どのような機能が、どのようなタイミングで、どのようなユーザー層に、どのような文脈で利用されているのか。これらの複雑な関係性を理解し、仮説を立て、施策を実行していかなければなりません。
このとき、「ユーザーがどこからやってきたか」というサービス外での行動ではなく、「サービス内でどのような行動をしたのか」というサービス内での詳細な行動パターンが重要です。
既存の分析ツールでは、このような詳細な行動分析は難しいですが、Amplitude は複雑なユーザー行動の分析が可能。これにより、効果的な改善施策の立案へとつなげられます。これが Amplitude が注目を集めている理由のひとつです。
Amplitude の代表的なサービス
このように、Amplitude はユーザー行動分析に特化したプロダクト分析ツールを提供しているわけですが、一言で「分析」と言っても、さまざまな種類に分かれています。
そこでどのような分析ができるのか?という部分は気になるポイントです。それでは、どのような機能を提供しているのか、代表的なものを確認していきましょう。
ファネル分析
ユーザーが一連のプロセス(例えば、商品の選択から購入まで)をどのように進めていくかを段階的に可視化します。また、離脱ポイント(例えば、商品を選んだけど買うのをやめたなど)も可視化できます。
複数のステップのファネルを数分で構築可能。離脱ポイントの明確化により、改善ポイントがすぐにわかります。
リテンション分析
新規・既存・休眠ユーザーなどを分類し、特定期間内にどれだけのユーザーが製品やサービスを継続利用しているかを測定します。
ユーザーのライフサイクルごとの行動を把握できるので、継続利用を促進する重要なイベントや施策を特定につなげられます。
カスタマージャーニー分析
カスタマージャーニー分析では、ユーザーが製品やサービスを利用する際の全体的な行動経路を視覚化し、どのようにコンバージョンや離脱が発生しているかを分析します。
顧客体験の摩擦点や機会領域を特定し、最適なエクスペリエンス設計が可能になります。
コホート分析
ユーザーの行動や属性に基づいてグループ化し、それぞれの行動パターンや傾向を深掘りします。
ターゲットユーザーへの効果的なアプローチが可能になり、マーケティング戦略や製品改善に役立ちます。
リアルタイムイベント追跡
ユーザーがウェブサイトやアプリケーションで行うすべての行動を「イベント」として記録し、それを即座に可視化します。
ユーザーが現在どのようにサービスを利用しているかをリアルタイムで把握でき、迅速な意思決定が可能になります。また、ユーザー行動に基づいて、「今この瞬間」に適したオファーや通知を送ることができ、エンゲージメントを向上させることも可能です。
Amplitude 導入のメリット
Amplitude は、とにかく導入が容易な点が大きなメリット。SQL の知識がなくても直感的な操作で高速なデータ分析が可能です。これにより、意思決定から施策実行までのスピードを向上できます。
また、ウェブサイトやアプリのデータだけでなく、POS などのオフラインデータも統合し、ユーザー行動を多角的に分析可能。コホート分析やリテンション分析を活用すれば、どのような行動が継続率や収益に影響を与えているかを容易に特定できます。
さらに、リアルタイムでユーザーの行動を追跡し、即時対応が可能です。AIを活用した予測分析により、将来のトレンドを予測し、プロアクティブな施策立案を実現できます。
14のテンプレートが用意されており、これを活用すれば施策実行から改善までのプロセスを効率化できるのもメリット。マーケター自身がレポート作成・施策実行まで一貫して対応できるようになります。 加えて、データアナリストへの依存度が低いため、自社内で迅速に施策検証・実行が可能。結果として業務効率化とコスト削減につながります。
まとめ:高度な機能と使いやすさが特徴の分析ツール
Amplitude は、高度なユーザー行動分析機能と使いやすさで、多くの企業に採用されているプロダクト分析ツールです。例えば、NTTドコモでは「d払い」アプリにAmplitude を導入し、ユーザー行動データと決済データを統合。これにより複数サービス間で横断的なデータ分析が可能になり、顧客体験向上とサービス価値向上に寄与しています。
このように Amplitude は、迅速かつ正確なデータ解析能力やPDCA高速化など、多くのメリットがあり、デジタル製品・サービス改善には欠かせない存在となっています。基本的な機能については、無料のアカウント登録で利用が可能。気になる方はまずは登録し、実際にデータの可視化を体験してみてはいかがでしょうか。
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