Windows 11で長らく謎の挙動であった「更新してシャットダウン」を選んだのに勝手に再起動してしまう問題がついに修正されることになりました。
2025年9月29日、MicrosoftはWindows Insider Preview Build 26220.6760の公開と共に、この問題の根本的な修正を発表しました。「終わらせたいのに終わらない」というストレスフルな体験に、多くのユーザーが悩まされてきましたよね。SNSやフォーラムでは「またやられた」「信じて寝たのに朝起きたらPCがついてる」といった声が後を絶ちませんでした。
そこで、この問題の詳細と公式修正の内容、そしてアップデート方法について詳しく解説していきます。
「更新してシャットダウン」で何が起きていたのか

そもそも「更新してシャットダウン」は、Windows Updateの更新プログラムをインストールした後、PCを完全にシャットダウンする機能です。本来であれば、更新が完了したら電源が切れて終わり。翌朝PCを起動するまで何も起きないはずでした。
ところが実際には、多くのユーザーが次のような問題に直面していました。
- 「更新してシャットダウン」を選択したのに、更新後に自動的に再起動してしまう
- 夜寝る前にシャットダウンしたはずなのに、朝起きたらPCが起動している
- バッテリーが無駄に消費される
- 意図しないタイミングでファンが回り続ける
特に困ったのは、ノートPCをカバンに入れて持ち運ぶケースです。シャットダウンしたつもりが実は再起動していて、密閉されたカバンの中でPCが熱を持ち続けるという状況も報告されていました。
Xなどでは「#Windows11」「#更新してシャットダウン」というハッシュタグで、数多くの困惑の声が上がっていましたし、Microsoft AnswersやTech Communityといった公式フォーラムにも、この問題に関する投稿が何百件も寄せられていました。
2年以上放置されてきた不具合の歴史
この問題が初めて報告されたのは、Windows 11がリリースされた2021年後半から2022年頃でした。つまり、実に2年以上もの間、多くのユーザーがこの不具合と付き合ってきたことになります。
当初、ユーザーコミュニティでは「高速スタートアップ」機能が原因ではないかと推測されていました。高速スタートアップは、PCの起動を速くするためにシャットダウン時にシステムの一部を保存しておく機能ですが、これが「更新してシャットダウン」の動作に干渉しているのではないかという見方です。
ユーザーが試してきた対策
- 高速スタートアップを無効にする
- 電源オプションの詳細設定を変更する
- Windows Updateの設定を調整する
- BIOSの設定を見直す
しかし、これらの対策を試しても完全には解決せず、「一時的に改善したように見えたけど、また再発した」という報告が相次いでいました。結局のところ、個人で対処できるレベルの問題ではなく、OSの根本的な不具合だったわけです。
なぜこれほど長い間放置されたのでしょうか。推測になりますが、すべてのユーザーに100%発生する問題ではなく、環境によって再現性が異なったため、原因の特定に時間がかかったのかもしれません。また、PCが使えなくなるような致命的なバグではなかったため、優先度が下げられていた可能性もあります。
公式修正の詳細:Microsoftはこう直した
2025年9月29日に公開されたWindows Insider Preview Build 26220.6760のリリースノートで、Microsoftは次のように記載しています。
Fixed an underlying issue which could lead “Update and shutdown” to not actually shut down your PC after.
(日本語訳:「更新してシャットダウン」後にPCが実際にシャットダウンしない原因となっていた根本的な問題を修正しました)
注目したいのは「underlying issue(根本的な問題)」という表現です。これまでユーザーが試行錯誤してきた対処法では手が届かない、システムの深い部分にある問題だったということが公式に認められた形になります。
現時点では、この修正はDev Channel(開発者向けチャネル)のInsider Previewビルドでのみ提供されています。つまり、一般の安定版ユーザーには、まだこの修正は提供されていません。
しかし、Microsoftの通常のリリースサイクルを考えると、テストで問題がなければ数週間から1〜2ヶ月程度で安定版にロールアウトされる可能性が高いです。おそらく2025年末までには、多くのユーザーでこの問題が解決すると思われます。
今すぐに修正したい場合は、Windows Insider Programに参加する必要があります。ただし、Windows Insider Programはベータ版なので、PCの動作が不安定になることも少なくありません。ですので、メインPCでは正式版のリリースを待ったほうがいいでしょう。
まとめ:ようやく訪れた「本当のシャットダウン」
Windows 11の「更新してシャットダウン」問題は、一見些細に見えて、実は多くのユーザーの日常的なストレスの原因でした。夜寝る前に「ちゃんとシャットダウンできているかな?」と不安になったり、朝起きてPCが起動しているのを見て落胆したり。そんな経験をした人は少なくないはずです。
今回のMicrosoftの公式修正は、そうした小さな不満に真摯に向き合った結果と言えるでしょう。「underlying issue(根本的な問題)」という言葉からも、単なる表面的な対処ではなく、システムの深い部分まで掘り下げて修正した様子が伺えます。
とにかく、修正されることは確認できたので、正式版のリリースを待つとしましょう。
(とはいえ、2年以上放置されてきたのはどうかとは思いますけどね)