iPadで文章を書きたいという人もいると思います。しかし、iPadで使えるテキストエディタは帯に短したすきに長しというアプリが多く、しっくりくるものを見つけるのは結構鬼門なんですよね。
そんな中、中々良さげなテキストエディタを見つけました。名前は「Stone」。こちらのアプリをしばらく使ってみたので、実力はどんなものか紹介してみたいと思います。
書くことに集中できるテキストエディタ
「純粋に文章を書きたい」
という場面は人によってはあると思います（自分もあります）。
文章を書くだけだったら、GoogleドキュメントでもWordでも構わないんですが、もっとシンプルに使いたいと思ってしまうんですよね。
実際、キングジムの「ポメラ」のように、日本語を入力するだけの端末も需要がありますからね。
文章を書くときというのは、余計な機能は不要で、とにかく書くことに集中したいのです。
リードでも書きましたが、iPadでそういう使い方をする場合、案外ピッタリなエディタが見つからないのです。しっくりくるものがないんですよね。悩んでいる人も多いんじゃないかと思います。
（自分もその中のひとり）
そんな風に悶々といたときに出会ったのが「Stone for iPad」。
このアプリは日本デザインセンターさんが出しているシンプルなテキストエディタです。
キャッチコピーが「書く気分を高める」とある通り、美しいインターフェースで書くことに集中できるのが魅力とのこと。しかも無料です（ありがたや）！
というわけで、しばらく使ってみてよかった点やここは直しもらいたいという点を紹介していきましょう。
（あ、決して案件ではありません。勝手レビューです）
Stoneの良いところ
実際に使ってみて、結構いいところありましたよ。
とにかく美しいのがよい
なんといっても美しいインターフェースは非常に良いです。
「なんだよ、見た目かよ」と思われてしまうかもしれませんが、見た目って多くの人が思っている以上に大事なんですよ。
文章を書くときって、文字をとにかく見るわけですね。そのときに表示されているテキストがギザギザの美しくないフォントだと、見るのが結構苦痛に感じるものです。
しかし、Stoneで表示される文字は非常に美しい。自分の書いたものを読み返すときも、それほど苦にならないんですね。
つまり、フォントの美しさは作業効率にかなり直結したポイントなのです。
他のテキストエディタはこの辺りがおざなりになっていることが多いのですが、Stoneはこの点をしっかり押さえています。これは文章を書く人のことを考えてくれているんだな、と思います。
あと、文章を書いているときは、原稿用紙と文字以外は何も表示されなくなるのもポイント高いです。余計な設定メニューとか見えていると、案外書くことに集中できなくなってしまうんですよね。
Stoneは今書いている文章だけを表示するので、否おうなく集中できます。これもありがたいところです。
シンプルな設定が良い
次に設定が非常にシンプルなのは魅力です。設定項目は非常に少なく、書式設定でできるのは、フォント、文章の向き、文字の大きさ、行の空き、1行の文字数ぐらいです。
あとは表示設定でマス目を表示するかどうか、行番号を表示するかどうかぐらいです。
「この設定の少なさはどうなの？」と感じるかもしれません。他のエディタならもっと色々と詳細に設定できますからね。
だけど、この設定の少なさが良いのです。だって、やることって文章を書くことだけじゃないですか。ぶっちゃけ、できる設定が多すぎると、書く前の設定をする段階で悩んでしまって、書くまでに大きく時間を取られてしまうんですよね。そして、書いているときも「このように設定したほうがよかったかも」みたいな感じで邪念が走ってしまうのです。
設定の少なさは、言い換えると「できることが少ない」ということですが、だからこそ、「余計な考えが浮かばずに書くことへ集中できる」となるわけです。
もちろん、原稿を書く上での最低限の設定内容はクリアしています。設定した1行の文字数やフォントなどは、テンプレートとして保存できるので、作る文書に合わせてテンプレートを選べばそのスタイルですぐに文章を書き始められます。これは結構大きいアドバンテージです。
句読点は禁則処理してくれる
日本語を入力するときに厄介なのが句読点が文末に来たとき。いわゆる禁則処理というヤツですが、対応していないエディタは句読点が次の行に流れてしまって、非常に見にくいんですよね。
Stoneは禁則処理に対応しているので、文末に句読点が来ても安心です。文章を書く人にとっては非常に重要な処理なので、ちゃんと対応してくれていてよかったです。
文字数を表示してくれる
文章を書いていると、どのくらい書いたかという点も結構気になります。
Stoneの場合、書いているときは文章しか表示されませんが、画面をタップすると行数や文字数を表示してくれます。もちろん、選択した部分の文字数を確認することも可能。
文章を書く際に文字数は結構気にするポイントなので、きっちり押さえてくれているのはうれしいですね。
Macでも使える
個人的にありがたかったのは、Macでも使えるという点です。
Mac版アプリは3800円とちょっとお高めですが、互換性を気にせずに使えるのは魅力。
書いたデータはiCloudや他のオンラインストレージに保存できるので、家ではMac、外出先ではiPadといった使い分けが難なくできます。
外でサクサクッと文章を書きたいとき、1つのデータで作業を進められるのはいいですね。
ここは直してほしいところ
このように、Stoneはかなり良さげなテキストエディタですが、結構惜しいポイントも少なからずあります。これが直れば「常用エディタになるんだけどなぁ」という感じなんですよね。
禁則処理が甘い
先ほどは「禁則処理に対応」と書いたのですが、対応しているのは句読点だけなんですよね。例えば「こんにちは」みたいに括弧で括った（」）が文末に来た場合、次の行に流れてしまいます。
これはよろしくありません。
あと、句読点は禁則処理してくれるのですが、そのあとに改行を入れると1行空いてしまうんですよね。改行しなければいい話ではありますが、1行がつながった状態になってしまうので、文字を削除とかするとそのまま前の行にズレてしまう。これは正直マイナスポイントです。
正直、ここの部分がイマイチなので、常用エディタにできなかったりします。
直りませんかね、これ。
総ページ数がわかりにくい
文章を書いているとき、現在の行数は表示できるのですが、現在のページ数が表示されません。
行数からページ数を逆算できないことはないけれど、ページ数が表示されていれば逆算の必要はないんですよね。
使う人によってですが、ページ数を気にすることもあります。例えば、シナリオとかを書く場合、ページ数で大体の尺数をつかんだりするので（大体400字詰め原稿1枚で1分が目安）、ページ数が見えていると見えていないでは使い勝手がかなり異なるのです。
このぐらいは設定でオン／オフできてもいいと思いますね。
iPadによっては「書式設定」が開きづらい
iPadで文章を入力する人は、外付けキーボードを使うことがほとんどだと思います。その際、キーボードメニューが右下に表示されますが、これが「書式設定」を呼び出すメニューに被ってしまって、書式設定をすぐに開けません。
些細なことのようですが、これは地味にストレス。
キーボードメニューは移動できるので、移動させればいいんですが、それに気付けない人もいるはず。すると書式設定が開けないということになってしまいます。
iPadによってちょっと動きが違うので、すべてのiPadで起きるわけではありませんが、書式設定メニューは別の場所に配置してくれれば、こういう問題は起きないなぁと思います。
たまに落ちる
これが致命的なところなのですが、たまに落ちます。
自動保存されているわけではないので、落ちてデータが残っていなかった場合はおじゃんです。
これはちょっとマズいポイントですね。
iPadのアプリで落ちるという経験はあまりしたことがなかったので、最初落ちたときはかなりの衝撃を受けました。それにこれだけシンプルなアプリなのに落ちるなんて、、、と思ってしまいますね。
結構魂込めて書いていることが多いので、「落ちる」はかなり致命的です。そんなにポンポン落ちるわけではありませんが、肝心なときに落ちる（マーフィーの法則かな？）ような気がしているので、どうしても信頼性に疑いが生じ、使うのをためらってしまいます。
「無料だから仕方がない」のかもしれませんが、、、いやでも、それでもダメだろ。
とにかく、信頼性をもっと上げてほしいですね。でないと、ちょっと怖くて使えません。
あまりアップデートされていない
アップデートの頻度がイマイチ、という点も気になります。最後のアップデートが2024年3月なので、もう4か月近く更新されていませんね。
アップデートの頻度が低いと、「あまりやる気がないんじゃないか」と思ってしまいます。前述のような問題への対処もされないということを意味するので、ますます使う気が低下してしまいます。
せめて、もう少しアップデートの頻度を上げてほしいですね。
コンセプトはいいだけにすごく惜しいアプリ
というわけで、「Stone」について書いて参りました。
iPadで使ったテキストエディタの中で、文章を書くということに特化したものの中では、個人的に1、2を争うものだと思っています。
だからこそ、直してほしい点で書いたものは、できれば修正してほしいですね。
これが直らないと、どうしても常用エディタに昇格できません（なんか偉そうだな。ごめんなさいね）。
Stoneに思うことはこんなところ。とてもシンプルで使いやすいので、これらの欠点が直れば本当にいいんですけどね。
とはいえ、iPad版は無料でダウンロードできるので、気になった人は試してみるのがオススメです。
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