突然Googleから「お客様の情報に関するセキュリティ通知」というメールが届いて、不安になっている方も多いのではないでしょうか。X(旧Twitter)では「これって本物?」「またフィッシング詐欺?」と混乱の声が上がっているようです。
実は、このメールは本物。2025年10月にGoogleヘルプセンターで情報流出の可能性がある事案が発生し、11月になってユーザーへの通知が行われました。そこで、何が起こったのか、あなたの情報は大丈夫なのか、そして今すぐやるべき対策について、わかりやすく解説していきます。
今回の情報流出、何が起こったの?
発生した期間と公表までの経緯
2025年10月19日から22日の間、Googleヘルプセンターのシステムで「アクセス制御の設定ミス」が発生しました。Googleは11月6日(日本時間)に影響範囲を確認し、該当するユーザーに対してメールで通知を開始しています。
事案発生から通知まで約1ヶ月近くかかったことで、多くのユーザーが「忘れた頃に届いた」「本物か判断できない」と混乱する事態になっているんです。
原因はハッキング?それとも…
今回の原因は、外部からのハッキングではなく、Google内部の設定ミスです。具体的には「ヘルプセンター システム内のアクセス制御の誤設定」により、本来閲覧できないはずの情報に無許可でアクセスできる状態になっていました。
Googleによると、この設定ミスはすでに修正済みとのことです。
流出した可能性がある情報は?
対象となる情報
過去にGoogleヘルプセンターで問い合わせをしたことがある方のうち、次の情報が流出した可能性があります。
- 氏名、電話番号、メールアドレスのいずれか(アカウントに関連付けられた基本情報)
- サポートケース番号
- 場合によってはGoogleの内部処理用ID番号
流出していない情報
今回のトラブルで、次の情報は流出していないとのことです。
- パスワード
- クレジットカード情報や銀行口座などの財務情報
- GmailやGoogle Driveなどの他のGoogleサービスのデータ
- Google Payの決済情報
Googleも「他のGoogleサービスのデータに影響はありません」と明言していますので、この点は安心できる材料ですね。
なぜ今頃メールが届くの?本物か偽物か見分ける方法
通知が遅れた理由
10月19日に発生した事案なのに、なぜ11月になってメールが届いたのでしょうか。
Googleは事案発生後、影響範囲の特定と修正を行い、11月6日になってようやく「お客様のアカウントへの影響を確認」できたとしています。つまり、誰のどの情報が影響を受けたかを調べるのに時間がかかったと考えられます。
本物のメールか確認する方法
最近はフィッシング詐欺メールが巧妙化しているため、「本当にGoogleからのメールなのか?」と疑うのは正しい姿勢です。次の方法で確認しましょう。
1. 送信元のメールアドレスを確認する
本物のGoogleからの通知は、以下のようなアドレスから送られてきます:
no-reply@accounts.google.com- その他のGoogle公式ドメイン(@google.com)
Gmailで確認する場合は、送信者名の下にある矢印マークをタップして、メールヘッダーの「mailed-by」と「signed-by」の両方に「google.com」と表示されているか確認してください。
2. メール内のリンクは直接クリックしない
メール本文に記載されているリンクは、念のためクリックしないでください。
3. Googleアカウントのセキュリティ画面で確認する
代わりに、ブラウザから直接Googleアカウント(https://myaccount.google.com/)にアクセスして、セキュリティ診断を確認しましょう。
- Googleアカウントにログイン
- 左メニューから「セキュリティ」を選択
- 「最近のセキュリティ関連のアクティビティ」を確認
ここに今回の通知と一致する内容が表示されていれば、本物のメールと判断できます。
ユーザー側で対応は必要?
Googleのメールには「お客様でご対応いただくことはありません」と記載されています。システムの設定ミスはすでに修正されており、技術的な対応は完了しているためです。
しかし、本当に何もしなくていいのでしょうか?
実は、流出した情報を悪用した二次被害のリスクがあるため、自衛策を講じることが重要なんです。
今すぐやるべき3つの対策
対策1:ダークウェブレポートで情報流出を確認
Googleは「ダークウェブレポート」という機能を提供しています。これは、あなたの個人情報がダークウェブ(ネット上の闇市場)に流出していないかを監視してくれるツールです。
ダークウェブレポートの使い方:
- Googleアカウントにログイン
- 「セキュリティ」→「ダークウェブレポート」にアクセス
- 監視したい情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレス)を登録
登録した情報と一致するデータがダークウェブで見つかった場合、通知が届きます。今回の流出とは別に、過去の他の流出事案で自分の情報が出回っていないかもチェックできるので、これで確認してみてください。なお、利用条件は次のとおりです。
- 日本を含む特定の国・地域で利用可能
- 一般ユーザー向けGoogleアカウントが必要(Google Workspace(会社用)アカウントは対象外)
- アカウントがない場合でも、メールアドレスだけで簡易レポートを実行可能
対策2:二段階認証を必ず有効にする
パスワードが流出していなくても、氏名やメールアドレスが漏れると、それを使った巧妙なフィッシング詐欺のターゲットにされる可能性があります。
二段階認証(2FA)を設定すれば、万が一パスワードが破られても、スマホに送られるコードがなければログインできません。
設定方法は次のとおりです。
- Googleアカウントの「セキュリティ」にアクセス
- 「2段階認証プロセス」を選択
- 画面の指示に従って設定
Google以外のサービス(Amazon、X、銀行のオンラインバンキングなど)でも、二段階認証が使えるサービスはすべて有効にしておくことをおすすめします。
さらに安全性を高めるなら「パスキー」も検討を
Googleは、パスワードに代わる認証方法として「パスキー」も提供しています。パスキーは生体認証(指紋や顔認証)を使うため、フィッシング詐欺に強いのが特徴。さらに安全性を高めるなら、こちらも設定しておきましょう。
対策3:フィッシング詐欺に警戒する
今回流出した可能性がある「氏名」「電話番号」「メールアドレス」は、詐欺師にとって非常に価値のある情報です。そのため、次のような詐欺に注意が必要です。
- 本物の情報を使った詐欺メール:「〇〇様、あなたのGoogleアカウント(example@gmail.com)が危険です」のように、実際のあなたの名前やメールアドレスを含むメールが届くことがあります。情報が本物だからといって、メール自体が本物とは限りません。
- ボイスフィッシング(電話詐欺):「Googleサポートです」を名乗る電話がかかってくることもあります。Googleは電話で認証情報や支払い情報を尋ねることは絶対にありません。
これらの詐欺に対する対策のポイントは次のとおりです。
- メールのリンクは安易にクリックしない
- 緊急を装うメールや電話は特に警戒する
- パスワードやクレジットカード情報を求められたら詐欺を疑う
- 不安な場合は、公式サイトから直接問い合わせる
情報流出、企業に保証してもらえないの?
残念ながら保証は期待できない
今回のような設定ミスによる情報流出の場合、ユーザーに対する金銭的な保証はほぼありません。
なぜなのか?それは、流出した情報の種類と法律的な問題が関係しています。
- 流出した情報が「基本情報」のみ:クレジットカード情報のように、直接的な金銭被害につながる情報ではないため
- 被害の証明が困難:仮にフィッシング詐欺メールが届いたとしても、「今回の流出だけが原因」と証明するのは非常に難しい。私たちの個人情報は、過去のさまざまな流出事案ですでに複数回漏れている可能性があるからです
- 技術的には修正済み:企業側は「設定ミスを修正しました」と報告すれば、法律上の義務は果たしたことになる
つまり、企業は謝罪するだけで、流出した情報を回収する努力も保証もしないというのが現実です。
自衛するしかないという厳しい現実
この状況は非常に不公平に感じます。しかし、現状では私たちユーザー自身が、ダークウェブレポートなどのツールを使って自分の情報を監視し、詐欺に怯えながら自衛するしかありません。
今回の件は、私たちの個人情報が巨大テック企業にとって「その程度の扱い」でしかないという現実を突きつけているといえます。
まとめ:冷静に対策を、情報セキュリティは自衛が基本
情報流出のたびに不安になるのは当然ですが、焦ってパニックになると、かえって詐欺のターゲットになりやすくなります。今回の記事で紹介した対策を冷静に実行して、自分の情報を守っていきましょう。
最新の動向については、引き続き公式発表を注視していく必要があります。もし疑問や不安なことがあれば、Googleヘルプセンターに直接問い合わせることをおすすめします。
参考リンク
※この記事は2025年11月15日時点の情報に基づいています。最新情報は公式サイトでご確認ください。

