Yahooショッピングやヤフオクで「Office」を検索すると、数千円で販売されている「永久版」や「永続ライセンス」と書かれたMicrosoft Officeが多数ヒットします。正規品が約2万円するのに、これって異様に安いですよね。しかし、安易に飛びつくのは厳禁。色々とヤバい罠が潜んでいるかもしれません。そこで、これらの格安Officeの正体と、購入前に知っておくべきリスクについて詳しく解説します。
格安Officeとは何なのか?
Yahooショッピングやヤフオクなどで販売されている「格安Microsoft Office」は、通常価格よりも大幅に安い価格で提供されている製品です。例えば、Microsoft 365の年間サブスクリプションが公式では約2万円かかるところ、これらのサイトでは数千円で「永久版」として販売されているケースがあります。

これらの格安Officeには次の特徴があります。
- 価格が非常に安い:数百円から数千円程度で販売されている
- 「永久版」として宣伝される:公式のサブスクリプション契約とは異なり、月額費用が不要となっている
- ボリュームライセンスの転売:企業向けに販売されるボリュームライセンスを個人向けに転売している可能性がある
一見すると非常にお得に思えますが、冷静に考えれば「これはリスクだらけ」と気づくと思います。そもそも、正規に販売できる商品なら、Amazonや楽天で販売していてもおかしくないですよね?しかし、これらのサイトではこのような格安Officeを見かけることはほとんどありません。つまり、これらの商品には多くの問題が潜んでいるということです。
格安Officeのメリット
一応、メリットがないことはありません。まず、格安Officeのメリットについて見てみましょう。
- 低価格:公式サイトで購入するよりも圧倒的に安い
- 一部では使用可能:購入後、認証が通り、問題なく使用できる場合もある
確かに価格面では魅力的ですし、実際に使えることもあります。
なぜ実際に使えるものがここまで安くなっているのか?これは主に、企業向けに大量販売されるボリュームライセンス(Volume License)を個人に転売しているケースが考えられます。
ボリュームライセンスとは、企業が社員分をまとめて購入する際に割安で提供されるライセンスです。では、なぜこれが個人に転売できるのでしょうか?実は、一部の悪質な業者が以下のような方法で転売を行っています。
- 海外の企業ライセンスを不正入手:発展途上国などで格安販売されている企業向けライセンスを入手し、本来の使用目的と異なる形で販売
- 使用されなくなった企業ライセンスの転売:倒産した企業や、ライセンス数を削減した企業から余ったライセンスを入手して転売
- ライセンス契約の悪用:企業向けの契約条件を悪用して、個人向けに切り売り
これらの方法により、本来は企業内でのみ使用されるべきライセンスが個人向けに流通してしまい、格安での販売が可能になっているんです。これだけでもあまり良い雰囲気は感じないですよね。
格安Officeに潜むリスク
それでは、格安Officeに潜むリスクをさらに詳しく見ていきましょう。
ライセンス失効の可能性
格安Officeの多くは、前述の通りに法人向けライセンスを転売しているケースがほとんどです。このボリュームライセンスの個人転売は、Microsoftのポリシー違反になるので、Microsoftがライセンスを停止する可能性が考えられます。これにより、突然使用できなくなるリスクがあるということです。
「昨日まで普通に使えていたのに、今日になったら急に認証エラーが出て使えなくなった」というトラブルは珍しくありません。特に仕事で重要な書類を作成している最中にこのようなことが起こると、大きな問題になってしまいますよね。
非正規品の問題
非正規品である場合、以下のような問題が発生する可能性があります。
- インストールができない
- 認証が通らない
- ウイルスが混入している可能性
- 正規品ではないため、Microsoftのサポートを受けることができない
特にウイルスの混入については深刻な問題です。安いからといって飛びついてしまい、結果的にパソコン全体が危険にさらされてしまっては本末転倒です。
非正規品の見分け方や被害例は、👇で詳しく紹介されているので、ぜひご覧ください。

モラル的な問題
言うまでもなく、こうした格安Officeは使用許諾契約に違反している可能性が高く、違法な転売業者を支援する行為にもつながります。たとえ知らずに購入したとしても、結果的にライセンス違反に加担してしまう可能性があることは、十分に認識しておくべきでしょう。
長期的な安心感の欠如
格安Officeの中身は「買い切り版Office」と同等です。そのため、たとえ使えたとしてもサポート期間があまり長くありません。特に古いバージョンのOfficeの場合、今からだとほとんどサポート期間が残されていないのが現実です。
つまり、短い期間使ったら、セキュリティアップデートが配信されなくなり、セキュリティリスクの高い状態で使い続けることになりかねません。
また買い切り版のデメリットは、新機能が追加されないという点。サブスク版の「Microsoft 365」は新機能が随時追加されていきますが、買い切り版Officeは新機能は追加されません。これもデメリットではありますね。
いずれにせよ、長期的な利用には向いていません。最終的には再購入が必要になり、かえって費用がかさんでしまう可能性があります。
なお、サブスク版と買い切り版の違いについては、👇の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
個人情報漏洩の恐れ
Yahooショッピングなどで格安Officeを販売している業者は、海外系であることが少なくありません。そのような業者に個人情報を渡すことに伴うリスクについて考える必要があります。考えられるリスクは次のとおりです。
- 情報漏洩の可能性:海外業者が個人情報を適切に管理していない場合、情報漏洩のリスクが高まります。特に、暗号化やセキュリティ対策が不十分な場合、第三者による不正アクセスやデータ流出が発生する可能性があります。
- 第三者提供のリスク:個人情報が販売業者から第三者に提供される可能性があります。個人情報保護法では、第三者提供には本人の同意が必要ですが、海外業者の場合、法的規制が十分に守られていないケースもあります。
- 詐欺や悪用のリスク:個人情報が悪用されることで、詐欺や不正利用の被害に遭う可能性があります。例えば、クレジットカード情報や住所が不正に使用されるケースが考えられます。
- 法的保護の限界:海外業者が海外に拠点を置いている場合、日本の個人情報保護法が適用されない可能性があります。そのため、情報漏洄や悪用が発生しても、法的に対処するのが難しい場合があります。
このように、単純に「安いから」という理由だけで購入すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性が高いです。
安全にOfficeを購入するための選択肢
では、安全にOfficeを購入するにはどうすればよいのでしょうか。
公式サイトや認定販売店での購入
最も安心して利用するためには、Microsoft公式サイトや認定販売店から購入することが最善です。価格は高めですが、サポートも受けられますし、突然使えなくなる心配もありません。
正規品であれば、公式サポートも受けられますし、セキュリティアップデートも配信されるのでセキュリティ面でも安心です。もちろんライセンスが失効する恐れも不要です。
Microsoft 365の正規購入がおすすめ
特におすすめなのは、Microsoft 365の正規版です。サブスク契約ですが、Amazonなどでは定期的にセール対象となるので、公式サイトより安く購入できます。これから購入する人や継続利用を検討している人は、こちらから購入した方がお得ですね。

Microsoft 365なら、常に最新版のOfficeアプリケーションが利用でき、OneDriveのクラウドストレージも付いてきます。また、複数のデバイスで利用できるので、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも使えて便利です。
まとめ:安いからといって飛び付かずに正規品を選ぼう
格安Officeは価格面で非常に魅力的ですが、ライセンス失効や非正規品のリスク、個人情報漏洩の危険性が伴うので、おすすめできません。もし知り合いが購入するといったら全力で止めると思います。特に仕事で使用する場合、突然使用できなくなるリスクは大きな問題になってしまいます。
「安物買いの銭失い」という言葉があるように、目先の安さに惹かれて購入した結果、後でより多くの費用と時間を失う可能性が高いですね。長期的な安心感を求めるなら、多少費用がかかっても公式の正規品を購入することをおすすめします。
また、予算の都合でどうしても正規品が購入できない場合は、セールを狙うなどの工夫をしてみてください。大切なデータと時間を守るためにも、やはり正規品を購入するのがマストだと思います。