役所が発行する文書って同じ日本人が書いたのか?と疑いたくなるほど読みにくいですよね。そのようなものを必死に読んでも見落としてしまうし、何より頭が理解を拒む表現ばかりです。しかし、読まなければならない場面はどうしても出てきます。そんなときは生成AIに頼ってしまうのが最も楽で確実な方法です。
わざと読みにくくさせているのでは?という気にさせる役所の文書
役所から届いた文書や、官公庁が発行する書面とかを読んだことがある人なら、誰でも「なんだこれは?」と思うでしょう。独特の官僚言葉で難解に書かれており、この手の文書を読み慣れていない人は頭が拒否してしまいたくなる代物です。
自分も仕事の都合で福祉系の就業系の文書を読み込むことがありますが、とにかく言い回しが難解で、参照先もバラバラ。文書によって書き方も違うので、事実を確認するのにとにかく難儀します。
これってわざと読みにくくさせているんじゃないかと思ってしまいますが、一般的に役所の文書が読みにくいのは次のような理由があるそうです。
- 法的な正確さ
役所の文書は法律や規則に基づいて作成されることが多く、正確性が求められます。そのため、法律用語や特定の表現が使用されがちで、日常的な言葉遣いよりも難解に感じられてしまいます。 - 曖昧さの回避
文書の内容が誤解を招かないように、曖昧な表現を避けるように書かれています。そのため、複数の解釈ができないように明確に記述しているので、文が長くなり複雑になってしまいます。 - すべての状況を網羅
役所の文書は様々な状況に対応できるように作成されるため、例外や特別な条件なども記載します。これにより、内容が包括的で複雑になり、難解なものになってしまいます。 - 翻訳調の言葉遣い
日本語の法律や行政文書は、明治期に西洋の法律を導入した際に使われた翻訳調の言葉が今でも使われる傾向にあります。この文体が今の日本語にそぐわないため、難解に感じやすくなっています。 - 責任回避
役所の文書は、後から法的な問題が発生しないように、細かいところまで丁寧に言及します。その結果、回りくどくなり、文書が読みにくくなる傾向にあります。
一応、色々理由はあるようです。とはいえ、読みにくいのがいいということではありません(本当に困るんだ!)。そのあたりは役所も認識しているそうで、わかりやすい表現に改める取り組みがなされているそうですが、時間はかかりそうです。
こんなときこそAIを活用
このような文書を頭から読んで理解するのは、正直困難です。しかし、我々には強い武器があります。それがAIです。こんなときこそAIを活用すると、難解な文書をいとも簡単に理解しやすくなります。
生成AIはChatGPT、Gemini、Claudeなどがありますが、どれを使ってもかなりいい成果が得られます。ただ、マイクロソフトのCopilotは最近改悪があって、回答品質がかなり落ちているのでおすすめしません。Copilotが改悪された理由は次の記事で解説しているので、よかったらご覧ください。
AIで役所の文書を読み解かせる
役所の文書を見ていて思うのは、「内容を要約・簡略化したい」「手続きの方法や注意点を知りたい」「専門用語の意味を知りたい」という場面が多いなということです。これらはAIを使えば簡単に達せます。最も手軽な方法は、役所の文書をAIに渡して、質問をするという方法です。
ChatGPT、Gemini、ClaudeのいずれもPDF形式などで保存された文書をアップロードして質問が可能です(無料プランでもOK)。ここでは、ChatGPTで役所のPDF文書を読み解かせるケースを紹介していきます。
まず、役所の文書をアップロードします。ChatGPTにアクセスし、質問を入力するボックスのクリップアイコンをクリックします。
PC内に保存しているファイルをアップロードする場合は、「コンピューターからアップロードする」を選択します。ファイルの選択画面が表示されるので、アップロードするファイルを選択します。
ファイルがアップロードされると質問を入力するボックスにファイルが添付されるので、質問(プロンプト)を入力して送信します。
ここまでが基本の流れです。では具体的にどのようなプロンプトが有効かを紹介していきましょう。
文章の要約と簡略化
文章を要約したり、簡略化したりしたい場合は、次のようなプロンプトを入力します。
次の行政文書を簡潔で平易な日本語に要約してください。日常的な表現を使って、誰でも理解できるように説明をお願いします。
次の画面は、「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」という文書で問い合わせた例です。かなり長い文書で難解ですが、このような感じで目的や主要な改定内容をまとめてくれます。このように説明されれば、文書を読まなくても大体の内容を把握できます。
具体的に知りたい内容がある場合は、その内容をプロンプトに含めて質問します。例えば、上記の文書では改定された加算について知りたかったので、次のようなプロンプトを入力しました。
「障害福祉サービス等」の見直しで報酬改定となった箇所の加算について、点数とともに内容をすべてまとめてください。
すると、次のように指定した箇所で改定となった部分だけピックアップして回答してくれます。
手続きや注意点の確認
給付金などの手続きや注意点の確認もAIを使うと楽です。例えば、「住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金」の手続きと注意点は次のようなプロンプトで確認してみました。
添付の書類にある給付金の申請方法と注意点を教えてください。
非常にシンプルなプロンプトですが、ChatGPTは次のように回答してくれました。これを見れば、対象者には確認書が送られてくるので、それを送付すればいいことがすぐにわかります。
専門用語の解説
専門用語の解説も要領はまったく同じです。「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」の文書に出てくる専門用語を次のプロンプトで問い合わせました。
次の行政文書に含まれる専門用語を解析し、それぞれの意味を簡単に説明してください。難しい用語を分かりやすい言葉に置き換えてください。
その回答が次の画面です。このような感じで、専門用語も説明してくれるので、内容を理解するのに役立ちます。
スマホアプリなら写真を撮って質問も可能
ChatGPTなどはスマホアプリも提供しています。こちらを使えば、写真を撮って質問できます。手元にある紙の書類とかを調べるのに便利です。
ChatGPTアプリで紙の書類を読み込んで質問する場合は、質問を入力するボックスの中にある「+」→「写真を撮影する」をタップします。
カメラが起動するので、書類を撮影します。
注釈画面が表示されるので、「次へ」をタップします。
あとは、質問したい内容を入力して送信します。
このような感じで紙の書類の内容を要約してくれました。
怪しいところはファクトチェックする
このようにAIを使うと、爆速で要約などができます。ただし、ハルシネーション(AIが間違えた内容を自信満々に回答すること)だけは要注意です。そのため、回答は鵜呑みにせず、複数のAIで結果を試す、怪しいと思った箇所は別途調べるといった対処は必要です。
AIを使って素早く正確に把握する
このように、AIを使えば難解な役所の文書も素早く正確に把握できるようになります。本当に、これは使わない手はありません。特に、「役所の手続きが必要だけど、サッパリわからん!」みたいな方に使ってみてもらいたい方法です。
ここでは1つ質問したケースばかり紹介していますが、生成AIは回答の後に追加質問が可能なので、わからないことはどんどん質問していくと、深掘りできてよりわかりやすくなります。
もちろん、役所の文書以外でも、読むのが面倒な書類とかに使っても同じような効果が得られます。日本はAIの普及率がイマイチらしいですが、こんな感じで適材適所で使えばかなり便利ですので、毛嫌いせずに使ってみてください。
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