2026年2月に配信されたWindows 11の累積更新「KB5077181」をめぐって、ユーザーコミュニティでは不具合の報告が(案の定)出始めています。今回も、インストール失敗や再起動ループ、Wi-Fi接続の問題など、深刻な事例も含まれています。
一方で、マイクロソフトの公式ドキュメントを見ると「現時点で既知の問題はない(Microsoft is not currently aware of any issues with this update)」と記載されています。つまり、公式が「問題なし」と言う一方で、実際のユーザーからは困った声が上がっているという「ギャップ」が存在しているわけですね。
これは決して珍しい状況ではありません。過去のWindows Updateでも、配信直後は「Known issues(既知の問題)なし」とされていたのに、後日になって公式ドキュメントに不具合が追記されるケースは何度もありました。
そこで、公式情報は最低限の参考材料としつつ、ユーザー報告も含めて早期段階から情報を整理するというスタンスで、KB5077181の状況をまとめていきます。
KB5077181の概要
KB5077181は2026年2月10日に配信された、Windows 11 24H2および25H2向けの累積更新プログラムです。ビルド番号は26200.7840および26100.7840となっています。
この更新には、重要なセキュリティ修正が含まれています。KB5077181は、ゼロデイを含む2026年2月のセキュリティ更新群の一部として配信されており、ネットワーク関連の修正なども含まれています。セキュリティ更新としての重要度は高く、基本的には適用が推奨される内容となっています。
そして前述のとおり、マイクロソフトの公式サポートページには「Microsoft is not currently aware of any issues with this update(マイクロソフトは現在、この更新に関する問題を認識していません)」と明記されています。
ただし、これを「完全に問題がない」という意味で受け取るのは早計です。過去の傾向を見ると、リリース当初は「Known issuesなし」だったアップデートが、数日〜数週間後に不具合が追記されるパターンは珍しくありません。実際、2025年12月の別のアップデートでは、配信後にさまざまな問題が報告され、後から公式が認める形になったこともあります。
マイクロソフト公式とユーザー報告
Windows 11のアップデート品質をめぐっては、ここ数年ユーザーの信頼が揺らぐ状態が続いています。テレメトリデータの収集範囲拡大、予期しないUI変更の強制適用、そして何より、アップデート起因の不具合が頻発していることなどが背景にあります。
こうした状況下ですので、情報源を大きく2つに分けて考えるのが有効です。
(1)公式情報──これはマイクロソフトが企業として正式に認めた事実です。法的責任やサポート対応の範囲を明確にする必要があるため、慎重に精査された情報が掲載されます。しかし裏を返せば、確証が得られるまでは掲載されない、つまり最低限の事実しか載らないという特性があります。
(2)コミュニティ報告──Microsoft Q&A、Reddit、個人ブログなど、ユーザーが自発的に情報を共有する場です。ここには確かにノイズ(誤解や環境依存の問題など)も含まれますが、問題の早期兆候をつかむには非常に有用な情報源となります。
ここでは、コミュニティ報告を中心に、報告されている不具合を「エビデンスの強さ」で次のように分類していきます。
- Aランク:複数の独立した報告があり、深刻度も高い(コアな不具合の可能性大)
- Bランク:一部報告あり、要注意だが環境依存が濃い
- Cランク:現時点で証拠が薄い(要観察の疑い事象)
症状別に見る「現時点のエビデンス」
【Aランク】複数報告+深刻度高(コアな不具合)
まずは、複数の情報源で報告されており、深刻度も高い問題から見ていきます。
1) インストール失敗・エラー
KB5077181のインストール自体が失敗するという報告が、Microsoft Q&Aを中心に複数上がっています。
主なエラーコードとしては次のものが確認されています。
- 0x80073712
- 0x800f0983
- 0x800f0991
- 0x80070005
これらのエラーは、システムファイルの破損やコンポーネントストアの問題が原因となることが多いです。実際にMicrosoft Q&Aでは、「2026-02 Security Update (KB5077181) (26200.7840) will not install」というスレッドで、これらのエラーコードを伴うインストール失敗が議論されています。SFC /scannowコマンドを実行してシステムファイルを修復したり、DISMツールでコンポーネントストアを復旧させることで解決した事例が報告されています。
インストールできないこと自体が問題ですが、逆に言えば「インストール前に気づける」ため、後述する起動不能などと比べれば対処の余地はあると言えるでしょう。
2) 再起動ループ・起動不能
より深刻なのが、KB5077181を適用した後、再起動ループに陥ったり、Windowsが正常に起動しなくなるという報告です。
Redditの専用スレッドでは、「KB5077181がクリティカルな問題を引き起こしている」として、複数のユーザーが同様の症状を訴えています。海外フォーラムでは”critical boot loops”という表現で取り上げられており、「KB5077181が適用された端末が15回以上再起動を繰り返す」といった報告も出ています。Microsoft Q&Aでも、System Event Notification Service関連のエラーメッセージが表示されて起動できないケースなどが報告されています。
この問題は業務継続に直結するため、深刻度は最高レベルです。Microsoft Q&Aでは、Windows回復環境(WinRE)からwusa /uninstall /kb:5077181コマンドを実行してアップデートをアンインストールすることで、暫定的に起動を回復できたという報告があります。
3) Wi-Fi/ネットワーク切断
ネットワーク関連の問題も目立ちます。
「Wi-Fiには接続済みと表示されるのに、インターネットにアクセスできない」「DHCPでIPアドレスが取得できない」といった症状が、Microsoft Q&AやRedditで複数報告されています。
ここで疑問に思うのは、KB5077181自体には一部のWi-Fi不具合を修正する内容が含まれているという点です。つまり、既存の問題を修正する目的で配信されたアップデートが、別のネットワーク問題を誘発している可能性があります。
特に、特定のネットワークアダプターやルーターとの組み合わせで問題が発生しやすいという指摘もあり、環境依存の側面は強いものの、報告数の多さから深刻度の高い不具合の可能性は濃厚です。
4) Bluetoothデバイス不具合
「Bluetoothが完全に消えた」「マウスやイヤホンが認識されなくなった」という報告も複数あります。
Microsoft Q&Aには「KB5077181がBluetoothを壊した」というタイトルの専用スレッドが立っており、複数のユーザーが同様の症状を報告しています。
この問題もドライバーや特定機種との相性問題である可能性が高いです。しかし、Bluetoothが使えなくなるとマウスやキーボード、ヘッドセットなど、日常的に使うデバイスが軒並み機能しなくなるため、影響は深刻です。
【Bランク】一部報告あり(要注意・環境依存が濃い)
次に、報告はあるものの件数が限定的、あるいは環境依存の色合いが強い問題を見ていきます。
1) 同じ更新の繰り返しインストール
KB5077181をアンインストールして復元ポイントから戻しても、再び自動的にインストールされてしまうというループ状態の報告があります。
これはセキュリティ更新が”ほぼ必須”として強制的に再配信される仕組みと、不具合を回避するために外しておきたいユーザーのニーズがぶつかっている状態です。
Windows Updateの一時停止機能を使うなど、回避策はあるものの、セキュリティリスクとのトレードオフになるため、判断が難しいところです。
2) モニター関連(HDMI/外部ディスプレイ/一部GPU環境)
外部モニターが認識されなくなった、あるいは特定のNvidia環境で画面が真っ黒になる、表示がおかしくなるといった報告が散見されます。
ただし、この問題は機種、GPU、ドライバーのバージョンに強く依存していそうです。すべての外部モニター環境で発生しているわけではなく、特定の組み合わせで問題が出ているという印象です。
3) オーディオのクラッキング・ノイズ
一部のGPU+オーディオ環境で、パチパチというノイズや音が途切れる現象が報告されています。
こちらも件数は限定的で、「特定構成における相性問題」の域を出ていない印象です。オーディオ関連はドライバーやハードウェアの組み合わせで問題が出やすい領域でもあるため、KB5077181が直接の原因なのか、それとも既存の問題が顕在化しただけなのか、現時点では判断が難しいですね。
【Cランク】現時点で証拠薄(要観察・疑い事象)
最後に、報告はあるものの現時点ではKB5077181との明確な関連性が不明、あるいは件数が極めて少ない事象です。
一部のブログやコミュニティ投稿では、次のような症状が挙げられています。
- Fnキーによる画面明るさ調整が効かなくなった
- スピーカーから異音がする
- Windows検索機能の動作が不安定
ただし、これらは「Windows Update全般でありがちな副作用」として、過去のアップデートでも散発的に報告されてきた内容でもあります。現状、KB5077181と明確に紐付けられた検証記事や多数報告は確認できておらず、個別環境の問題と一般的な「あるある」が混在している可能性が高いです。
実際にどう判断・対処するか(ユーザーの選択肢)
それでは、具体的にどう行動したらいいでしょうか。
1) 適用するかどうかの判断軸
まず前提として、KB5077181にはゼロデイ脆弱性への対応が含まれているため、適用しないままにしておくと、セキュリティ上の穴が残ることになります。
一方で、適用した場合には前述のような安定性リスクがあるわけですね。
このセキュリティリスクと安定性リスクのトレードオフをどう判断するかは、PCの用途によって変わってきます。
業務用PCで絶対に止められない環境であれば、他のマシンで検証してから適用するという慎重な戦略が必要でしょう。逆に、個人用の検証マシンであれば、多少のリスクを取ってでも早めに適用し、問題があれば報告するという選択肢もあります。
「絶対に適用すべき」とも「絶対に避けるべき」とも言えない、グレーゾーンの判断が求められるのが現状です。
2) 不具合が出た場合の基本対処
もしKB5077181適用後に問題が発生した場合、まずは次の基本的な対処を試してみましょう。
最初に試すべきは、関連するドライバーの更新または再インストールです。特にネットワークやBluetooth、グラフィックス関連のドライバーは、Windows Updateとの相性問題を起こしやすいため、メーカーサイトから最新版をダウンロードして適用してみる価値があります。
ネットワーク問題の場合は、ルーターやモデムの再起動も効果的なことがあります。単純ですが、意外とこれで解決するケースも多いんですよね。
それでも改善しない場合は、システムファイルチェックを実行します。コマンドプロンプトを管理者権限で開き、SFC /scannowを実行してください。これでシステムファイルの破損が検出・修復されることがあります。
これらの手順で改善しない場合は、KB5077181のアンインストールを検討することになります。
3) KB5077181のアンインストール手順
アンインストールは以下の手順で行えます。
- 「設定」を開く
- 「Windows Update」→「更新の履歴」と進む
- 「更新プログラムのアンインストール」をクリック
- 一覧からKB5077181を探して選択
- 「アンインストール」をクリック
再起動後、問題が解消されるかを確認してください。
ただし、前述のとおりセキュリティ更新は自動的に再インストールされる可能性があります。一時的な回避策としては、Windows Updateを一時停止する機能を使うことができますが、これも永続的な解決策ではありません。
4) 回復環境からのロールバック(重症例)
Windowsが正常に起動しない、あるいは再起動ループが止まらないという最悪のケースでは、Windows回復環境(WinRE)の「コマンドプロンプト」から直接アップデートをアンインストールするしかありません。
この場合は、次のコマンドを入力して実行してください。
wusa /uninstall /kb:5077181
なお、一般的には /quietや /norestartといったオプションを付けますが、本記事ではあえて何も付けないことをおすすめします。
なぜなら、トラブルの真っ最中に「今、裏で動いているのか?」「本当に終わったのか?」と不安になるのを防ぐためです。オプションなしで実行すれば、アンインストールの進捗ダイアログが表示され、完了時には「再起動してください」という明確なメッセージが出ます。
「成功した」という確信を持ってから再起動ボタンを押す。 これが、焦っているときこそ最も確実で安心な手順です。
なお、BitLockerを有効にしている環境では、回復キーの入力を求められる可能性があります。回復キーを事前に確認しておかないと、かえって状況が悪化する恐れもあるため注意が必要です。必ず、作業前に別のデバイスで「回復キー」を確認し、手元に用意しておくのを忘れないでください。
5) 「不具合が出ていない場合」の扱い
なお、KB5077181を適用して何も問題が起きていない環境で、予防的にアンインストールする必要はないでしょう。
なぜなら、これはセキュリティ更新だからです。問題が出ていないのにアンインストールすることは、わざわざセキュリティホールを開けることになります。
ただし、「バックアップや復元ポイントを取ったうえで、数日様子を見てから適用する」という慎重な戦略は有効でしょう。特に重要な業務で使っているPCであれば、このような段階的なアプローチが賢明だと思います。
まとめ
ここまでKB5077181の状況を見てきましたが、現時点では「完全に避けるべき地雷アップデート」とまでは言えないものの、「バックアップなしで気軽に突っ込むアップデートでもない」というのが正直なところです。
セキュリティ修正として重要な内容を含んでいる以上、適用すること自体は必要です。しかし、一部の環境では深刻な問題を引き起こす可能性があることも事実なんですよね。
ですので、情報を集めつつ、アップデート前にはバックアップを取るなどの予防策が大切ということになります。いつも思うことですが、ユーザーはテスターではないので、もっと安定性の高いアップデートを配信してもらいたいものです。

