2025年11月下旬から、新Outlook for Windowsで、メールに添付されたExcelファイルを開こうとすると「しばらくしてからもう一度開いてみてください」というメッセージが表示されて開けない不具合が報告されています。
そこで、Microsoftがサービスアラート「EX1189359」として公表しているこの不具合について、詳しく解説していきます。
どんな症状が出るのか
まず、具体的にどういった症状が発生しているのかを整理しておきましょう。
新Outlook for Windowsでメールを受信し、添付されているExcelファイル(.xlsxや.xlsなど)をデスクトップアプリのExcelで開こうとすると、「しばらくしてからもう一度開いてみてください」というエラーメッセージが表示されて開けません。何度試しても同じ結果になってしまいます。


今回のトラブル、Excel以外のファイル形式、たとえばWordやPDF、画像ファイルなどは問題なく開けることがほとんど。つまり、Excel添付ファイルだけがピンポイントで開けなくなっているわけです。
この不具合が発生する条件は次の通りです。
- 新Outlook for Windowsを使用している
- 添付ファイルのファイル名に日本語(漢字、ひらがな、カタカナ)や、その他の非ASCII文字(アクセント付き文字、絵文字など)が含まれている
つまり、「売上報告_2025年11月.xlsx」のような日本語を含むファイル名のExcelファイルが開けなくなっているというわけなんです。逆に、「sales_report_2025_11.xlsx」のようにアルファベットと数字だけのファイル名なら、問題なく開けます。
今回のトラブルは、Exchange Online(Microsoft 365 や Outlook.com 等)向けのサービスアラートとして公表されていますが、添付処理は新Outlook側で行われるため、他のサービスのアカウント(Gmail、Yahoo!メールなど)でも同様の症状が出る可能性があります。
なぜこの不具合が起きているのか?
この問題の原因は、新Outlookの内部処理にあります。技術的に少し踏み込んで説明しますね。
新Outlook for Windowsでは、添付ファイルを開く際に、ファイル名を一時的な保存場所(テンポラリフォルダ)にコピーしてから、対応するアプリケーション(この場合はExcel)に渡すという処理を行っています。
この際、ファイル名に日本語などの非ASCII文字が含まれていると、ファイル名のエンコードという処理を行います。実は、このエンコード処理に不具合があり、結果としてExcelに不正なファイルパスが渡されてしまいます。
Excelは受け取ったパスのファイルを開こうとしますが、パスが壊れているため「ファイルが見つからない」という状態になり、「しばらくしてからもう一度開いてみてください」というエラーを返すわけです。
つまり、今回のトラブルはExcel本体の不具合ではなく、新Outlookの添付ファイル処理機能にあるということですね。そのため、他の形式のファイルは開けたり、同じExcelファイルでもファイル名を英数字に変更すれば開けたりするのです。
どれくらいの人が影響を受けているのか?
ビジネスメールでExcelファイルをやり取りする際、日本語のファイル名を使うのが一般的ですよね。「見積書_○○社.xlsx」「議事録_第3回会議.xlsx」といった具合です。そのため、新Outlook for Windowsを使っているユーザーなら、誰でもこの問題に遭遇する可能性があります。
また、日本だけでなく、中国語圏や韓国語圏、さらには西欧諸国でアクセント付き文字を使う地域など、非ASCII文字を日常的に使用する環境全般に影響が及びます。
個人ユーザーか法人ユーザーかという区別はありません。新Outlook for Windowsを使い、日本語ファイル名のExcel添付を受け取るユーザーであれば、広く遭遇し得る問題です。
特に法人環境では新Outlookを導入している企業も増えているため、業務に支障が出ているケースも少なくないはずです。
今すぐできる回避策
Microsoftは問題を認識しており、修正のロールアウトを進めていると説明していますが、完全に解決するまでには時間がかかるかもしれません。そこで、現時点で有効な回避策をいくつか紹介します。
1. 一度保存してから開く
最も確実な方法は、新Outlookで添付ファイルを直接開くのではなく、まずデスクトップなど任意の場所に保存してから、Excelで開く方法です。ファイルを保存してしまえば、新Outlookの処理を経由しないため、問題なく開けます。
2. ブラウザ版Outlookを使う
ブラウザ版のOutlookでは、この不具合は発生しません。急ぎでExcelファイルを開きたい場合は、ブラウザでOutlookにアクセスしてみてください。
3. ファイル名をASCII文字のみに変更してもらう
送信者側の協力が得られる場合、ファイル名を英数字のみに変更してもらうのも一つの手です。たとえば「売上報告.xlsx」を「sales_report.xlsx」のように変更してもらえば、問題なく開けるようになります。
ただし、これは相手の手間がかかるため、あくまで一時的な対応として考えた方がいいでしょう。
4. 別のメーラーを使う
Outlook以外のメールアプリを使える環境であるなら、別のメールアプリを使うのが最も効果的かもしれません。個人的に思うことですが、Microsoft製のメールアプリは昔から出来が良くなく、非常に不安定だったり、トラブルを誘発したりするものが多かったです。
そのため、古いユーザーはサードパーティ製のアプリ(ThunderBirdやBecky!など)を使うことが多かったですね。サードパーティアプリは動作も安定していますし、私自身もWindows PCをメインで使っていたときは、これらを使っていました。今なら無料で利用できるThunderBirdがいいのではないかと思います。
まとめ:原因を知って冷静に対処しよう
今回の不具合は、Excel本体ではなく、新Outlookの添付ファイル処理に原因がある問題です。特定の条件下では再現性が高いため、現場では「突然Excelが開けなくなった」「Excelがおかしい」といった誤解を招きやすい性質があります。
でも、原因さえ分かっていれば、上記のような回避策で対処できますし、焦る必要もありません。Microsoftも修正に向けて動いているとのことなので、正式な修正プログラムがリリースされるまでは、ブラウザ版Outlookを使ったり、ファイルを一度保存してから開いたりといった対応で乗り切りましょう。
Outlookにこだわりがないのであれば、別のメーラーに乗り換えるのも一つの方法です。

