海外で話題になっていた「YouTube Premium Lite」が、ついに日本でも試験提供を開始しました。月額780円でYouTube動画の広告をカットできる手頃なプランということで、早速注目を集めていますが、果たして本当にお得なのでしょうか。
そこで、YouTube Premium Liteの詳細な内容から、既存のYouTube Premiumとの違い、そして実際のメリット・デメリットまで、わかりやすく解説していきます。
YouTube Premium Liteとは?基本概要をサクッと解説
YouTube Premium Liteは、簡単に言うと「YouTube Premiumの廉価版」です。これまでのYouTube Premiumは月額1,280円(税込)で、広告なし再生に加えてYouTube Music、バックグラウンド再生、オフライン再生などの機能が付いていました。
それに対して、今回登場したLiteプランは月額780円(税込)で、基本的に広告なし再生機能のみに特化したプランとなっています。つまり、「広告がうっとうしいけど、Premiumの全機能は必要ない」という人にピッタリの選択肢ですね。
対応デバイスも幅広く、スマホ、PC、テレビなど、普段YouTubeを視聴するほぼすべてのデバイスで利用できます。これは嬉しいポイントです。
具体的に何ができるの?機能を詳しくチェック
YouTube Premium Liteで利用できる機能は、基本的に広告なし再生のみです。ただし、ここで重要なのは「完全に広告がゼロになるわけではない」という点です。
広告がカットされる範囲
通常のYouTube動画(ゲーム、お笑い、料理、学習、ニュースなど)の再生中は、プレロール(再生前)、ミッドロール(途中)、ポストロール(再生後)といった動画内広告がすべて非表示になります。
広告が表示される場面
一方で、次の場面では従来通り広告が表示される可能性があります。
- 音楽コンテンツ:公式ミュージックビデオや一部の音楽チャンネルでは広告が流れる場合がある
- YouTube Shorts:ショート動画内では広告が表示される
- サイト内のバナー広告:検索ページ、ホーム画面、チャンネル・動画ページのバナー広告やおすすめ欄は通常通り表示される場合がある
つまり、「動画本編の視聴体験は広告なしになるが、YouTube内すべてが無広告になるわけではない」というのが正確な理解ですね。
また、次の機能は利用できません。
- YouTube Music Premium
- バックグラウンド再生
- オフライン再生(動画のダウンロード)
要するに、「動画を見ている間の広告だけを消したい」という人向けのシンプルなプランということになります。
既存プランとの比較表で一目瞭然
PremiumとPremium Liteを表で比較してみました。
プラン | 月額料金 | 広告なし再生 | オフライン再生 | バックグラウンド再生 | YouTube Music |
---|---|---|---|---|---|
Premium Lite | 780円 | 一部対応※ | × | × | × |
Premium | 1,280円 | 完全対応 | ○ | ○ | ○ |
※通常動画は広告なし、音楽コンテンツ・Shortsは広告あり。検索・表示面等に一部広告残る
こうして表にしてみると、違いがよくわかりますよね。Premium Liteは、Premiumから約500円削った分、機能もシンプルになっているのが特徴です。
メリット:こんな人にはコスパ抜群
YouTube Premium Liteの最大のメリットは、やはり「安くなった」という点です。月額1,280円のPremiumと比べて500円も安いのは魅力的です。
特に次のような使い方をする人には、このプランのメリットを享受できると思います。
家でじっくり動画視聴する人
リビングのテレビや自室のPCで動画を見ることが多い方なら、バックグラウンド再生やオフライン再生は不要でしょう。広告さえなくなれば十分という人も多いはずです。
音楽は別サービスを使っている人
すでにSpotifyやApple Musicなどの音楽サービスを利用している場合、YouTube Musicは重複してしまいます。そうした方にとって、音楽機能なしのLiteプランは理想的な選択肢です。
とにかく広告が煩わしい人
「動画の途中で流れる広告にイライラするけど、月1,280円は高すぎる」と感じていた方には、まさにうってつけのプランと言えます。ただし、「YouTube内のすべての広告が消える」わけではない点は理解しておく必要があります。
デメリット:こんな場面では物足りないかも
一方で、YouTube Premium Liteには制約もあります。特に次のような使い方をする人は要注意です。
外出先でよく動画を見る人
通勤・通学中にスマホで動画を見る習慣がある方は、オフライン再生とバックグラウンド再生が使えないのは大きなマイナス。Wi-Fi環境がない場所では、データ通信量も気になります。
音楽系コンテンツをよく見る人
前述したとおり、音楽コンテンツ(公式ミュージックビデオ、一部音楽チャンネル)は広告カットの対象外です。音楽系YouTuberの動画やアーティストの公式MVをメインで見る方には、Premium Liteの恩恵を感じにくい可能性があります。
YouTube Shortsをよく見る人
ショート動画では従来通り広告が表示されるため、主にShortsを楽しんでいる方にとっては、Liteプランの恩恵をほとんど感じられないでしょう。
ながら視聴を頻繁にする人
作業しながら音楽や解説動画を流しっぱなしにしたい人は、バックグラウンド再生がないと不便です。この機能を多用している方は、従来のPremiumの方が良いかもしれません。
注意すべきポイント:試験提供ならではの懸念
YouTube Premium Liteは現在「試験提供」という位置づけです。これは何を意味するかというと、今後サービス内容が変更されたり、最悪の場合は提供終了になったりする可能性があるということです。
また、現時点では個人プランのみの提供となっており、ファミリープランや年間プランの発表はありません。家族みんなで利用したい場合や、年払いでお得に契約したい場合は、従来のPremiumを選ぶ必要があります。
結局どっちを選ぶべき?判断のポイント
ここまでの内容を踏まえて、どちらのプランを選ぶべきか判断する基準をまとめてみました。
YouTube Premium Liteがおすすめの人
- 主に家で動画視聴する
- 通常の動画コンテンツ(ゲーム、学習、バラエティなど)をメインで見る
- 音楽は別のサービスを使っている
- 動画本編中の広告をなくしたい
- 月額料金を抑えたい
- バックグラウンド再生やオフライン再生は不要
YouTube Premiumがおすすめの人
- 外出先でもよく動画を見る
- 音楽系コンテンツやShortsを頻繁に視聴する
- ながら視聴を頻繁にする
- オフライン再生を活用したい
- YouTube Musicも使いたい
- YouTube内のあらゆる広告を完全になくしたい
どちらか迷った場合は、まずLiteプランを試してみて、物足りなければPremiumに変更するという手もありますね。
まとめ:正直なところ、微妙なポジションのプラン?
YouTube Premium Liteについて詳しく解説してきましたが、正直なところ「中途半端な立ち位置」という印象が拭えません。
月額780円という価格設定は、確かにPremiumの1,280円より500円安いのですが、実際に得られる機能を考えると「本当にお得なのか?」と疑問に感じる部分があります。広告が完全になくならない、バックグラウンド再生ができない、オフライン再生もできない…といった制約を考えると、むしろ「帯に短し襷に長し」的な微妙さを感じてしまいますね。
どの層にも完全には刺さらない悩ましさ
例えば、「とにかく安く」という人なら無料のままでいいでしょうし、「快適に使いたい」という人なら結局Premiumを選ぶことになりそうです。「広告だけ消したい」というニーズがあるとはいえ、音楽コンテンツやShortsで広告が残るなら、中途半端感は否めません。
特にスマホ中心でYouTubeを使っている人にとって、バックグラウンド再生ができないのは致命的。「ながら視聴」が当たり前になっている今、この機能なしで780円は正直割高に感じます。
それでも試す価値はあるかも
とはいえ、新しい選択肢が生まれること自体は悪いことではありません。もし自分の使い方にピッタリハマる人がいるなら、それはそれで価値があるでしょう。
ただ、個人的には「どっちつかずで、どの層にも完全には訴求しきれない微妙なプラン」という印象です。YouTubeとしては様々なニーズに応えようとしているのでしょうが、結果的に「誰のためのプランなのか」が見えにくくなってしまった感があります。
気になった方は一度試してみて、自分にとって本当に価値があるかどうか見極めてから継続を判断することをおすすめします。