2025年8月1日から、Adobe Creative Cloudの個人版および学生・教職員版のプラン体系が大きく変わることになりました。
従来の「コンプリートプラン」は名前を変えて「Creative Cloud Pro」となり、同時に新しい「Creative Cloud Standard」プランが登場します。これまでは選択肢が限られていましたが、今後は生成AI機能を重視するかどうかでプランを選べるようになります。
そこで、新プランの詳細から現在のユーザーへの影響、そして7月末までにやっておくべきことまで、わかりやすく解説していきます。
新プランの概要:ProとStandardの違いを徹底比較
まずは新しいプラン体系を詳しく見ていきましょう。主な違いをまとめました。
プラン名 | 月額料金(税込) | デスクトップアプリ | モバイル・Webアプリ | 生成AI機能 | プレミアム生成機能 | クラウドストレージ |
---|---|---|---|---|---|---|
Creative Cloud Pro | 9,080円 | 20以上のアプリ全機能 | フルアクセス | 無制限 | 月4,000クレジット | 100GB |
Creative Cloud Standard | 6,480円 | 20以上のアプリ全機能 | 基本機能のみ | 月25クレジット | 利用不可 | 100GB |
Creative Cloud Pro(旧コンプリートプラン)の特徴
Creative Cloud Proは、従来のコンプリートプランが生成AI機能を大幅に強化した形です。このプランの目玉は、Photoshopの生成塗りつぶし、標準画像およびベクター生成機能が無制限で使用可能になる点です。
さらに、プレミアム生成機能として月4,000クレジットが付与され、5秒の動画を最大40本生成、または最大14分の動画と音声が翻訳できます。Fireflyの画像から動画生成、動画を翻訳、音声を翻訳、およびPremiere Proの生成延長といった高度なAI機能も利用可能です。
また、OpenAI GPT画像生成、Google ImagenとVeo、Fluxなど、アドビ以外の生成AIモデルをFireflyで直接使用する選択肢も加わるため、様々なAI技術を組み合わせたクリエイティブワークが可能です。
モバイルアプリやWebアプリへのフルアクセスも含まれているので、外出先でも本格的な編集作業を行いたい方には最適です。
Creative Cloud Standardの特徴
一方、Creative Cloud Standardは機能を絞ったプランです。現在利用できる20以上のデスクトップアプリ、サービス、特典が引き続き含まれるのは嬉しいポイントですね。
つまり、PhotoshopやIllustrator、Premiere ProなどのメインアプリはStandardでもProと同様に制限なく使えるということです。これは多くのユーザーにとって十分な機能と言えるでしょう。
ただし、生成AI機能へのアクセスが制限され、生成クレジットが減少。ウェブアプリやモバイルアプリへのプレミアムアクセスも行えないという制限があります。具体的には、標準の生成機能として月25クレジットに制限され、プレミアム生成機能は利用できない形になります。
Standardプランのモバイル・Webアプリ制限は?
「基本機能のみ」という表現だけでは、実際にどのような制限があるのかわかりにくいので、Standardプランでのモバイル・Webアプリの制限内容を詳しく説明します。
利用可能なアプリと制限の概要
Standardプランでも、次のモバイル・Webアプリは利用できます。
- Acrobat
- Adobe Express
- Adobe Fresco
- Adobe Podcast
- Photoshop iPad版・Web版
- Illustrator iPad版
- その他のAdobeモバイル・Webアプリ
重要なのは、これらのアプリの「基本機能」にはフルアクセスできるという点です。つまり、主要な編集・作成機能は問題なく使えるということです。
具体的な制限内容
一方で、Standardプランでは次の機能が制限されます。
- 生成AI機能や一部の高度な編集・プレミアム機能
- 外部AIモデル(Google Imagen、OpenAI GPTなど)の利用
- プレミアム生成機能全般
例えば、Photoshop iPad版やIllustrator iPad版、Photoshop Web版などで、生成AIやプレミアム機能はProプラン限定となります。
機能比較表
機能・アプリ | Standardプラン | Proプラン |
---|---|---|
デスクトップアプリ | フル機能 | フル機能 |
モバイル/Webアプリ | 基本機能のみ | フル機能(生成AI含む) |
生成AI機能 | 月25クレジットまで | 無制限 |
外部AIモデル連携 | 利用不可 | 利用可能 |
実際の使用感への影響
「基本機能のみ」といっても、日常的な編集作業には十分対応できます。例えば、外出先でPhotoshop iPad版を使って写真の色調整や切り抜きを行う、Adobe Expressでちょっとしたグラフィックを作成するといった作業は問題なく行えます。
制限があるのは、主にAI生成機能や高度なプレミアム機能です。モバイルやWebでもAI機能をフル活用したい場合は、Proプラン一択となります。
価格改定の内容:実質値下げ?それとも値上げ?
気になる価格についても詳しく見ていきましょう。
旧プランからの価格変更
- 旧コンプリートプラン: 7,780円/月 → Creative Cloud Pro: 9,080円/月(+1,300円)
- 新Creative Cloud Standard: 6,480円/月(旧プランより-1,300円)
Pro プランは明らかに値上げですが、Standardプランは従来のコンプリートプランより安くなっています。生成AI機能をあまり使わない方にとっては、実質的な値下げと言えるでしょう。
年間プランの価格について
年間一括払いの場合、Creative Cloud Proは102,960円/年となります。従来の年間プランより大幅な値上げとなっているため、年間プランを利用している方は特に注意が必要です。
重要なのは、価格改定は2025年8月1日から適用されることです。7月31日までに更新すれば旧料金が適用されるため、後ほど詳しく説明しますが、早めの対応がお得になる可能性があります。
現在のユーザーはどうなる?自動移行の詳細
「自分は何もしなくていいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。現在コンプリートプランを契約中のユーザーがどうなるかについてまとめました。
自動移行のタイミング
現在コンプリートプランを契約している方は、自動的にCreative Cloud Proへ移行されます。移行のタイミングは次回の契約更新日で、その時点から新料金が適用されることになります。
重要なのは、更新月の1か月前にお知らせが届き、更新月になると自動的に「Creative Cloud Pro」に変更されることです。年間プランの場合、契約期間満了まで現行プラン・価格で利用できるのは朗報ですね。
プラン変更の方法
もし「生成AI機能はそれほど使わないからStandardに変更したい」と考える場合、1か月前のお知らせ時にStandardプランへの切り替えも可能となります。また、既存の利用者はアドビアカウントからCreative Cloud Standardに切り替えることもできます。
Adobeからの通知が来てからでも変更可能ですが、混雑する可能性を考えると、早めに検討しておいた方がいいでしょう。
なお、プランの変更方法は、公式のヘルプで詳しく解説されているので、そちらをご参照ください。
7月末までの駆け込み購入はお得?メリットとデメリット
「値上げ前に年間プランを買っておいた方がいいのかな?」と考えている方、この判断は確かに重要です。
駆け込み購入のメリット
7月31日までに年間プランを購入・更新すれば、1年間は旧料金で利用できます。これは大きなメリットですよね。
具体的には、8月1日以降に年間一括払いで新規契約すると102,960円になりますが、7月末までに購入すれば従来価格(例:86,880円)で1年間利用できるため、約16,000円もの差が生まれます。
ちなみにAmazonでは、7万8,000円程度で12ヶ月版のコンプリートプランが販売されています(7月4日現在)。こちらなら新価格より2万円以上安いので、検討する価値はあると思います(※価格は変動することがあります)。

注意しておきたいポイント
ただし、いくつか注意点もあります。まず、1年後の更新時には新しい価格体系が適用されることです。
また、年間プランからStandardプランへの途中変更は可能ですが、返金については注意が必要です。年間一括払いの場合は原則として途中変更時の返金はありません。これは大幅な割引が適用されているためで、Adobeの公式規約でも明記されています。年間プラン(月々払い)の場合でも、14日以内なら全額返金されますが、それ以降は解約料が発生する仕組みです。
さらに、生成AI機能をあまり使わない方の場合、最初からStandardプランを選んだ方が長期的には安くなる可能性もあります。自分の使い方をよく考えて判断することが大切ですね。
法人・グループ版の変更点
個人版だけでなく、法人向けのプランにも変更があります。
法人向けグループ版も「Creative Cloud Pro グループ版」に名称変更され、生成AI機能の拡充とともに価格改定が行われます。チームでAdobe製品を利用している場合は、管理者の方と相談して対応を検討した方がいいでしょう。
法人版の詳細な価格については、Adobeの公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
どちらのプランを選ぶべき?用途別おすすめ
最後に、どちらのプランが自分に適しているか、用途別に整理してみました。
Creative Cloud Proがおすすめの方
- 生成AI機能を積極的に活用したい方
- Photoshopの生成塗りつぶし、標準画像およびベクター生成機能を頻繁に使う方
- Fireflyの画像から動画生成、動画・音声翻訳などのプレミアム機能を使いたい方
- OpenAI GPT画像生成、Google ImagenとVeoなど、複数のAI技術を組み合わせたい方
- モバイルアプリやWebアプリでも本格的な編集を行いたい方
- 最新のAI技術を使ったクリエイティブワークに興味がある方
Creative Cloud Standardがおすすめの方
- 主にデスクトップアプリで作業する方
- 生成AI機能は月に数回程度しか使わない方(月25クレジット以内)
- 料金を抑えつつAdobeの主要機能を使いたい方
- モバイル・Webアプリは基本機能で十分な方
- プレミアム生成機能(動画生成、翻訳機能など)は不要な方
正直なところ、多くの方にとってStandardプランでも十分な機能が提供されるのではないでしょうか。特に、従来のコンプリートプランを「高いな」と感じていた方には朗報と言えるでしょう。
まとめ:2025年8月の変更に向けて今やるべきこと
Adobe Creative Cloudのプラン二分化について解説してきました。要点をまとめると次のようになります。
主なポイント
- 生成AIを多用するなら「Pro」、そうでなければ「Standard」がおすすめ
- 現在のユーザーは自動的にProへ移行されるが、Standardへの変更も可能
- 7月31日までに12ヶ月プランを購入すれば1年間は旧料金が適用される
- Standardプランなら従来より実質値下げになる
今すぐやるべきこと
- 自分の生成AI機能の使用頻度を振り返る
- 7月末までの駆け込み購入を検討する場合は早めに決断
- Adobeアカウントでプラン管理画面を確認しておく
今回の変更は、すべてのユーザーにとって良いニュースというわけではありません。
メリットがある方
- 生成AI機能をあまり使わない方は、Standardプランで実質値下げの恩恵を受けられる
- AI機能を積極活用したい方は、より充実した機能を利用できる
負担が増える方
- 従来のコンプリートプランでAI機能を使っていた方は、Proプランへの移行で月額1,300円の値上げとなる
- 年間プランの場合、さらに大幅な価格上昇となる
8月1日の変更実施まで時間は限られていますが、自分の使い方と予算を慎重に検討して、最適な選択をしてください。特に、現在AI機能を使っている方は、値上げ分に見合う価値があるかどうかをしっかり判断することが大切です。
