2025年4月、トランプ大統領が再び中国製品に対する大規模な関税政策を発表しました。中には、iPhoneのような電子機器にも最大145%という非常に高い関税が含まれる可能性があり、アメリカ国内では「iPhoneが2倍の値段になるかも?」といった声も聞かれています。
このニュースに触れて、「じゃあ、日本でもiPhoneがすぐ高くなるの?」と心配になった方もいるかもしれません。そこで、日本のiPhone価格にどんな影響があるのかを、過去の事例や関税の仕組みとあわせて、わかりやすく考察したいと思います。
そもそも「関税」ってなに?

関税とは、外国から商品を輸入するときに国がかける税金のことです。例えば、日本が海外からワインを輸入すると関税がかかるため、現地よりも高い値段になってしまいます。また、アメリカでは外国製の自動車に高い関税をかけることで、自国の自動車産業を守ろうとする政策が取られたこともあります。
今回話題になっているのは、アメリカが中国から輸入する製品に課す関税であって、日本が中国からiPhoneを輸入する時の話ではありません。
ですので、単純に「関税=iPhoneが日本でも高くなる!」というわけではありません。
トランプ関税の対象はアメリカ市場向け

AppleのiPhoneは、現在もその多くが中国の工場で生産されています。そして、それをアメリカに輸入する際にトランプ関税がかかるという構造です。その影響を受けるのはアメリカに住んでいる人になります(大変ですね)。
一方、日本のApple Storeやキャリアで売られているiPhoneは、中国から直接日本へ出荷されているため、アメリカの関税は本来関係ありません。
つまり、「アメリカ向け関税が、日本の価格に直接影響することはない」というのが基本的な前提です。
「日本の価格も上がるかも」と言われる理由

だからといって、まったく影響がないわけではありません。ここで重要なのが、間接的な影響です。
具体的には、アメリカ国内のiPhone価格が急激に上がれば、他国との価格差が開きすぎて転売・並行輸入の問題が出てきます。それを防ぐために、Appleが世界的に価格を調整するという可能性が高まっています。
このように、「関税→アメリカでの価格高騰→世界的な価格調整→日本でも値上げ」という間接的な波がやってくる恐れがあります(個人的には間違いなくやってくると思う)。
2018年と2025年の攻防

実はこの話、今回が初めてではありません。
2018年、トランプ政権下でも中国製品への関税が打ち出され、iPhoneやApple Watchが対象になるかもしれないと懸念されました。しかし、Appleのティム・クックCEOがホワイトハウスに働きかけた結果、iPhoneなどの主力製品は関税適用から除外されました。
2025年の今回の関税引き上げも、今月になってスマートフォンやPC、半導体関連機器を一時的に相互関税の適用除外とする措置を発表しました。ただし、この措置は恒久的なものではなく、ラトニック米商務長官によれば、1〜2カ月以内に別の形で新たな関税が課される見通しです。さらに、トランプ大統領は「iPhoneは米国内で製造できる」と主張しており、米国内への回帰を促しています。
しかし、これは容易なことではありません。世界の工場といわれるほどに生産が中国に集中しているのは、単に人件費だけの問題ではなく、さまざまな部品や資材が集まっていること、大規模な製造ラインがあること、そして高度な製造技術を有していることなどの要因があります。このため、工場を建てれば米国内で製造できると簡単にいえる状況ではありません。
こうした背景から、近年では「チャイナ・プラスワン」と呼ばれる生産拠点の分散が進められています。Appleも数年前からこの動きを強化しており、Bloombergによれば、2024年3月までの12カ月間で約220億ドル相当のiPhoneをインドで生産し、これはiPhone全体の約2割にあたるといいます。2025年にはその比率を25%に引き上げる計画もあると報じられています。GoogleのPixelシリーズも同様に、インドへの生産シフトを進めています。
余談ですが、Apple製品の工場を中国にシフトさせたのはティム・クックだったので、思い切りブーメランが返ってきている状況ですね。きっと頭が痛いことでしょう。
iPhone価格は最大で約2倍の噂

ITmediaの記事では、iPhone 16 Pro Max(1TBモデル)の価格が、現在の約1,599ドルから最大で3,900ドルに跳ね上がる可能性があると指摘されています。これが「iPhoneの価格が2倍になる!」という噂の由来です。これは単純計算ですので、そこまで上がるかどうかはわかりませんが、いずれにせよ値上げされるのは確定事項だと思います。
こういう背景はともかく、ユーザーとして気になるのは「いつ値上げがされるのか?」という点ですよね。トランプ政権の政策動向は不透明ですし、Appleからの公式な値上げ発表もありません。そのため、現時点で具体的な値上げ時期を予測するには非常に難しいです。
しかし、前述の通り「関税免除は一時的」という見方が強く、1~2か月以内(5~6月)に再度関税措置や価格改定が発表される可能性が高いと複数の専門家が指摘しています。Appleは急激な値上げを避けるため、段階的な価格調整や一部コストの自社吸収も検討しているようですが、限界はあるでしょう。
さらに、円安や原材料高騰、Appleのグローバルな価格調整など、関税以外の要因でも値上げ圧力がかかっているため、2025年夏までに段階的な価格改定が実施される可能性が高いと考えられます。
日本の価格は為替にも左右される

さらに、日本は為替にも影響を受けます。最近アップル製品が高いと思っていますが、これはほぼ円安の影響です。2025年4月時点で、円は過去3年間で最も弱い水準となっており、これにより輸入品の価格が上昇しています。
iPhoneのような高価格帯の製品では、為替レートの変動が価格に大きな影響を与えるため、関税と合わせて価格上昇の要因となります。実際、アメリカでの販売価格はそれほど変わっていませんが、日本は2022年頃と比較して数万円レベルで上がっています。痛いですね。
ただ、最近では「そろそろ円高に向かうかもしれない」という空気も出始めています。150円台だった為替が、じわじわと140円台まで戻してきている局面もあり、「もう少し待てば安くなるかも」と期待してしまう自分もいます。
でも、こういうのって結局読めないんですよね。下がると思って待ってたらまた跳ね上がった、なんてことも珍しくありません。そもそも、どのタイミングの為替で日本価格を決めるのかはApple自身ですしね。iPhone 16eもやや円安のレートで日本価格が決まりましたし、非常にもどかしいです。
まとめ:結局いつが買いか?
今後の見通しですが、iPhone値上げ前の「最後の購入タイミング」は2025年5~6月中との予測が有力です。Appleは急激な値上げを避けるため、段階的な価格調整や一部コストの自社吸収も検討していますが、長期的には値上げは避けられないとの見方が強いです。
結局、今回の騒動でアップル製品の値上げは、関税→アメリカ価格上昇→Appleが世界的に価格調整→円安の影響も加わる→結果として日本でも値上げ、という流れで進みそうです。
新機種(iPhone 17など)の発表・発売サイクルは例年通り9月頃が予想されますが、既存モデルも含めて夏前後に値上げされるリスクが高まっており、在庫やキャンペーン状況によっては「今この瞬間」が最もお得な購入タイミングとも言えます。
価格が気になる方は、今のうちに買っておくのもひとつの手かもしれません。
また、新品の価格が高いと思うなら、整備済み品を狙うのも手です。ただし、過去にはAppleが新品のiPhoneやiPadなどの価格を一斉に値上げした際、同時に整備済み品も値上がりしたという事例があります。整備済み品の価格は新品の定価をベースに一定の割引率(通常15~30%程度)で設定されているため、新品の価格が上がれば、それに連動して整備済み品の価格も調整されるのが一般的です。ですので、できるだけ安く購入するなら、早めの方がいいと思います。
なお、Appleの整備済み品とAmazonなどで見かける整備済み品は別物です。こちらは👇の記事で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
中古市場をうまく活用するのも賢い選択です。中古スマートフォンを購入する場合は、一定の信頼がおける「にこスマ」や「イオシス」「ゲオ」のようなショップを使った方がいいでしょう。こちらもAppleの価格改定があると、値上げされる可能性が高いため、狙っている端末があるなら早めの決断がおすすめです。
一寸先は闇という言葉がぴったりな状況ですが、ほしい端末があるのであれば、早めの決断が良さそうな状況ですね。