先日、Windows 11の1月更新について「基本的に適用推奨」という記事を書いたばかりなのですが、その後、いくつか無視できない不具合が判明してきました。そこで、Microsoft公式やメディアで報告されている問題と、個人ユーザーとしてどう対応すべきかを整理してお伝えします。
今回取り上げるのは、主にWindows 11 24H2/25H2向けのKB5074109と、23H2向けのKB5073455+KB5077797周りの話です。
まず前提として、今回の1月更新は重要なセキュリティ更新
KB5074109は、Windows 11の24H2および25H2向けに配信された1月の累積更新プログラムです・前回の記事でも書きましたが、このアップデートでは114件以上の脆弱性が修正されており、その中にはゼロデイ脆弱性(既に悪用が確認されている脆弱性)が3件も含まれています。
また、NPU搭載ノートPCでのバッテリー消費問題やネットワーク周りの安定性向上といった、実用面での改善も含まれているんですよね。つまり、アップデート自体には確かに価値があります。前回の記事で「アップデート推奨」と書いたのは、このようなセキュリティ面でのメリットを考慮してのことでした。
ただし、その後に判明した不具合の中には、日常的な作業に支障をきたすレベルのものも含まれています。そのため、状況によっては柔軟な対応が必要になってきました。
Microsoft公式が認めている不具合
クラシックOutlook+POPアカウントでフリーズ・終了できない
最も影響が大きいと思われるのが、この問題。KB5074109を適用した後、従来のデスクトップ版Outlook(新しいOutlookではなく、クラシック版)でPOPアカウントを使用している環境において、次のような症状が発生することをMicrosoft自身が公表しています。
- Outlookを終了してもプロセスが残り続ける
- アプリケーションがフリーズして反応しなくなる
- Outlookを再起動できなくなる
Microsoftのサポートドキュメントでも正式に「KB5074109更新後、Outlookが正常終了しない問題」として記載されており、特にPOPアカウントを利用している環境で報告が集中しているようです。
Microsoft推奨の回避策
公式が案内している一時的な回避策は、「KB5074109のアンインストール」です。次の手順で実行できます。
- 設定アプリを開く
- Windows Updateを選択
- 「更新の履歴」をクリック
- 「更新プログラムのアンインストール」から該当のKBを削除
ただし、このKBをアンインストールすると、先ほど説明した114件以上のセキュリティ修正がすべて失われてしまいます。Microsoftやセキュリティメディアも、この点については警告を出しているんですよね。
そのため、この対応は「短期的な緊急回避策」として、メール業務が完全に止まってしまうようなケースに限定したほうがいいでしょう。
Windows App経由のリモートデスクトップ接続がサインイン失敗
KB5074109適用後、Windows App(Windowsクライアント向けの新しいRDPアプリ)を使用したリモートデスクトップ接続で、サインインに失敗する問題もMicrosoftが認めています。
具体的には、資格情報を入力するプロンプトが正常に動作せず、認証フェーズで接続が失敗してしまいます。技術的には、問題はクライアント側(Windows App)で発生しており、サーバー側のデータは破損していないとのことです。
回避策
Microsoftは代替手段として次の方法を案内しています。
- Windows AppのWeb版を使用する
- 従来のリモートデスクトップクライアントを使用する
自宅から別のPCにリモート接続している方や、在宅勤務でRDPを多用している方は注意が必要です。
Windows 11 23H2でシャットダウン・休止が完了しない問題
こちらはKB5074109ではなく、Windows 11 23H2向けの1月累積更新(KB5073455)で発生している問題です。この問題はWindows 11 23H2に限定されており、24H2/25H2のKB5074109とは別の更新が原因となっています。
System Guard Secure Launchが有効になっている環境で、シャットダウンや休止状態への移行が完了しない症状が報告されました。
修正済み
この問題については、1月17日付でアウト・オブ・バンド更新(KB5077797)が緊急リリースされ、既に修正されています。Windows Updateまたは更新カタログから適用できますので、該当する方は早めに適用したほうがいいでしょう。
なお、この問題は「23H2+特定のセキュリティ機能有効」という条件に該当する環境に限定されるため、多くの個人ユーザーには影響がないと思われます。
メディア等で報告されている問題(Microsoft未確認)
ここからは、複数のメディアやユーザーから報告されているものの、まだMicrosoftの「既知の問題」リストには正式に掲載されていない症状です。「再現報告は多いが、公式の『既知の問題』にはまだ載っていない」タイプの不具合を紹介します。
ログイン後、デスクトップ表示まで黒画面が続く
Windows Latestなどのニュースサイトに加え、海外フォーラムでも同様の現象が報告されています。KB5074109適用後、サインインしてからデスクトップが表示されるまで、数秒から場合によっては数分間、黒い画面のままカーソルだけが表示される状態になるというものです。
最終的にはデスクトップが表示されるため、システム自体が壊れているわけではありませんが、毎回起動時に待たされるのは不便です。
デスクトップ背景(壁紙)が黒にリセットされる
KB5074109適用後、設定していた壁紙が黒背景にリセットされてしまう報告が増えています。Windows Spotlightを使っている場合でも、カスタム壁紙を設定している場合でも発生する可能性があるようです。
多くの場合、「設定」→「個人用設定」→「背景」から再設定すれば元に戻りますが、再発するケースもあるとのことです。
desktop.iniが効かない・隠しフォルダが表示される
これはやや技術的な内容になりますが、Windows Latestの検証によると、KB5074109適用後、エクスプローラーがdesktop.iniファイルの「LocalizedResourceName」設定を無視するようになり、カスタム表示名が反映されなくなる問題が発生しているとのことです。
また、隠し属性を付けたフォルダ(例:Saved Gamesなど)が、設定どおりに非表示にならないという報告もあります。
この問題は一般的なユーザーにはあまり影響しませんが、次のような方は気になるかもしれません。
- 自宅NASやゲームセーブフォルダをdesktop.iniでカスタマイズしている
- 隠しフォルダを使ってデータを整理している
個人ユーザーはどう対応すべきか
ここまでの情報を踏まえて、それぞれの状況に応じた対応方法を整理します。
特に問題が出ていない場合
クラシックOutlookでPOPアカウントを使っていない、リモートデスクトップも使っていない、黒画面や壁紙の問題も発生していない――このような方は、KB5074109を適用したまま維持するのがおすすめです。
なぜなら、このアップデートには114件以上の脆弱性修正が含まれており、特にインターネットに常時接続しているPCではセキュリティ上のメリットが非常に大きいからです。不具合が出ていない環境で、わざわざアンインストールする必要はありません。
クラシックOutlook+POPで業務が止まっている場合
仕事でPOPアカウントを使用しているOutlookが完全にフリーズしてしまい、メール業務に支障が出ているという深刻な状況の場合は、前述したKB5074109のアンインストールを検討する価値があります。
ただし、次の点を十分に理解した上で判断してください。
- セキュリティ修正(ゼロデイを含む)をすべて失う
- 自動更新を一時停止しないと再びKBが入る
- あくまで短期的な緊急回避策である
この対応は「強く積極推奨」というわけではなく、「どうしても業務が止まる場合のみ、期間を決めて自己責任で」という位置づけです。また、アンインストール中はセキュリティリスクが高まるため、次の対策を併せて実施してください。
- 怪しいウェブサイトへのアクセスを避ける
- 不審なメールの添付ファイルを開かない
- ブラウザ拡張機能を最小限にする
黒画面・壁紙リセットなどに遭遇した場合
まずは次の軽い対処法を試してみてください。
壁紙の問題
「設定」→「個人用設定」→「背景」から再設定する
黒画面の問題
起動直後はしばらく待つ(強制電源オフは極力避ける)
これらの対処で改善しない、あるいは頻繁に再発して業務上の支障が大きい場合は、前述のKB5074109アンインストールが現実的な回避策として報告されています。ただし、こちらも同様にセキュリティリスクが増える点を忘れずに。
まとめ
Windows 11の1月更新KB5074109は、114件以上の脆弱性(ゼロデイ3件を含む)を修正する重要なセキュリティアップデートです。今回解説した不具合も判明しています。
特に問題が出ていない環境では、セキュリティ上のメリットが大きいため更新を維持したほうがいいでしょう。一方、クラシックOutlook+POPでメール業務が完全停止しているなど、日常作業に深刻な支障が出ている場合は、Microsoftが提示しているKBアンインストールという暫定策も視野に入れ、各自の環境に合わせて柔軟に判断してください。
ただし、アンインストールするとセキュリティ修正が失われるため、あくまで短期的な緊急回避として、期間を決めて慎重に対応することが重要です。
参考リンク


