2025年10月1日、NHKは新しいネット配信サービス「NHK ONE」をスタートさせました。従来のNHKプラスやNHK NEWS WEBなどを統合した新サービスとして華々しく登場したはずが、初日から大混乱。利用者からは「使いにくい」「改悪」という声が相次いでいます。
そこで、ガジェット・技術ブログの視点から、NHK ONEが抱える具体的な問題点を検証していきます。
NHK ONEとは何か:統合されたはずのサービス
NHK ONEは、これまでバラバラだったNHKのネットサービスを一つにまとめたプラットフォームです。具体的には、テレビ番組の同時配信・見逃し配信を提供していた「NHKプラス」と、ニュース記事を掲載していた「NHK NEWS WEB」などを統合したものですよね。
2025年10月からは放送法改正により、NHKのネット配信が「必須業務」となりました。これに合わせて、9月30日で旧サービスを完全終了し、10月1日から一斉にNHK ONEへ切り替えたんです。
しかし、この「統合」の裏で多くの価値あるコンテンツが削られています。特に問題なのが、NHKが時間をかけて制作してきた「政治マガジン」などのウェブ独自コンテンツが閉鎖されたことです。これまで多くの読者に支持されてきた質の高い特集記事が、10月1日を境に見られなくなってしまいました。
技術的トラブルと運用の杜撰さ:初日から阿鼻叫喚
NHK ONEは、サービス開始初日から深刻なトラブルに見舞われました。
認証コードが届かない
10月1日午前0時、旧NHKプラスアプリが一斉に使用不可になったのですが、新アプリへの移行に必要な認証コードメールが大量のユーザーに届かないという事態が発生しました。特にGmailとキャリアメール(ドコモ、au)のユーザーに問題が集中したんです。
NHKは10月1日午後に不具合を認め、「原因は調査中」と発表。結局、10月2日正午まで完全には解消しませんでした。
原因は後に判明したのですが、NHKが新規ドメイン「mail.nhk」から短時間に大量のメールを送信したため、迷惑メールと誤認されてしまったというもの。このドメインは実際にSpamhaus(スパム対策組織)のブラックリストに載ってしまっていました。
大規模サービスのローンチ時には、事前にドメインのレピュテーション(評判)を確立しておくのが常識です。それを怠った結果、初日から多くのユーザーが登録できないという最悪のスタートとなりました。
旧アプリと新アプリの二重苦
さらに問題だったのが、移行期間がほぼゼロだったことです。9月30日24時に旧アプリが使えなくなり、同時に新アプリへの切り替えを強制されました。
しかし新アプリをインストールしても、10月1日午前中は「このアプリは2025年10月1日からサービスが提供されます」という表示が出るだけで使えない状態が続きました。旧アプリも新アプリも使えないという二重苦に陥ったユーザーが続出したんですよね。
IT業界では大規模サービスの移行時に、旧サービスと新サービスを数日から数週間並行稼働させるのが一般的です。これにより、利用者が自分のペースで移行でき、万が一の不具合時にも旧サービスに戻れます。しかしNHKはこのベストプラクティスを無視し、一気に切り替えました。
NHKは「改正放送法の施行後でないと受信契約確認の効力が生じないため」と説明していますが、利用者の利便性を完全に無視した設計と言わざるを得ません。
UI/UXの問題点:使いにくさの数々
技術的トラブルが解消しても、UI/UXの問題は残り続けています。
ウィジェットの廃止
最も多くのユーザーが嘆いているのが、ウィジェット機能の廃止です。旧「NHKニュース・防災アプリ」では、スマホのロック画面やホーム画面にニュースのヘッドラインや天気予報をウィジェットとして表示できました。
この機能があれば、アプリを開かなくても最新ニュースを一目で確認できたんです。災害時や緊急ニュースの際には特に便利でした。
しかし新しい「NHK ONE ニュース・防災アプリ」には、このウィジェット機能が搭載されていません。今後のアップデートで追加されるかもしれませんが、現時点では使えない状態です。
多くのユーザーが代替として、Yahoo!ニュースやGoogleニュース、ウェザーニュースなどのウィジェットに乗り換えています。
わかりにくいプロファイル設定
NHK ONEでは、1つのアカウントで最大5つの「プロファイル」を作成できます。家族で共有する際、それぞれの視聴履歴やお気に入りを分けて管理できる機能です。
しかし、「プロファイル」という用語自体が一般ユーザーには馴染みがありません。特に高齢者層からは「プロファイルとは何か」「何を設定すればいいのか」という困惑の声が多数上がっています。
NetflixやAmazon Prime Videoでもプロファイル機能はありますが、それらを使ったことがない人にとっては全く理解できない概念なんですよね。もっと分かりやすい表現(「家族メンバー設定」など)にするか、最初からスキップできる設計にすべきでした。
複雑すぎるパスワード要件
NHK ONEのパスワード設定は、非常に厳格な要件が課されています。NHKプラスから移行したユーザーの多くが、パスワードの設定し直しを強制されました。
セキュリティを重視すること自体は悪くありません。しかし、公共放送のサービスとして、あまりに複雑な要件は利用者にとって障壁になります。「面倒くさい」「設定できない」という声が相次いでいるんです。
番組にたどり着くまでのタップ数増加
UI設計の問題として、目的の番組にたどり着くまでのタップ数が増えたという指摘もあります。朝ドラや大河ドラマなど人気番組を見たいだけなのに、何度も画面を遷移しなければならないという使いにくさです。
さらに、番組表には「ネット配信されていない番組」まで表示されるため、タップしても見られないという無駄な操作が発生します。ユーザーが本当に必要としているのは「今見られる番組」であって、「放送予定だが配信されない番組」ではないはずです。
未視聴番組がわかりにくい
旧NHKプラスでは、お気に入りに登録した番組で未視聴のものに赤丸チェックが付き、一目でわかる仕様でした。しかしNHK ONEのマイリストでは、過去の番組が時系列で並ぶだけで、どれを見ていないのかわかりません。
これは録画番組を管理する際の基本的な機能ですが、NHK ONEには実装されていないんです。
受信料とビジネスモデルの歪み:実質サブスクの二重構造
NHK ONEの最も議論を呼んでいるのが、受信料に関する仕組みです。
テレビなしでも月1,100円
改正放送法により、テレビを持っていなくても、NHK ONEに登録して配信を受信すれば受信契約が必要になりました。料金は地上契約と同額の月1,100円(沖縄県は月965円)です。
これまでは「テレビを持っていない=NHK受信料不要」でしたが、今後は「NHKのネット配信を利用する=受信料必要」となります。すでにテレビで受信契約している世帯は追加料金不要ですが、ネット配信だけ利用する場合も同額の受信料が発生するんですよね。
現時点では、スマホやPCを持っているだけでは受信料は不要です。あくまで「NHK ONEに登録して利用開始した場合」に限られます。
しかし将来的な徴収拡大のリスク
ただし、ここで油断してはいけません。将来的には「ネット接続機器を持っているだけで受信料徴収」という方向に進む可能性が十分にあります。
実際、放送法改正の議論では当初、ドイツ型の「全世帯徴収」も検討されていました。ドイツでは、テレビやスマホの有無に関係なく、全世帯から受信料を徴収しています。日本は最終的に英国型(利用者のみ徴収)を選択しましたが、これは「とりあえず」の選択に過ぎません。
NHKのこれまでの姿勢を見れば分かります:
- ワンセグ携帯を持っているだけで受信契約を迫る
- カーナビのテレビ機能でも受信料を請求
- 自治体の公用車(カーナビ搭載)から大量徴収 – 東京都では518台、東京消防庁でも多数の車両が対象に
- ホテルの客室ごとに受信契約を要求
特に問題なのが、最近明らかになったカーナビ搭載車両からの徴収です。東京都は公用車518台分の受信料未払いが発覚し、NHKから請求を受けました。東京消防庁も同様の状況です。
これらの車両は業務用で、運転中にテレビを見ることは法律で禁止されています。それでも「テレビ受信機能があるから」という理由で受信料を請求するのがNHKのやり方なんです。自治体の税金を使って、実質的に見られない受信機能に対して受信料を払わされているわけですよね。
このように、徴収対象を拡大し続けてきた実績があるのがNHKという組織。今は「登録した人だけ」でも、数年後の法改正で「ネット接続できる機器を持っている人全員」に拡大される可能性は否定できません。
特に「公平負担」という名目で、「スマホを持っている人はNHK ONEを見られる環境にあるのだから全員が払うべき」という論理が展開される恐れがあります。実際にNHKがネット業務を「必須業務」にした背景には、こうした徴収網拡大の意図が透けて見えますよね。
「閉じられないメッセージ」の問題
NHKは11月18日から、受信契約情報の登録・連携を本格化させました。未契約のユーザーには、今後「段階を踏んで手動では閉じられないメッセージ」を表示する予定だと発表しています。
これは悪質なポップアップ広告に近い「ダークパターン」です。ユーザーの意思に反して行動を強制するUI設計として、技術者の間では批判されている手法なんです。
公共放送として、このような強引な手法を使うことの是非は議論されるべきでしょう。
サブスク以上に悪質な仕組み
NHKは「NHK ONEはサブスクリプションサービスではない」と主張しています。しかし実態を見ると、月額課金制で、登録しなければ利用できないという点では完全にサブスクリプションです。
ただし、一般的なサブスクよりもさらに悪質な面があります。それは解約の困難さです。
NetflixやAmazon Prime Videoなどの通常のサブスクは、アプリやウェブサイトから簡単に解約できます。しかしNHKの受信契約は、次のように解約が困難な最悪なサービスです。
- 電話や書面での手続きが必要
- テレビを廃棄しても、廃棄証明書の提出を求められる場合がある
- 対応者によって言うことが異なる(「テレビがなくても解約できない」と言われるケースも)
- リサイクルショップの買取証明では不十分とされることも
さらにNHK ONEの場合、「スマホやPCを持っている限り、NHK ONEを受信できる環境にある」という理屈で、デバイスを完全に廃棄しない限り解約を認めない可能性があります。
つまり、NHKの場合はスマホそのものを捨てないと解約できないという事態も想定されるんです。これはもはやサブスクではなく、事実上の強制徴収ですよね。
「公共放送だから全国民が平等に負担すべき」という論理と、「利用者だけが払うサブスク型」という実装の間に大きな矛盾があるだけでなく、サブスクとしても最低レベルの劣悪さを持っているのがNHKの受信料制度です。
情報の「消滅」と公共性の放棄:1週間で消えるニュース
NHK ONEの最も深刻な問題の一つが、ニュース記事が原則1週間で消えるという仕様です。
アーカイブ性の喪失
以前のNHK NEWS WEBでは、ニュース記事は長期間(場合によっては数年間)保存されていました。過去のニュースを検索して読み返すことができたんです。
しかしNHK ONEでは、「NHK 番組関連情報配信業務規程」により、配信期間は見逃し配信と同じ1週間が基本とされました。つまり、1週間経ったニュース記事は削除され、読めなくなってしまいます。
「1ヶ月前にNHKで見たニュースをもう一度確認したい」と思っても、すでに記事が消えていて確認できない。これは知る権利の侵害とも言える状況ですよね。
新聞協会・民放連への配慮
なぜこのような仕様になったのか。その背景には、日本新聞協会と日本民間放送連盟(民放連)からの「民業圧迫」批判があります。
2025年11月10日に開催された総務省の「日本放送協会の番組関連情報配信業務の競争評価に関する検証会議」で、新聞協会は「配信期間について、1週間が基本なのに実際の運用を見るとかけ離れた事例が散見される」とNHKを牽制しました。
つまり、受信料を払っている国民の利益よりも、業界内の利害調整が優先された結果なんです。ネットの最大の価値であるアーカイブ性を自ら放棄してしまいました。
特設サイトの削除
さらに問題なのが、これまでNHKが制作してきた数々の特設サイトが削除されたことです。
- 「19のいのち」(相模原障害者施設殺傷事件の被害者を伝えるサイト)
- 「性暴力を考える」
- 「災害列島 命を守る情報サイト」
- 「ミャンマーで何が起きているのか」
- 「政治マガジン」
これらは多くの記者やディレクターが時間と費用をかけて制作した優良コンテンツでした。しかし「番組関連情報配信業務規程」に基づく見直しの結果、これらのサイトは閉鎖または大幅縮小されました。
「19のいのち」の閉鎖に対しては、オンライン署名で1.7万人以上の「復活を求める」声が集まっていますが、NHK広報は「復活の計画はない」と回答しています。
アクセシビリティの軽視:字幕・手話の未対応
公共放送として重要な役割の一つが、障害者への情報アクセス保障です。しかしNHK ONEでは、テレビ放送では提供されている字幕や手話が、ネット配信では十分にカバーされていません。
特に聴覚障害者にとって、ニュースや災害情報を字幕付きでリアルタイムに受け取れるかどうかは、文字通り生死に関わる問題です。
総務省の公共放送ワーキンググループでは「公共性の高い情報をあらゆる方法で届けきること」が求められているはずですが、実装は真逆の方向に進んでいます。
ユーザーが取りうる実務的対処:どう身を守るか
では、これらの問題を抱えるNHK ONEに対して、ユーザーはどう対処すべきでしょうか。
すでに受信契約していてもNHK ONEは使わない
すでにテレビを持っていて受信契約している方でも、NHK ONEには登録しないという選択肢があります。
スマホやPCでのNHK ONE登録は任意です。テレビで受信契約していても、ネット配信を利用しなければNHK ONEアカウントは不要です。むしろ、テレビを捨てたとしても、NHK ONEを契約してしまうと延々と受信料を徴収されてしまいます。
また、テレビを持たずネット視聴だけを考えている人は、軽率に登録しないよう注意してください。一度登録してしまうと受信契約義務が発生します。
代替ニュース・防災アプリの活用
NHK ONEのニュース・防災アプリが使いにくいと感じる方は、代替アプリを使った方がいいでしょう。
ニュースアプリ
- Googleニュース(パーソナライズ機能)
- SmartNews(オフライン読み込み可能)
- Bing(ポイントが貯まる)
- Yahoo!ニュース(速報性が高く、ウィジェット対応)
防災・気象アプリ
- ウェザーニュース(詳細な気象情報)
- tenki.jp(シンプルで使いやすい気象情報)
- 特務機関NERV防災(速報性の高い災害情報)
- Yahoo!天気(雨雲レーダー、災害情報)
これらのアプリを組み合わせれば、NHK ONEに頼らなくても十分な情報収集が可能です。
最終手段: NHKを完全に捨てる
ここまでの問題点を見て、「そもそもNHKなんて必要ないのでは?」と感じた方もいるでしょう。実は、現代ではNHKに一切関わらずに生活することが完全に可能です。
チューナーレステレビという選択
最近注目されているのが「チューナーレステレビ」です。地上波・BS/CSのチューナーを搭載していないため、NHK受信契約の対象外となります。
主な製品
- ドン・キホーテの「Android TV」シリーズ
- TCLの「チューナーレススマートテレビ」
- ORIONの「SAFH」シリーズ
これらは実質的に「大画面モニター+Android TV/Fire TV機能」という製品ですが、画質も十分で、価格も通常のテレビより安価な場合が多いですね。
民放番組はTVerで十分
「でも地上波のドラマやバラエティが見たい」という方も安心してください。民放各局の番組はTVer(ティーバー)で無料視聴できます。
TVerの特徴
- 民放の見逃し配信が1週間無料
- ドラマ、バラエティ、アニメなど充実
- スマホ、タブレット、テレビで視聴可能
- 受信契約不要
NHK以外の番組なら、TVerでほぼカバーできます。朝ドラや大河ドラマが見られなくなるだけで、他は問題ありません。
サブスクリプションサービスの活用
さらに、月額制の動画配信サービスを組み合わせれば、地上波以上のコンテンツが楽しめます。
- Netflix:オリジナルドラマ、映画
- Amazonプライムビデオ:映画、ドラマ、オリジナル作品
- Disney+:ディズニー、マーベル、スター・ウォーズ
- U-NEXT:国内最大級のコンテンツ数
これらの月額料金を合計しても、NHKの受信料(年間13,200円)より安く抑えることも可能です。また、大河ドラマや朝ドラを楽しみにしているなら、U-NEXTやAmazonプライムビデオのオプションで用意されている「NHKオンデマンド」を契約すればいつでも視聴が可能。また、過去の作品も見られるので、NHK ONEよりも圧倒的に使いやすく楽しめます。
特にU-NEXTは月額料金はやや高めですが、ポイントがつくのでNHKオンデマンドの契約料金はポイントで相殺することが可能です。
ニュースや災害情報も代替可能
「災害時にNHKが必要では?」という声もありますが、前述の通り、Yahoo!防災速報やウェザーニュース、特務機関NERV防災などのアプリで十分カバーできます。
完全脱NHKのメリット
- 年間13,200円(地上契約)〜23,400円(衛星契約)の節約
- NHKとの煩わしいやり取りが一切不要
- 自分の見たいコンテンツだけにお金を払える
- 将来的な徴収拡大リスクから解放
もちろん、NHKの番組に価値を感じている方は契約を続ければいいでしょう。しかし、「NHKは公共放送だから仕方なく払う」という時代は終わったと考える人が増えています。
特に今回のNHK ONEの失態を見て、「こんな組織に毎月1,100円も払う価値があるのか」と疑問を持つのは当然ですよね。
技術的な対策:知識があればできること
技術的な知識がある方や、家族のデバイスを管理している方は、次のような対策でNHK ONEへの誤登録を防ぐことができます。個人の家庭でも、企業や学校などの組織でも応用可能な方法です。
家庭用ルーターでのDNSフィルタリング
自宅のWi-Fiルーターに、NHK ONEのドメインをブロックする設定を追加できます。これにより、家庭内のすべてのデバイスからNHK ONEにアクセスできなくなります。
ブロック対象ドメイン例:
- plus.nhk.jp
- nhk.or.jp/nhkone/
- (その他NHK ONE関連ドメイン)
ルーターによっては「ペアレンタルコントロール」や「URLフィルタリング」機能でドメイン単位のブロックが可能です。Buffalo、NEC、TP-Linkなどの主要メーカーのルーターには、この機能が搭載されているものが多いです。
スマホ・タブレットの機能制限
iPhoneやAndroidには、特定のアプリやウェブサイトへのアクセスを制限する機能があります。
iPhone/iPadの場合
- 設定 → スクリーンタイム → コンテンツとプライバシーの制限
- 特定のウェブサイトをブロック可能
Androidの場合
- Google Playの保護者による使用制限
- デバイスによってはアプリごとの制限も可能
特に、お子さんやご高齢の家族が使うデバイスには、この設定をしておくと安心です。誤ってNHK ONEに登録してしまうリスクを避けられます。
企業・組織ならMDMも活用
企業や学校など、多数のデバイスを管理する組織では、MDM(モバイルデバイス管理)を使った一括管理が効果的です。
- NHK ONEアプリのインストールを禁止
- NHK ONEドメインへのアクセスをブロック
- 業務端末での意図しない受信契約を防止
特に法人契約のスマートフォンやタブレットを多数保有している組織は、意図しない受信契約が大量発生するリスクを避けるため、技術的な対策を検討する価値があります。従業員が誤って「利用を開始する」ボタンを押してしまい、会社として受信料請求を受ける可能性もゼロではありませんから設定しておいた方がいいでしょう。
受信契約に関する注意点
すでに書いたように、NHK ONEの「利用を開始する」ボタンを押した時点で受信契約義務が発生します。また、今後表示される「閉じられないメッセージ」に対しても、安易に「同意する」ボタンを押さないよう注意してください。
ただし、法的リスクについては専門家に相談することをおすすめします。受信料制度そのものについてはさまざまな議論がありますが、この記事では技術的・実務的な対処に焦点を当てました。
まとめ:NHKって存在意義はある?
NHK ONEの問題点を整理すると、次のようになります。
- 技術的準備不足: 初日からの認証トラブル、移行期間ゼロ
- UI/UX設計の失敗: ウィジェット廃止、分かりにくいプロファイル、複雑なパスワード
- ビジネスモデルの矛盾: 実質サブスクなのに公共放送を主張
- 情報アーカイブの放棄: 1週間で消えるニュース、特設サイトの削除
- アクセシビリティの軽視: 字幕・手話の未対応
- 強引な契約促進: 閉じられないメッセージの実装予定
これらの問題に共通するのは、ユーザー視点の欠如です。技術的ベストプラクティスを無視し、業界内の利害調整を優先し、利用者の利便性を軽視した結果が、このNHK ONEというサービスが失敗している要因です。
それにしても、ここまで書いてきてNHKにいいところはあるのか?と思ってしまいます。そのような組織が「公共放送だから」という理由で受信料を徴収しているのは時代錯誤だけではない憤りを感じますね。
とはいえ、相手は大きな組織なので、個人としてできることは限られています。しかし、個人が束になれば大きな力になると思うので、NHKに不満を感じている人は今回の記事を参考にしてもらえればと思います。

