お手持ちのモバイルバッテリーが膨らんできて、「これ、どうやって処分すればいいんだろう?」と困っている人は少なくないと思います。
膨張したモバイルバッテリーが危険なことはわかっているけれど、いざ処分しようと思うと「どこに持っていけばいいのか」「そもそも受け入れてもらえるのか」といった疑問が次々と湧いてきますよね。
実際、多くの人が「とりあえず燃えないごみかな?」「家電量販店の回収ボックスに入れておけば大丈夫でしょ?」と思いがちですが、これらの方法は実は大きな間違い。膨張したモバイルバッテリーには、通常とは異なる特別な処分ルートが必要です。
そこで、2025年現在の最新ルールに基づいて、膨らんだモバイルバッテリーを安全に処分する具体的な方法を解決していきます。
なぜモバイルバッテリーは膨らむのか?その危険性を理解しよう
まず、「なぜモバイルバッテリーが膨らむのか」という基本的な仕組みを理解しておきましょう。原因を知ることで、適切な対処法も見えてきます。
膨張の仕組み
モバイルバッテリーが膨らむ主な原因は、内部での化学反応によってガスが発生することです。特にリチウムイオンバッテリーでは、次のような要因で膨張が起こります。
- 経年劣化:充電・放電を繰り返すことで内部構造が変化
- 過充電・過放電:適切な範囲を超えた使用による内部損傷
- 高温環境:車内や直射日光下での放置により化学反応が促進される
- 物理的な衝撃:落下やカバンの中での圧迫による内部構造の破損
放置すると起こりうる危険
膨らんだモバイルバッテリーを放置するのは、本当に危険です。具体的には次のようなリスクがあります。
- 発火・爆発:内部圧力の上昇により突然発火する可能性
- 有毒ガスの発生:電解液が漏れ出すと有害な成分が放出される
- 周辺への延焼:カバンや机の上で発火すると大規模な火災に発展
特に、膨らんだモバイルバッテリーは非常に不安定な状態にあります。ちょっとした衝撃や温度変化で、予期しない事故につながってしまうので、非常に危険なのです。ちなみに、消費者庁や消防庁の発表によると、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池が関係する火災は年間8,000件前後とされています。
絶対にやってはいけない処分方法
「とりあえず捨てちゃえ」なんて行動は、実はとても危険です。膨らんだモバイルバッテリーを処分する際、次の方法は絶対に避けてください。これらは法的にも安全面でも大きな問題があります。
- 一般ごみとして処分:燃えるごみ、不燃ごみ、どちらもNG
- 家電量販店の回収ボックスに無断投入:膨張品は受け入れ拒否される場合が多い
- 自分で分解やガス抜き:素人が手を出すと非常に危険
- 針を刺したり穴を開ける:爆発や有毒ガス発生のリスク大
「とりあえず燃えないごみに出しておけばいいや」なんて考えは、本当に危険です。ゴミ収集車や処理施設で火災が発生する原因にもなりかねません。
また、「家電量販店なら何でも回収してくれる」というのも大きな誤解。一部のネット記事では、家電量販店に持ち込むことを推奨するものも見受けられますが、これは明確に誤りです。多くの家電量販店では膨張したモバイルバッテリーの回収を断っているケースがほとんどです。
正しい処分手順|安全第一で進めよう
正しい処分方法は、基本的に次のような流れになります。
ステップ1:まずは安全な保管から
膨らんだモバイルバッテリーを発見したら、まず次の環境で安全に保管してください。
- 火気厳禁:コンロやヒーターから離れた場所
- 温度管理:直射日光や高温になる場所は避ける
- 湿気対策:水場や湿度の高い場所は危険
- 安定した場所:振動や衝撃を受けにくい平らな場所
- 単独保管:他の金属製品と接触させない
ステップ2:端子部の絶縁処理
次にショートを防止します。モバイルバッテリーの端子部分(USB端子やType-C端子など)にビニールテープや絶縁テープを貼って、絶縁処理を行いましょう。ポイントは次のとおりです。
- 静電気に注意(作業前に金属部分に触れて放電)
- すべての端子をしっかりとテープで覆う
- テープは複数回巻いて確実に絶縁
絶縁テープは100均でも売っていますが、粘着力が弱かったりします。ですので、信頼あるメーカーのものを使うのがおすすめです。

ステップ3:処分ルートの確認
モバイルバッテリーの処理が終わったら、処分方法を確認します。この処分方法ですが、基本的には自治体による回収、またはメーカー回収が現実的です。念の為、家電量販店や携帯ショップなどの対応も書いておきます。
家電量販店での回収について
残念ながら、ヨドバシカメラやビックカメラ、ヤマダ電機などの大手家電量販店の多くでは、膨張したモバイルバッテリーの回収を行っていません。これは安全面での配慮によるものです。
携帯ショップでの対応
大手キャリアの店舗では、基本的にモバイルバッテリーの回収は行っていません。スマートフォン本体のバッテリー交換とは異なるためです。
自治体による回収
2025年現在、多くの自治体でモバイルバッテリーを含む充電式バッテリーの回収体制が整備されています。ただし、自治体ごとにルールが大きく異なるのが現状です。そのため、お住まいの自治体に必ず事前確認を行ってください。自治体によって回収方法、出し方、梱包の仕方がまったく異なります。
確認はいずれかの方法で行いましょう。
- 自治体のホームページで「充電池回収」「リチウムイオンバッテリー処分」などで検索
- 清掃事務所に直接電話で問い合わせ
- その際「モバイルバッテリーが膨張している」ことを必ず伝える
回収を行なっている場合は、確認できたルールに従って、指定された方法で処分します。これが最も安全で確実な処分方法です。
メーカーサポートでの回収
一部のモバイルバッテリーメーカーでは、自社製品の回収サービスを提供している場合がありますが、膨張品については対応が異なる場合があります。
お使いのモバイルバッテリーのメーカーがサポートを提供しているかどうかは、メーカーごとに異なります。まずは製品のメーカー名を確認し、公式サイトや取扱説明書で回収サービスの有無を調べるか、カスタマーサポートに直接問い合わせてみてください。その際、「バッテリーが膨張している」ことを必ず伝えることが重要です。
専門業者での処分
自治体での回収やメーカーサポートが利用できない場合、最後の手段として不用品回収業者での処分があります。こちらは有償のサービスになりますが、膨張したモバイルバッテリーでも確実に安全処分してもらえるのがメリットです。
業者を選ぶ際は、リチウムイオンバッテリーの処分に対応していることを事前に確認し、必ず「膨張している」旨を伝えてください。料金体系や回収方法についても、複数の業者に問い合わせて比較検討することをおすすめします。費用はかかりますが、安全性と確実性を重視する場合には有効な選択肢です。
ステップ4:処分時の梱包方法
膨らんだモバイルバッテリーを処分に出す際は、次のように梱包してから処分を行ってください。
- 端子部分の絶縁テープ処理(ステップ2)
- 緩衝材(新聞紙やプチプチ)で包む
- 「膨張バッテリー注意」の表示
- 他の金属類と分離して梱包
よくある質問と誤解
実際によくある質問や、多くの人が勘違いしているポイントをまとめました。
Q. 家電量販店に持っていけば処分してもらえますよね?
A. 膨張したモバイルバッテリーは原則として回収不可です
これは本当によくある誤解です。通常のバッテリー回収ボックスは、正常なモバイルバッテリーのみを対象としています。膨張品を無断で投入すると、回収作業員の安全を脅かすだけでなく、場合によっては施設での事故につながる可能性があります。
Q. 自治体のルールは全国共通ですか?
A. 自治体ごとに大きく異なります
何度も繰り返しますが、自治体によって対応がまったく違います。必ずお住まいの自治体の公式サイトで最新情報を確認するか、清掃事務所に直接問い合わせてください。
Q. 少しくらい膨らんでいても使い続けて大丈夫?
A. 使用は絶対に避けてください
わずかな膨張でも、内部では危険な状態が進行している可能性があります。「まだ充電できるから」という判断は非常に危険です。膨張を発見したら、すぐに使用を中止して適切な処分を行ってください。
Q. モバイルバッテリーの寿命はどのくらい?
A. 一般的に2〜3年程度です
使用頻度や環境にもよりますが、多くのモバイルバッテリーは2〜3年で性能が低下し始めます。膨張が起こる前に処分し、定期的に買い替えるのがおすすめです。
最近では、安全性が高いとされるナトリウムイオンバッテリーを採用したモバイルバッテリーも一部登場しています。ただし製品数はまだ少ないため、導入の際は信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。詳しくは以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
ちなみに、現在入手できるナトリウムイオンバッテリーはエレコム社製のものがあります。
まとめ:安全な処分で事故を防ごう
2025年現在、自治体主導でのモバイルバッテリー回収体制が全国的に拡大しています。ただし、地域によって対応が大きく異なるため、必ず最新の情報を確認することが大切です。
モバイルバッテリーは今や生活必需品ですが、適切な処分方法を知らない方が多いのも現実です。最近はモバイルバッテリーの発火事故が報道されることも少なくないので、正しい処分方法は知っておきたいですね。
この記事の情報を参考に、いざという時に適切な対応ができるよう、ぜひ覚えておいてください。
※この記事は2025年7月現在の情報に基づいて執筆されています。地域や時期によって処分方法が変更される可能性があるため、実際の処分前には必ず最新の公式情報をご確認ください。