最近、「Xブロックチェック」という名前のサービスが話題になっています。自分が何人のユーザーにブロックされているかを調べられるという触れ込みですが、実はこれ、完全に詐欺です。このサービスを使ったことで、アカウントが乗っ取られ、スパム投稿やDM送信に悩まされるユーザーが続出しています。この手の詐欺は数年おきに形を変えて現れ、多くの被害者を生み出してきました。
「自分は大丈夫」と思っていても、SNSを使う限りはいつ被害者になってもおかしくありません。そのためにも、アカウントを守るための知識が必要です。そこで、Xブロックチェックを例に、不正アプリ連携による乗っ取り詐欺の仕組みと歴史、そしてアカウントを守るための具体的な対策を解説します。
Xブロックチェックとは?
突如として「Yahoo!リアルタイム検索」のトレンド上位に浮上したのが「Xブロックチェック」です。これは、「自分が何人のユーザーにブロックされているか」を調べられると謳っているサービスです。

結論から言うと詐欺アプリです。 多くの人は「自分をブロックしている人が誰なのか知りたい」という好奇心から、このサービスに惹かれるのでしょう。
ここで問題なのは、Xの仕様上、他人があなたをブロックしているかどうかを調べる機能は存在しないということ。つまり、Xブロックチェックが約束している機能自体が技術的に不可能なんです。純粋に詐欺目的で作られたアプリなので、連携した瞬間にアカウントが乗っ取られるリスクがあります。
この手のアプリの最大の特徴は、X(旧Twitter)の公式機能ではなく、外部アプリとの連携を要求する点です。使うためには自分のアカウントへのアクセス権限を与える必要があります。
今回は、この「Xブロックチェック」が話題になっていましたが、同様の手口の不正アプリはTwitter時代から存在しており、過去にも多くの人が引っかかってしまった歴史があります。
不正アプリ連携による乗っ取り詐欺の仕組み
詐欺アプリがどのようにしてあなたのアカウントを乗っ取るのか、その手口を見ていきましょう。
怖いのはアプリ連携時に与えられる権限
XやInstagramなどのSNSでは、サードパーティアプリと連携することで機能を拡張できます。しかし、アプリ連携時にはさまざまな権限を付与することになります。具体的には、次のような権限です。
- 投稿の閲覧・作成・削除権限 → ユーザーの名前で投稿できる
- DMの閲覧・送信権限 → ユーザーの名前でメッセージを送れる
- フォロー/フォロワーの操作権限 → 勝手にフォロー・フォロー解除できる
- プロフィール情報の変更権限 → プロフィールを書き換えられる
これらの権限は本来、便利なサービスを提供するために必要なものですが、悪意のあるアプリに権限を与えてしまうと、完全に乗っ取られた状態になってしまうということです。
こんな被害が発生します!
不正アプリに権限を与えてしまうと、次のような被害が発生します。
- スパム投稿の自動配信 → アカウントから意味不明な投稿やURLが大量に発信される
- フォロワーへの詐欺DM拡散 → 「これ見た?」などとフォロワーに同じ詐欺アプリへの誘導メッセージが送られる
- 個人情報の流出 → DMの内容など、プライベートなやり取りが第三者に流出する
- アカウントの完全乗っ取り → パスワードが変更され、アクセスできなくなる
最悪の場合、アカウント復旧が極めて困難になるため、長年使ってきたアカウントを完全に失うことになりかねません。
過去の事例
Xブロックチェックは最新の詐欺ですが、実はこの手の詐欺には10年以上の歴史があります。 この間、多くのユーザーが被害に遭ってきました。実際に引っかかった人もかなりの数を見てきました。そこで、過去の事例を確認していきましょう。過去を知ることで、今後現れる新たな詐欺も見抜けるようになりますよ。
こんな「誘い文句」に要注意!
過去に流行した詐欺アプリでは、次のような誘い文句がありました。
- 「あなたの影響力スコアがわかる」 → 診断系サービスを装った詐欺
- 「フォロワーが一気に増える!」 → フォロワー獲得系サービスを装った詐欺
- 「抽選で最新iPhoneが当たる!」 → 懸賞系サービスを装った詐欺
- 「アダルトコンテンツが見放題」 → アダルト系サービスを装った詐欺
これらはすべて、ユーザーの好奇心や欲求を刺激してアプリ連携させるという共通点があります。「こんなにいいことあるわけない」と思っても、つい試してしまうのが人間の心理なんですよね。
拡散力の強い有名人は標的になりやすい
有名な事例では、政治家の有田芳生さんのアカウントから、次のようなアダルト関連の投稿が突然行われました。

こんな感じで、著名人が狙われることも少なくありません。これは、フォロワー数が多く、一度乗っ取りに成功すると詐欺が一気に拡散されるからです。
一般ユーザーでも、突然アカウントから意図しない投稿が行われ、友人や知人に迷惑をかけるというケースが頻発しています。特に「これ見た?」といったDMが勝手に送られるケースが多いので注意が必要です。Facebookでも似たようなDMが届く事例が多く発生していましたね。本当に典型的な手口なのです。
「公式を装ったフィッシング詐欺」も急増中
最近増えているのが、プラットフォーム公式からのメッセージを装った詐欺です。「アカウントに不審なログインがありました。確認のためログインしてください」といった文面で偽サイトに誘導し、ID・パスワードを盗みます。
これは不正アプリ連携とは手法が異なりますが、同じくアカウント乗っ取りが目的です。公式からのメールやDMに見えても、URLをよく確認することが大切です。
なぜこの手の詐欺は繰り返されるのか?
同じような詐欺が何度も繰り返される背景には、いくつかの要因があります。これらを知ることで、詐欺の心理的な仕掛けが見えてきます。
人間の弱みを突く巧妙な心理戦
こういう悪どいことを考える人たちは、人間の心理的な弱みを熟知しています。この手の詐欺は次のようなものが多いですね。
- 好奇心を刺激 → 「自分が何人にブロックされているか知りたくない?」
- 承認欲求に訴えかける → 「あなたの影響力スコアは?」「フォロワーが急増する!」
- 得したい気持ちを利用 → 「抽選で高額賞品が当たる!」
私たちはこうした「知りたい」「認められたい」「得したい」という感情には弱いものです。理性では「怪しい」と思っても、感情が勝ってしまうことがよくあります。
「面倒くさい」がセキュリティホールに
多くのユーザーは、アプリ連携の際に権限の内容をろくに確認しません。 長い利用規約を読むのは面倒ですし、「とりあえずOK」と進めてしまいがちです。自分もそんなところあります(反省)。この「面倒くさい」という気持ちが、悪どい連中につけ込まれる隙を作っています。
実際、アプリ連携時の権限確認画面で「この操作をするとすべての投稿とDMの閲覧・送信権限が与えられます」と明記されていても、多くの人はスクロールせずに「許可する」を押してしまいます。
プラットフォーム側の審査の甘さも問題
SNSプラットフォーム側も、サードパーティアプリの審査が必ずしも厳格ではありません。
- 新興プラットフォーム → 審査体制が整っていない
- 大規模アップデート直後 → 新機能の穴を突かれる
- APIポリシー変更時 → 移行期間に悪意あるアプリが紛れ込む
こうした隙を突いて、悪意あるアプリが公開され、被害が拡大していきます。しかし、X(Twitter)は昔からこの手の詐欺が横行しているのだから、いい加減厳密に対応してほしいものです。
被害に遭わないための対策~今すぐできる5つの方法
このようなSNS詐欺から身を守るために、今すぐ実践できる対策を紹介します。これらは特別な知識や技術がなくても実行できる基本的な対策ですが、非常に効果的です。
不審なアプリ連携は絶対にしない!
何よりも重要なのは、怪しいアプリには絶対に連携しないことです。特に次のようなアプリには要注意です。
- 「自分をブロックしている人がわかる」→ 技術的に不可能な機能
- 「フォロワーが急増する」→ あり得ない好条件
- 「無料で〇〇が当たる」→ うますぎる話
アプリ連携前に「この機能は本当に技術的に可能なのか?」「このアプリは本当に必要か?」と冷静に考える習慣をつけた方がいいでしょう。少しでも怪しいと思ったら連携しないのが鉄則です。
連携済みアプリを今すぐチェック!不要なものは解除
すでに連携しているアプリを定期的に確認し、不要なものは即解除することも重要です。解除する手順は次のとおり。ここではXアプリで説明していますが、ブラウザでXを使っている場合でも同じ手順です。
まず、アプリの左上にあるアカウントアイコンをタップしてメニューを開き、「設定とプライバシー」→「セキュリティとアカウントアクセス」をタップします。


表示された画面で「アプリとセッション」→「連携しているアプリ」をタップします。


アプリとセッション画面が表示され、現在連携しているアプリが表示されます。疑わしいアプリをタップし、「アプリの許可を取り消す」をタップします。これで連携が解除されます。


心当たりのないアプリがあれば、迷わず連携解除してください。「とりあえず残しておこう」は厳禁です!
強固なパスワードと二段階認証は必須
強固なパスワードを設定し、さらに二段階認証を有効にするのは基本中の基本です。パスワードについては、次の条件で作成するようにした方がいいでしょう。
- 12文字以上の長さ
- 大文字・小文字・数字・記号を混ぜる
- 複数のサービスで使い回さない
二段階認証を設定しておけば、万が一パスワードが漏洩しても、第三者がログインするのを防げます。スマホさえ手元にあれば、アカウントを守れるというわけです。設定に5分かかるだけで、セキュリティが格段に向上しますよ。
不審な投稿を発見したらすぐに対応する
もし自分のアカウントから身に覚えのない投稿が行われていたら、次の内容をすぐに対応してください。
- パスワードをすぐに変更する
- 連携アプリをすべて確認し、不審なものを解除する
- 二段階認証をまだ設定していなければ有効化する
- 不審な投稿をすべて削除する
- 可能であれば、フォロワーに被害報告と注意喚起する
素早い対応が被害の拡大を防ぐ鍵です。特に最初の30分が勝負ですね。できるだけ早く対処することが大切です。
まとめ:定期的なセキュリティチェックを習慣に
「面倒くさい」と思っても、定期的なチェックは最も効果的な予防策です。定期的に次のようなことをチェックしておくのがおすすめです。
- 連携アプリの見直し
- ログイン履歴の確認
- セキュリティ設定の見直し
「便利そう」「知りたい」という感情に流されず、常にセキュリティ意識を高く持つことです。アプリ連携の際には必ず権限内容を確認し、少しでも怪しいと感じたら連携を避けるようにしましょう。
また、こうした詐欺の手口や対策について、家族や友人と情報共有することも有効です。特にSNSを始めたばかりの方や、セキュリティに詳しくない方に対して、このような知識を広めていくことが社会全体の防衛力を高めることにつながります。
インターネットは便利なツールですが、同時にさまざまなリスクも潜んでいます。変な詐欺に引っかかって大変な思いをしないためにも、今一度セキュリティ対策をチェックしてみてください。