Windows 10の延長サポート(ESU)を利用されている人にとって、セキュリティ更新プログラムは欠かせないものです。ところが2025年11月中旬、ESU向けの更新プログラム「KB5068781」がインストールできないという問題が一部の環境で発生しました。
この問題に対して、Microsoftは迅速に対応し、緊急の修正パッチ「KB5072653」をリリースしています。そこで、このトラブルの詳細と解決方法を整理して解説します。
トラブルの概要
2025年11月12日(日本時間)に配信されたWindows 10 ESU用のセキュリティ更新プログラム「KB5068781」をインストールしようとすると、一部の環境でエラーが発生してインストールに失敗するという問題が報告されました。
具体的には、エラーコード「0x800f0922 (CBS_E_INSTALLERS_FAILED)」が表示され、更新プログラムの適用が完了しない状態になります。セキュリティ更新が適用できないとなると、企業や組織の管理者の方々は頭を悩ませることになってしまいます。
ただし、この問題はすべてのWindows 10ユーザーに影響があるわけではありません。影響を受けるのは特定の環境に限られており、一般的な個人ユーザーの多くは問題なく更新プログラムを適用できています。
不具合の原因・対象範囲
今回の問題が発生するのは、Microsoft 365管理センターを通じて「Windowsサブスクリプションライセンス認証」(Windows subscription activation)でOSライセンスが有効化されているPCのみです。
この認証方式は主に企業や法人、組織などで採用されているもので、Microsoft 365のサブスクリプションと連携してWindowsのライセンスを管理する仕組みとなっています。そのため、今回の不具合は主に法人環境で影響を受けることになりました。
一方、通常のプロダクトキーやデジタルライセンスでWindowsをアクティベートしている一般的な個人ユーザーは、この問題の影響範囲外となります。家庭で使っているPCであれば、ほとんどの場合は心配する必要はないでしょう。
Microsoftの対応と緊急リリース「KB5072653」
Microsoftは問題を認識すると、素早く対応に乗り出しました。2025年11月17日午後2時(太平洋標準時、日本時間では11月18日午前7時)に、修正パッチとなる更新プログラム「KB5072653」を緊急リリースしています。
KB5072653は、Windows Updateを通じて配信されます。また、手動でインストールしたい場合や特定の管理環境で必要な場合は、Microsoft Updateカタログからダウンロードすることも可能です。
なお、CABファイルを利用して更新プログラムを管理している組織向けには、KB5072653のメタデータを含むScan Cabが近日中にリリースされる予定となっています。リリースされ次第、Microsoftの公式ページでアナウンスされますので、該当する管理者の方は確認しておくとよいでしょう。
適用・解決手順
KB5072653を適用するには、いくつかの前提条件と手順があります。次の流れで対応を進めていきます。
前提条件の確認
まず、2025年10月15日(日本時間)にリリースされたセキュリティ更新プログラム「KB5066791」がインストールされている必要があります。このプログラムが入っていない場合は、先にKB5066791を適用してください。
KB5066791が既にインストールされているかどうかは、Windowsの設定から「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「更新の履歴を表示する」で確認できます。
KB5072653の適用
KB5066791がインストールされている環境であれば、Windows Updateを実行するだけでKB5072653が自動的に配信されてきます。なお、このKB5072653は本不具合の影響を受けていない環境にも配信されますので、該当しない方にも提供される点は覚えておいてください。
Windows Updateの実行手順は、普段の手順と変わりません。
- 「設定」を開く
- 「更新とセキュリティ」を選択
- 「Windows Update」をクリック
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
KB5072653が検出されたら、指示に従ってインストールを進めましょう。
KB5068781の再適用
KB5072653のインストールが完了したら、再度Windows Updateを実行してください。これにより、当初インストールに失敗していた「KB5068781」も正常にインストールできるようになります。
この手順を踏むことで、Windows 10 ESUのセキュリティ更新が完全に適用され、システムを最新の状態に保つことができます。
一般ユーザーの対応は?
前述したように、今回の問題はMicrosoft 365管理センター経由でWindowsサブスクリプション認証を利用している環境のみで発生します。通常の家庭用PCや、プロダクトキーでライセンス認証を行っている環境では影響を受けません。
もし自分のPCが影響範囲に含まれるかどうか分からない場合でも、Windows Updateを実行して更新プログラムが正常にインストールされていれば問題ありません。エラーコード「0x800f0922」が表示されていなければ、特別な対応は不要です。
ただし、今後も定期的にセキュリティ更新プログラムが配信されますので、Windows Updateを定期的にチェックして、常に最新の状態を保つよう心がけましょう。
まとめ
今回のWindows 10 ESUにおける更新プログラムのトラブルをまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題の更新プログラム | KB5068781(2025年11月12日リリース) |
| 発生するエラー | 0x800f0922 (CBS_E_INSTALLERS_FAILED) |
| 影響範囲 | Microsoft 365管理センター経由でWindowsサブスクリプション認証を利用している環境 |
| 主な対象 | 企業・法人・組織など |
| 修正パッチ | KB5072653(2025年11月17日緊急リリース) |
| 前提条件 | KB5066791のインストール |
Microsoftは今回、問題発覚から1週間以内という短期間で修正パッチをリリースしており、迅速な対応を見せました。ただし、同様の問題が今後発生しないとは限りませんので、企業や組織でWindows 10 ESUを運用している管理者の方は、Microsoftの公式情報を定期的にチェックするのがおすすめです。
また、一般ユーザーの方も、Windows Updateのエラーが発生した際は、エラーコードをメモして公式情報を確認する習慣をつけておくと、トラブル解決がスムーズになります。
Windows 10はESU期間中も引き続きサポートが提供されますが、今後はアプリの対応終了など制約が厳しくなっていくと思われます。最終的にはWindows 11への移行も視野に入れておくとよいでしょう。

