少し前にデルアンバサダープログラムというものの存在を知り、登録していました。しばらくは何もなかったので、「まぁそんなものかなぁ」と思っていたところ、新製品発表会のご案内があり早速応募。
とはいえ、この手の応募で当たった試しのない自分は「まぁ無理だろうなぁ」と諦めつつ忘れかけていた頃、なんと当選のご連絡がありました。なんとまぁ珍しい。
というわけで、先日(2024年9月20日)にパレスホテル東京で行われた新製品発表会に参加してきました。ちょっと遅くなりましたが、そのまとめです。
生成AIをローカル環境で実行できる「AI PC」
この発表会では、インテルの最新チップセット「Intel Core Ultraシリーズ2」を搭載したAIノートPC「XPS13」を中心に話が進んでいきました。
やはり時代はAIが中心になりますね。AIが必要かどうかというのは使う人に大きく左右されるところですので一概に「必要」とは言い切れませんが、やはり「あった方が便利」なものだと思います。
例えば「要約」とかはAIに任せた方が圧倒的に速いし、正確です。
この新製品発表会では、デルとインテルの2名の方が登壇され、色々と詳しい説明をされました。それをAIに要約させたのが次の内容。
要約
この会議記録は、Dellテクノロジーズ社の新製品発表会の内容を記録したものです。主な議題は、同社の新製品であるIntel Core Ultraプロセッサーシリーズを搭載したXPS 13ノートパソコンの発表でした。発表では、新製品の主な特徴として、CPUとメモリーの統合、長時間駆動、省電力設計、環境に配慮した設計などが強調されました。また、新製品に搭載されたAI機能や、ローカルでのAI処理能力の向上についても紹介がありました。インテル社からは、新CPUの詳細な説明と、製品認証プロセスについての説明がありました。会議全体を通して、新製品の高性能と省電力性、AIへの対応力が強調されていました。
チャプター
00:00:00新製品発表の概要
進行役の石井詩織氏から、本日の発表会の流れと登壇者の紹介がありました。まず、Dellテクノロジーズ社の松原大氏から新製品の概要説明があり、続いてインテル社の安生健一郎氏から新製品の技術的な詳細説明が行われる予定であることが説明されました。
00:01:34Dellテクノロジーズ社による新製品の概要説明
松原大氏から、新製品であるXPS 13ノートパソコンの概要説明がありました。主な特徴として、Intel Core Ultraプロセッサーシリーズの搭載、CPUとメモリーの統合による省電力化、長時間駆動が可能なバッテリー設計、環境に配慮した設計などが紹介されました。また、AI機能の強化や、ローカルでのAI処理能力の向上についても言及がありました。さらに、製品ラインナップと価格、発売日などの具体的な情報も共有されました。
00:31:50インテル社による新製品の技術的詳細説明
インテル社の安生健一郎氏から、Intel Core Ultraプロセッサーシリーズの技術的な詳細説明がありました。CPU、GPU、NPUの性能と電力効率の向上、マイクロソフトとの連携による省電力モードの実現、AI処理能力の強化などについて説明がありました。また、製品認証プロセスにおける品質検証の重要性や、アクセサリーとの連携についても言及がありました。
行動項目
00:05:15新製品のXPS 13ノートパソコンを9月27日から発売開始する
00:05:4011月下旬以降、一部量販店でも新製品を販売する
00:55:13マイクロソフトとの連携により、省電力モードの無償アップデートを提供する
AIなら、こんな感じに一発で要約してくれます。
ですので、なくても困らない人もいるかもしれませんが、あった方が確実に便利なものなのです。
AIって結局道具ですから、使うも使わないもその人次第なところがあるのだと思います。自分は場面に応じて使った方が圧倒的に便利だと思っています。
AI PCはローカルで実行できるのが強み
上の要約はnottaというサービスを使いました。nottaだけでなく、ChatGPTやCopilot、Geminiなど、世の中の生成AIの弱点は、クラウドにデータを送る点にあります。
AIっていうのは膨大な情報を元に恐ろしいほどのデータを処理するため、スパコンレベルのサーバーが必要なんですね。そのため、PC内での処理が難しい。そのため、サーバーのあるところまでデータを送らないといけません。つまり、データが外部に出てしまう。これって、機密情報とかが含まれるとマズいというわけです。
ですので、一般的な企業ではAIを使えないというジレンマに陥るわけですね。個人でもあまりプライベートな情報を送るのは気持ち悪いし、気分が悪い。
しかし、「AI PC」と呼ばれるものは違います。これはその名前のとおりにローカル環境でAIが実行できるというもの。内部に「NPU」というものを搭載しており、ここがAIの処理を担当するので、外部にデータを送らなくてもAIが使えるというものです。
AI PCとCopilot+ PCの違いは?
このような話を聞くと、ちょっと前に大々的に発表されたマイクロソフトの「Copilot+ PC」と何が違うんだ?となる人もいるかもしれません。
AI PCとCopilot+ PCの違いは、「スペックの定義」です。AI PCというのは発売しているメーカーがそれぞれ自由にスペックを定義しているので、自由に名乗れるものなんですよね。一方、Copilot+PCはマイクロソフトが明確にスペックを定義しています。よって、AIの実行環境としてスペックが担保されているという訳です。
ちなみにCopilot+PCについては、過去に記事でまとめていますので、よかったらご覧ください。
後方互換性を確保しつつパワフルな「XPS13」
上のブログ記事でも触れていますが、今年の6月に発表されたCopilot+PCは、すべてArmプロセッサを搭載したものだったんですよね。これはスマホなどで使われるCPUで、低電力で高性能という特徴があります。しかし、今までのWindowsとの互換性に課題を抱えていました。
要は、「一部のアプリや周辺機器が動かない」というもの。これって、これまでのPC資産が使えない可能性があるものなので、非常に困った問題です。しかし、「XPS13」はインテルのチップセット「Intel Core Ultraシリーズ2」を搭載しています。つまり、これまでのWindows資産がそのまま使える(後方互換性がある)ので利用可能。ようやく、昔からのWindowsユーザーも安心して使えるCopilot+ PCが登場したことになります。
また、「Intel Core Ultraシリーズ2」はかなりパワフルなチップセットで、発表会ではローカルで動く画像生成AIのプレゼンをされていましたが、サクサクと動いていました。ですので、あらゆる場面の作業がサクサク進められるようになるでしょう。
個人的にいいなと思ったところ
ちょっと堅苦しい説明が続きました。スミマセン。
今回、実機を触らせてもらったり、説明を聞いたりした中で、特にいいなぁと思ったところを紹介していきます。
すごいスタイリッシュで実用的
こんなこと言われると怒られるかもしれませんが、普段はMacをメインに使っているのであまりWindowsノートに触れる機会がなかったんですよね。ですので、「Windowsノートって無骨でダサい」ってイメージがありました。一応、かなり昔のデルノートPCも持っているのですが、そのモデルも「いかにもWindowsノート」っていう感じだったんですよね。
ですが、今回のXPS13を見たところ、かなーりスタイリッシュ。トラックパッドは境目が見えないし、こんな風に進化しているんだ!とちょっと驚きました(以前のモデルからこのような形なんですよね。浦島太郎状態です)。これならスタバでもドヤれそうです(そこかよ)。
また、細かいところですが、左右にThunderboltポートが搭載されているのも実用的なポイント。高速ポートはどちらか片方にしかないモデルが多いのですが、これは左右に高速の配線をするのが難しいため片方になってしまうとのこと。
「片方しか使わないよ!」という人もいるかもしれませんが、左右に用意されていると結構使い勝手が違います。あまり目立つ点ではないけど、このような細かな気配りは嬉しいところです。
バッテリー管理が優秀
Teamsとかのウェブ会議アプリを使っていると、バッテリーがみるみる減っていくことがありますが、これはアプリが使えるコアをすべて使ってしまって電力を大量消費してしまうことが問題で起きるとのこと。
しかし、XPS13に搭載されているインテルチップセットとWindows 11がこの部分を改善しているそうです。具体的には電力効率重視の「Eコア」だけを使うようになっており、余計な電力消費がされないのだそうです。これによって、Teamsのようなアプリでもバッテリーが恐ろしく減ることはなくなるとのこと。
ノートPCでバッテリー切れは致命的な問題なので、このような改善はありがたいです。
また、本モデルのバッテリー駆動時間は最大26時間。これはNetflixの動画をフルHDで再生し続けた場合の時間とのこと。多少の外出だったら、アダプターとかを持ち歩かなくてもよさそうです。
色々と話題になった「リコール機能」は結構便利そう
Copilot+ PCの目玉機能として発表された「リコール機能」。これはPCの操作をすべて覚えていて、いつでも過去を振り返られるというもの。具体的には、数秒間隔で画面上の出来事をスナップショットを撮影してPC内に保存。これをインデックス化するので、ユーザーは後から曖昧な言葉で検索し、過去の作業内容やファイルを見つけられるようになります。
かなり便利そうな機能ですが、すぐに「悪用できそうだな」と思いつくほどヤバイ機能でもあります。だって、すべての操作を覚えているわけですから、誰でも「何をどのように操作したのか」がわかってしまうわけです。
そんな批判が当然のようにあり、リコール機能は延期され、色々な対策が講じられることとなりました。
で、ようやく、リコール機能が使えるようになるとのこと。批判されていたプライバシーとセキュリティの懸念については、次の対策を講じたそうです。
- ユーザーによるアプリやウェブサイトのフィルタリング、スナップショットの削除が可能
- 初期設定でオフとし、ユーザーが明示的に選択してオンにする仕様に変更
- Windows Hello認証を必須とし、認証時のみデータを復号化
- スナップショットと検索インデックスの暗号化
特にWindows Hello認証が必須となったので、安全性はだいぶ増していると思います。実際に登壇された方にお話を伺いましたが、使ってみると恐ろしいほど便利な機能だとのこと。安全性も担保されるようになったので、ぜひ使ってみてほしいとのことでした。
(使ってみたいけど、使えるPCが手元にないよ!)
ちなみに、「リコール」はNPUをフル活用する機能なので、Copilot+ PCのみで利用可能で、2024年10月からInsider Programで先行提供予定になっています。もちろん「XPS13」でも使えます。念のため。
気になった点
かなり力の入った新製品だと思いましたが、やはり気になる点はいくつかありました。
やはりお値段はややお高め
こんな感じで、かなりハイスペックな内容の「XPS13」は、お値段はややお高め。また、メモリもチップセットに統合されているため、あとから増設できません。よって、メモリはあらかじめ余裕を持っておきたい。もしAIを活用するなら、32GBはほしいところ。そうすると、その分だけお値段も上がります。
これはやむを得ないところですが、懐へのダメージがデカいですね。これは、いつまでも景気が悪いくせに、税や保険料の負担ばかり上がっていく日本政府の対応が悪い!少しは可処分所得を上げろ!ということにしておきましょう。
一部の生成AIサービスはローカルで動かない
これはデルさんの問題ではありませんが、すべてのAIサービスがローカルで使えるというわけではない点は勘違いしやすいかもしれません。これまで散々、「ローカルで動くからAI PCは安心」って言ってきましたが、ローカルで動くのはあくまでも一部の機能のみ。Copilot+ PCがローカルで動作する標準機能は次になります。
- コクリエイター (Cocreator):
Windows標準アプリ「ペイント」に搭載されるAI画像生成機能。プロンプトとラフスケッチを組み合わせて画像を生成できる - リコール (Recall):
PC画面のスナップショットを定期的に撮影し、後から検索できるようにする機能 - Windows Studio エフェクト:
ウェブ会議などで使用するカメラやサウンドの効果を適用する機能。背景ぼかしや自動フレーミングなどを行う - イメージクリエーター/リスタイル:
フォトアプリに搭載された画像生成・編集を行う機能。テキストから画像を生成したり、既存画像をプロンプトやスタイルで変換したりできる - ライブキャプション:
PCの音声出力をリアルタイムに翻訳し、画面上に英語字幕を表示する機能 - 自動スーパー解像度 (Auto SR):
対応ゲームのフレームレートと画質をNPUの力でリアルタイムに強化する機能 - Copilotの改善:
Copilotアプリがローカルで高速に動作し、他のアプリと並行して使用できるようになる
これらは標準機能なので、そのままローカルで処理されます。しかし、上記に含まれないもの、例えばテキスト生成などのAIをローカルで使うには、自分でAI環境を構築しなければなりません。
また、ChatGPTやGeminiなどのサービスは当然ながらクラウドで動作します。さらに言うと、マイクロソフトが提供するCopilot Proで動作するMicrosoft 365のAI機能もクラウドで動作します。例えば、Wordのテキスト生成、PowerPointのプレゼン構成作成などの機能はクラウドで動作しています。
(一応Copilot+ PCのNPUを活用することで、一部の処理をローカルで高速に実行できる可能性はあるそうです)
つまり、これらのサービスを使う分には、AI PCであろうとなかろうと関係ありません。ややこしいですね。この手の話に慣れていない方は勘違いしやすいと思うので、気になる点として挙げておきました。
総じて品質の高い製品
はじめて新製品発表会に参加させてもらったわけですが、流石に発表会をするだけあって、品質の高い製品なんだろうなぁと思いました。実際にアプリを使うことはできませんでしたが、プレゼン中の画像生成などはサクサク動作していたので、心配はなさそうです。
実機も少し触らせてもらいましたが、画面も美しくいい感じ。キータッチは普段使っていないものなので、若干違和感を感じましたが、キーピッチは広いし、使っていればすぐに馴染むと思います。
何より、先にも述べましたがスタイリッシュだなぁという印象。それでいてパワフルなマシンなので、これ1台あれば十分戦える。13インチの画面が狭いと感じるなら、外部ディスプレイにつなげば問題ないでしょう。
お値段はちょっとお高めですが、それだけの内容は伴っていると思います。
AIを使うことを考えると、メモリや32GBは必須。それに最近のアプリはメモリ消費量がどんどん上がってますので、いずれにせよ長期間使うことを考えたら、やはり32GBモデルがいいでしょうね。
発売は9月27日からなので、もう注文は可能。気になる方はぜひチェックしてみてください。
コメント