メモリ価格高騰で「microSD復権」なるか?スマホとSwitch 2が示すストレージ戦略の転換点

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かつてAndroidスマホの代名詞だったmicroSDスロット。近年は「デザイン優先」「防水性能」「内部ストレージの大容量化」といった理由から、多くの機種で姿を消していましたよね。ところが2025年、メモリ価格の異常な高騰を背景に、このmicroSDスロットが再び注目を集めています。

さらに任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」が、新規格「microSD Express」を採用したことで、外部ストレージを巡る議論が活発化しているんです。そこで、この「microSD復権」の動きについて、スマホとゲーム機それぞれの視点から詳しく見ていきましょう。

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なぜ今、microSDが再び話題になっているのか

スマホから消えていったmicroSDスロット

2010年代後半から、特にハイエンドスマホではmicroSDスロットの廃止が進んできました。その理由は主に次の3点です。

まず、デザイン面での制約。防水・防塵性能を高めるには、できるだけ開口部を減らしたい。microSDスロットは設計上の「弱点」になりやすかったんです。

次に、内部ストレージの販売戦略。64GBモデルと256GBモデルで価格差をつけることで、メーカーは利益を確保できます。ユーザーが自由にストレージを拡張できるmicroSDスロットは、この戦略と相性が悪かったわけですね。

そして技術的な理由として、内部ストレージ(UFS規格)の高速化があります。従来のmicroSDカードでは、スマホの性能を十分に引き出せないボトルネックになる可能性がありました。

2025年のメモリ価格高騰という「異変」

ところが2025年、状況が一変します。最近、よく耳にすると思いますが、DRAMとNANDフラッシュメモリの価格急騰です。

背景にあるのは、生成AIブームによるデータセンター需要の爆発的な増加。Samsung、SK hynix、Micronといった大手メモリメーカーは、AI用サーバー向けの高利益製品に生産をシフトしています。その結果、PC用やスマホ用のメモリが品薄になり、価格が高騰する事態に陥りました。

DDR5メモリは2025年5月が底値でしたが、その後わずか半年で一部製品では最大2〜4倍に大幅値上げ。スマホ用のLPDDR5Xメモリモジュール(12GB)も、約30ドル台前半から約70ドル前後へと2倍以上に跳ね上がっています。

この価格高騰は、スマホメーカーにとって深刻な問題です。ユーザーから見た場合、内部ストレージの増量オプション(例:128GBモデルから512GBモデルへのアップグレード)に支払う追加料金は、ブランドによって最大200ドル程度に達するケースもあります。「128GBモデルと512GBモデルで5〜6万円の価格差をつける」という従来のビジネスモデルが、メモリ価格高騰によってさらに成り立ちにくくなってきているんです。

メモリ高騰がスマホ業界に与えている影響

メーカーが取りうる3つの選択肢

メモリ価格の高騰に直面したスマホメーカーには、基本的に3つの選択肢があります。

1つ目は「RAMやストレージ容量を絞る」こと。実際、一部メーカーでは4GB RAMモデルの復活を検討しているという報道もあります。ただし、これはユーザー体験の低下につながりかねません。

2つ目は「価格を上げる」こと。一部のPCメーカーは、すでにメモリ高騰を理由に20〜30%前後の値上げを発表しています。スマホでも同様の動きが広がる可能性があります。

3つ目が「外部ストレージ(microSD)を再導入する」選択肢。最低構成のモデルを手頃な価格で提供し、容量が必要なユーザーは自分でmicroSDを追加する、という形です。

コスト比較:内部ストレージ vs microSD

実際のコストを比較してみると、microSDの優位性が見えてきます。

例えば、執筆時点でのAmazon価格では、SamsungのmicroSD Express「P9 Express」の512GBモデルは約75ドル(約1万1000円)程度。一方、スマホの内部ストレージを256GBから512GBにアップグレードする際に、ユーザーが支払う追加料金は、メーカーによって大きく異なりますが、おおむね100〜200ドル前後が一般的です。

つまり、ユーザーが自分でmicroSDを買った方が、トータルで見ると安く済む可能性が高いんです。メーカー側も、高価な内部ストレージの搭載量を減らせるため、製造コストを抑えられます。

microSDは本当に「復権」するのか?

ハイエンド機種での復活は難しい

では、すべてのスマホでmicroSDスロットが復活するのか?答えは「ノー」です。セグメント別に状況を見ていきましょう。

iPhoneやGalaxy Sシリーズといったフラッグシップモデルでは、全面復活のハードルが高いと考えられます。

理由はいくつかありますが、まずこれらの機種はデザインと防水性能が重要な差別化ポイント。microSDスロットを追加することで、そのブランド価値が損なわれる可能性があります。また、高価格帯のモデルでは「内部ストレージの大容量化」自体が販売戦略の一部。ここを変更するのは容易ではありません。

ミドル〜ローエンド機種で実現の可能性

一方、ミドルレンジやエントリーモデルでは、復活の可能性が高そうです。

価格に敏感な層をターゲットにする場合、「RAMや内蔵ストレージを絞る代わりにmicroSDで補える」という構成は魅力的です。実際、AQUOSやarrows、OPPOといったブランドの一部モデルでは、現在もmicroSDスロットが搭載されています。

業界関係者の間では、2026年後半に登場する新機種から、microSDスロットを再搭載する動きが本格化するのではないか、という見方が広がっています。ただし、これはあくまで「検討段階」であり、すべてのメーカーが採用するわけではない点に注意が必要です。

愛好家向け端末という可能性

もう1つ押さえておきたいのが、ニッチな「こだわり派」向けモデルでの展開です。

交換可能バッテリーやイヤホンジャックなど、最近失われた機能を復活させた端末が一定の支持を得ています。microSDスロットも、同様の「差別化ポイント」として活用されることが考えられます。技術に詳しいユーザーや、データ管理に強いこだわりを持つ層には、確実に需要がありますからね。

Switch 2が先駆ける「microSD Express」という新世界

microSD Expressとは何か

もう1つの重要なのは「microSD Express」です。2025年6月に発売されたNintendo Switch 2は、「microSD Express」規格への対応を打ち出した初の大規模商用デバイスとなりました。

microSD Express(正式名称:SD Express)は、2019年に策定された新規格です。従来のmicroSDカードと最大の違いは、データの転送方式です。

従来のmicroSDカードは「UHSインターフェース」を使用し、最高でも約100MB/秒程度の転送速度でした。これに対してmicroSD Expressは、PCIe 3.0 x1インターフェースとNVMeプロトコルを採用。理論上の最大転送速度は約985MB/秒、実用レベルでも800〜900MB/秒の高速転送が可能です。

つまり、従来のmicroSDカードの約8〜10倍高速なんです。これだけの速度があれば、内部ストレージ(UFS 3.1規格など)に近い性能を発揮できます。

なぜSwitch 2はmicroSD Expressを選んだのか

任天堂がこの新規格を採用した背景には、いくつかの狙いがあります。

まず、ゲームデータの大容量化です。Switch 2世代のゲームは、グラフィック向上などで容量が増加しています。実際、大型タイトルでは60GB以上のストレージを必要とするケースも出てきています。

Switch 2の内部ストレージは256GB(UFS 3.1規格)ですが、これだけでは数本のゲームをインストールすると容量不足になってしまいます。かといって、内部ストレージを512GBや1TBに増やすと、本体価格が跳ね上がる懸念があります。

そこで任天堂は、「256GBの高速内部ストレージ + ユーザーが自由に追加できるmicroSD Express」という戦略を選択したわけです。これにより、本体価格を抑えつつ、拡張性を確保できました。

互換性の問題と市場への影響

ただし、Switch 2のmicroSD Express採用には、大きな制約があります。それは「従来のmicroSDカードでゲームを保存・プレイできない」という点です。

任天堂の公式サポートによると、初代Switchで使っていたmicroSDカードをSwitch 2に挿入しても、ゲームのインストールやセーブデータの保存には利用できません。ただし、Switch 1で撮影したスクリーンショットや動画の閲覧は可能とされています。つまり、Switch 2でゲームを遊ぶためには、新たにmicroSD Expressカードを購入する必要があるんです。

これは「アーリーアダプター税」とも呼ばれる負担です。執筆時点では、microSD Expressカードは従来のmicroSDカードと比べておおむね2〜3倍程度高価になっています。例えば、512GBの容量で比較すると、従来型なら5000〜7000円程度で入手できるのに対し、microSD Expressは1万5000〜2万円程度の価格帯となっています。

一方、任天堂の戦略は、「ゲーム機が新規格の普及を後押しする」という構図を生み出しました。Switch 2が世界中で数千万台売れれば、microSD Expressカードの生産量も増加し、やがて価格が下がっていく可能性があります。実際、Samsungは任天堂公式ライセンスのmicroSD Expressカード(スーパーマリオエディション)を発売するなど、市場が動き始めています。

スマホとゲーム機:外部ストレージの「意味」が違う

スマホにとってのmicroSD

スマホとゲーム機では、外部ストレージに求められる役割が大きく異なるという点が重要なポイント。

スマホの場合、microSDカードは主に「写真や動画の退避先」「音楽やオフラインコンテンツの置き場」として使われます。つまり、「速度」よりも「安く容量を増やせること」が重要。

実際、スマホユーザーの多くは、アプリやシステムは内部ストレージに保存し、メディアファイルだけをmicroSDに保存するという使い方をしています。この用途であれば、従来のmicroSDカード(UHS-I規格など)でも十分に機能します。

ゲーム機にとってのmicroSD Express

一方、Switch 2のような携帯ゲーム機では、事情が異なります。

ゲームのロード時間は、プレイ体験に直結する重要な要素です。遅いストレージを使うと、ゲーム開始時の待ち時間が長くなったり、マップ切り替え時に「now loading」画面が頻繁に表示されたりと、快適性が損なわれます。

だからこそ、Switch 2はmicroSD Expressという高速規格を採用したのでしょう。各種レビューやユーザー報告では、microSD ExpressカードでのゲームロードはSwitch 2の内部ストレージに近い速度を示したケースが報告されています。つまり、適切な製品を選べば「どこにゲームをインストールしても、体験がほとんど変わらない」設計を目指していることが伺えます。

同じ「microSD」でも求められるスペックが違う

このように、スマホとゲーム機では、同じ「microSDスロット復活」といっても、背景と目的がまったく異なります。

スマホでは、コストダウンと容量拡張を両立するため、従来規格のmicroSDカードでも十分に機能するでしょう。一方、ゲーム機では性能が重要なため、microSD Expressのような高速規格が不可欠です。

今後、もしスマホメーカーがmicroSDスロットを復活させる場合、どの規格を採用するのかが注目点になります。コスト重視で従来規格のままなのか、それともSwitch 2に続いてmicroSD Expressに対応するのか。メーカーの判断が分かれそうです。

外部ストレージ復活がユーザーにもたらすもの

メリット:柔軟性と経済性

ユーザー視点で見ると、microSDスロット復活には明確なメリットがあります。

まず、端末買い替え時のデータ移行が楽になります。microSDカードを抜き差しするだけで、写真や動画を新しい端末に引き継げます。クラウドストレージやケーブル接続での転送と比べて、圧倒的に簡単ですよね。

次に、容量不足への対応が柔軟になります。「本体のストレージが足りなくなった」と感じたら、カードを買い足すだけ。高価な上位モデルに買い替える必要がありません。

さらに、コスト面でも有利です。前述の通り、メーカーが設定する「ストレージ増量オプション」と比べて、自分でmicroSDを買った方が安く済むケースが多いです。

デメリット:品質のばらつきとトラブルリスク

一方で、注意すべき点もあります。

microSDカードは、メーカーや製品によって品質・速度にばらつきがあります。安価な粗悪品を使うと、データが破損したり、端末の動作が不安定になったりする可能性があります。

特にゲーム機の場合、この問題は深刻です。Switch 2でも、使用するmicroSD Expressカードの品質によってはロード時間にばらつきが出る可能性があるため、公式ライセンス品や信頼できるメーカーの製品を選ぶことが推奨されています。

また、microSDカードを紛失したり、物理的に破損したりするリスクもあります。暗号化やバックアップの設定をしていないと、大切なデータを失う可能性があるので注意が必要です。

OSごとの挙動の違いにも注意

もう1つ見落とされがちなのが、Android OSのバージョンによって、microSDカードの扱いが異なる点です。

古いバージョンでは、microSDカードを「単なる外部メディア」として扱いますが、新しいバージョンでは「内部ストレージとして統合」するオプションがあります。後者を選ぶと、アプリもmicroSDにインストールできる反面、カードを別の端末で読めなくなったり、端末との紐付けが強くなったりします。

どちらを選ぶかは使い方次第ですが、こうした仕様を理解せずに使うと、思わぬトラブルに遭う可能性があります。

フル復権ではなく「現実的な折衷案」として

「完全復活」ではない現実的な着地点

さて、これまでの情報を整理します。

スマホでのmicroSDスロット「完全復権」は、正直なところ現実的ではありません。ハイエンド機種では引き続き非搭載の流れが続くでしょうし、ミドルレンジでも「すべてのメーカーが採用する」という状況にはならないと思われます。

むしろ、現実的なシナリオは「ミドルレンジの一部機種+愛好家向けモデルでの復活」というものです。つまり、「選択肢の1つ」としてmicroSDスロット搭載機種が残る、という形ですね。

Switch 2の影響:規格普及の起爆剤

一方、Switch 2のmicroSD Express採用は、長期的に見て大きな意味を持つ可能性があります。

ゲーム機という巨大市場での採用により、microSD Expressカードの生産量が増加し、価格が下がっていけば、他のデバイスでも採用しやすくなります。スマホメーカーが「高速な外部ストレージ」を必要とする場面で、microSD Expressが選択肢に入ってくるかもしれません。

実際、一部のスマホメーカー内部では「microSD Express対応を検討している」という情報もあります。実現すれば、「内部ストレージ並みの速度を持つ、拡張可能なストレージ」という理想的な環境が整うわけです。

SDカード市場全体の活性化

こうした動きが、結果的にSDカード市場全体を再活性化させる可能性もあります。

過去数年間、スマホでのmicroSD需要減少により、カードメーカーの開発意欲も低下していました。しかし、Switch 2の大ヒットと、スマホでの復活の兆しが見えてくれば、状況は変わります。より高速で、より大容量で、より手頃な価格のmicroSDカードが登場する期待が高まっています。

まとめ:ストレージ戦略を見直すタイミング

2025年は、メモリ価格高騰という「外的要因」によって、スマホとゲーム機のストレージ戦略が大きく揺れた年でした。一度は「時代遅れ」と見なされたmicroSDスロットが、コスト面・拡張性・利便性という観点から再評価されています。一方で、microSD Expressという新規格の登場により、「遅い」「不安定」といった従来の課題も解消されつつあります。

ユーザーにとって重要なのは、端末選びの際に「内部ストレージだけで完結するのか、それともmicroSDカードを活用して柔軟に拡張するのか」を改めて考えることです。クラウドストレージとの併用も含めて、自分の使い方に合った選択をする時期に来ています。

今後、スマホの購入を検討する際は、「microSDスロットの有無」も重要なチェックポイントになるかもしれません。特にミドルレンジ機種を選ぶ場合、この点を見逃さないようにしたいですね。2026年以降、どのメーカーがどんな判断を下すのか、Switch 2の成功がスマホ業界にどう波及するのか、外部ストレージを巡る動きから目が離せません。

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この記事を書いた人
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スマホやタブレット、PC、ネットサービスなど、便利な使い方やトラブルシューティング、役に立つ情報まで、難しい言葉を使わずにわかりやすく解説しています。このブログを立ち上げたきっかけについてはこちらをどうぞ。

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