2025年9月現在、「2025年国勢調査のご回答について(重要なご案内)」という件名の詐欺メールが大量に出回っており、SNSでも「怪しいメールが届いた」という報告が相次いでいます。
この詐欺メール、一見すると総務省統計局から送られてきた正式な案内に見えるため、多くの人が騙されそうになっているのが現状です。しかし、実際には個人情報を狙った悪質なフィッシング詐欺です。
そこで、この国勢調査詐欺メールの見破り方と、万が一受信した場合の正しい対処法について詳しく解説していきます。
国勢調査詐欺メールの実態──巧妙に作られた偽装メール
まずは、実際にどのような詐欺メールが出回っているのかを詳しく見ていきましょう。手口を知ることで、より確実に見破ることができるようになります。
詐欺メールの特徴
SNSでは次のように、詐欺メールが届いたというポストが増えてきています。
さて、実際に届く詐欺メールには、次のような特徴があります。
- 件名:「2025年国勢調査のご回答について(重要なご案内)」
- 送信者:総務省統計局を装った偽の差出人
- 内容:オンライン回答を促すURLが記載されている
- 期限:不正確な回答期限が設定されている(多くはメール送信当日)
詐欺メールの文面は非常に巧妙で、実際の公的文書のような体裁を整えています。「法律により義務付けられている」「過料等の措置対象となる」といった文言で不安を煽り、急いで回答させようとするのが特徴的ですね。
偽サイトの目的
メールに記載されているURLをクリックすると、総務省の正式な「国勢調査2025キャンペーンサイト」を装った偽サイトに誘導されます。この偽サイトでは電話番号の入力と認証を求められるのですが、ここで電話番号を入力してしまうと、「詐欺メールに反応した使用中の電話番号」として記録される可能性があります。これにより、今後さらに多くの詐欺メールや迷惑電話のターゲットになってしまう恐れが高まります。
ちなみに、偽サイトにアクセスしてみましたが、次のようなページが表示されました。

非常に素っ気ない感じですが、ネットに不慣れな人だと騙される可能性はあると思います。特に、芸能人の写真を勝手に使うのは、信憑性を上げるための典型的なパターンですね(松平健さんもこんなサイトに使われて気の毒です)。
詐欺メールを見破る3つのポイント
詐欺メールがどんなに巧妙でも、いくつかの重要なポイントを知っていれば確実に見破ることができます。
1. 国勢調査はメールで回答を依頼することは絶対にない
最も重要なポイントがこれです。 総務省統計局も明確に「メールで調査への回答を依頼することは絶対にありません」と公表しています(参考:総務省統計局 「国勢調査をよそおった不審メールにご注意ください(PDF)」)。
国勢調査では、国勢調査員が実際に各世帯を訪問し、調査書類を直接配布する仕組みになっています。つまり、メールで回答を求められた時点で、それは100%詐欺だと断言できるわけです。
2. 不正確な回答期限
詐欺メールでは、URLへのアクセスを急がせるために不正確な回答期限が記載されています。多くの場合、期限をメール送信日または近い日付に設定しています。
しかし、2025年の国勢調査の正式な回答期限は「2025年10月8日」までです。この日付と大きく異なる期限が書かれていたら、詐欺メールの可能性が極めて高いと判断できます。
3. 文面の違和感
詐欺メールには、よく見ると以下のような違和感のある表現が含まれていることがあります。
- 誤字脱字(「制作」→「政策」など)
- 不自然な敬語表現
- 急いで対応するよう過度に煽る文言
- 記念グッズの進呈など、公的機関らしからぬ特典の提示
詐欺メールを受信した場合の対処法
もし詐欺メールが届いてしまっても、正しい対処法を知っていれば被害を防ぐことができます。
基本的な対応
もし詐欺メールが届いた場合は、次の手順で対処してください。
- メールは開かずに削除する(件名で判断できる場合)
- メールを見てしまった場合でもリンクは絶対にクリックしない
誤ってリンクをクリックしてしまった場合
万が一、リンクをクリックしてしまっても慌てる必要はありません。以下の対応を取れば大丈夫です:
- 何も入力せずにページを即座に閉じる
- 個人情報(電話番号、住所など)は絶対に入力しない
- ブラウザの履歴を削除する(念のため)
前述しましたが、特に電話番号を入力してしまうと今後のリスクが高まるため、絶対に避けるべきです。
国勢調査をオンラインで回答する正規の手順
国勢調査はオンラインでも回答も可能です。ただし、この場合は次の手順で行う必要があります。
- 郵送で届く「インターネット回答依頼書」を待つ
- 依頼書に記載されたログインIDを確認
- 正規のURLに直接アクセスするか、依頼書のQRコードを読み取る
- ログインIDを使って回答を開始
つまり、依頼書が届いていない状態では、正規のサイトにアクセスしても回答できないようになっています。これも詐欺との見分けるポイントの1つです。
なお、オンラインで回答する場合は、総務省統計局が運営する「国勢調査オンライン」サイトから行います。
まとめ:冷静な判断が身を守る鍵
国勢調査詐欺メールの手口は年々巧妙になっていますが、基本的な知識があれば確実に見破ることができます。
覚えておくべき最重要ポイント
- 国勢調査の回答依頼メールは絶対に送られてこない
- 正規の国勢調査は郵送による依頼書から始まる
- 怪しいと思ったらリンクをクリックしない
詐欺メールは「急いで対応しなければ」という心理を悪用してきます。でも、本当に重要な公的手続きであれば、メール一通で済ませることはありません。
もし疑わしいメールが届いたら、まず一呼吸置いて冷静に判断することが大切です。わからないことがあれば、総務省統計局の公式サイトで確認したり、家族や友人に相談したりするのも良いでしょう。