芸能人のLINE流出ニュース、たまに話題になりますよね。最近では永野芽郁さんや田中圭さんのお二人が、いわゆる「文春砲」にやられました。このようなケースは「芸能人だから狙われた特別なケースでしょ」と思いがちですが、実はそうでもありません。LINEの流出って、意外と身近なところで起こる可能性があるものです。
そこで、芸能人の事例をもとに、一般ユーザーが気をつけるべきLINEのセキュリティ対策をまとめました。「まさか自分が」と思わないために、知っておいて損はない内容です。
芸能人LINE流出事件の背景:なぜ「文春砲」はLINEの中身を知っているのか?
永野芽郁さんと田中圭さんのやり取りが週刊誌に掲載されたとき、「まさかLINEの中身がそのまま?」と驚いた方も多いでしょう。でもよく考えてみると、週刊誌がこうしたやり取りを手に入れるケースは何も今回が初めてではありません。いわゆる「文春砲」では、これまでにも芸能人や著名人のLINE流出が何度も報じられてきました。
では、なぜこうした「私的な会話」が週刊誌に漏れるのでしょうか?
「パスワードを突破するハッキング」のような高度なテクニックを思い浮かべがちですが、実はもっと身近でアナログな方法が多いのです。
実際にLINEが流出する経路は、意外にも「超身近」な手段ばかりなんですよね。代表的な例は次のようなものです。
トーク履歴送信の悪用
今回のように、LINEのやり取りが「そのままの文面」で雑誌に掲載されるケースでは、スクリーンショットではなくテキスト形式で提供された可能性が高いとされています。
LINEにはトーク履歴をテキストファイル(.txt)としてエクスポートできる機能があり、これを使えば過去のやり取りをまるごとメールやクラウド経由で送信することができます。
この機能はもともと記録やバックアップを目的とした便利なものですが、使い方次第では簡単に第三者に内容を渡す手段にもなってしまいます。特にスマホの操作を許した相手に悪用されると、気づかないうちに会話がそっくり抜き取られる危険性があります。
スクリーンショット(スクショ)による流出
トーク画面をそのまま画像として保存し、それを共有するケースです。特にグループLINEでは、メンバーの誰かがスクショを撮って外部に提供することが現実に起きています。画像として出回ることで、文脈や感情表現をそのまま伝えやすいという特徴もあります。
このように、LINE流出の多くは「技術的な突破」ではなく、「人間関係」や「設定の甘さ」といった基本的な落とし穴によって引き起こされていることが多いです。
つまり、こうした手口は一般ユーザーにも十分に起こり得るということです。
LINEが流出する主な原因と背景
トークの流出にはさまざまな経路がありますが、多くのケースでは「スマホやアカウントへのアクセス経路」が根本的な要因になっています。ここでは、特別なハッキング技術が使われるのではなく、スマホの設定の甘さや本人の油断が狙われているのです。
ロックしていないスマホやLINEアプリ
スマホ本体にロックがかかっていなかったり、LINEアプリにパスコードロックを設定していないケースは、流出原因として非常に多く見られます。また、ロックをかけていても、誕生日や「1234」といった単純な暗証番号では、簡単に突破されてしまうおそれがあります。
指紋認証を設定していても油断はできません。寝ている間に指をかざされるだけで解除されてしまう場合もあるため、過信は禁物です。
このように、一度スマホとLINEアプリのロックが突破されてしまえば、トークの中身は簡単に覗き見される可能性があります。さらには、会話を勝手に読まれたり、履歴を外部に送信されるリスクもあるのです。
他人へのスマホ貸与・放置
「ちょっと写真を撮らせて」「地図だけ見せたい」といった理由で、ついスマホを他人に手渡してしまう場面は少なくありません。ですが、その一瞬の油断がトークの流出につながることもあります。
たとえば、LINEが開いたままの状態で渡してしまえば、履歴を遡って読まれたり、内容を転送されたりしても気づきにくいものです。また、パスコードロックを解除したまま机の上に放置していると、周囲の誰かが操作できてしまうリスクもあります。
「すぐ返すから大丈夫」と思っていても、ほんの数十秒の操作でLINEの中身をチェックされたり、履歴を抜き取られたりする可能性は十分にあります。スマホは個人情報のかたまりですので、貸すときは必ずアプリを閉じたり、ロックをかけ直したりすることを徹底しましょう。
PC版・タブレット版LINEのログイン放置
LINEはスマホだけでなく、PCやタブレットからも利用できます。仕事や作業の効率化のためにPC版LINEを使っている人も多いと思いますが、ログイン状態を放置してしまうのは非常に危険です。
たとえば、職場や自宅の共有端末でLINEにログインしたまま放置してしまえば、他の誰かがその端末を使ってトークを覗き見することができます。PC版ではトーク履歴の確認やKeepの操作も可能なため、スマホ以上に「抜き取られやすい環境」が整ってしまうのです。
スマホのセキュリティに気を配っていても、PC側の管理が甘ければ意味がありません。使用後は必ずログアウトし、ログイン端末を定期的に確認する習慣が大切です。
LINE Keepやクラウドバックアップの管理不足
LINEにはトーク内の画像やメモを保存できる「Keep」機能や、トーク履歴をクラウドにバックアップする機能があります。とても便利な機能ですが、設定を誤ったり、アカウントが他人に操作されると、保存されたデータがそのまま流出してしまうリスクも。
たとえば、GoogleドライブやiCloudなど、外部クラウドサービスに保存されたバックアップデータが他の端末で復元されたり、Keepに残しておいた画像やファイルが第三者に閲覧されたりすることも十分に考えられます。
こうした情報は、スマホの中にあるLINEアプリだけでなく、クラウド上にも存在することを意識することが必要。不要なKeepデータは削除し、クラウドの連携設定やアクセス履歴も定期的に確認する習慣を持つことが大切です。
このように、LINEの流出はテクニカルな攻撃ではなく、「うっかり」や「確認不足」から起こるケースがほとんどです。だからこそ、スマホやアカウントの管理を見直すだけで、流出リスクを大幅に下げることができるのです。
流出させないために意識したいこと
トーク履歴の抜き取りやスクリーンショットによる流出は、機能の存在そのものよりも「それを可能にする状況」が問題です。つまり、「相手にスマホを触らせる」ことが最大のリスクであり、それを防ぐための意識や行動が何よりも重要です。
- LINEは他人に見られる可能性がある前提で使う
相手との信頼関係があっても、「見られて困る話」は避けた方がいいでしょう。公開されても問題ないレベルの使い方を心がけることが基本です。 - 会話の温度差に注意する
冗談のつもりで送ったメッセージも、第三者の手に渡ると「悪意」に変換されかねません。特に芸能人やインフルエンサーにとっては致命傷になることもあります。これはSNSへの投稿も同じですね。 - 物理的な油断をしない
トイレや会議中など、ちょっとの間スマホを放置しただけでも操作されてしまう可能性があります。ロックを徹底するのはもちろん、貸し借りの場面でも警戒を忘れないようにしましょう。 - 履歴が残らない・証拠を残さない配慮も時に必要
どうしても重要な内容を伝えたい場合は、LINE以外の手段や、通話を活用するのも一つの方法です。
LINEのセキュリティは、設定やアプリだけでなく、「人の心理」や「使い方の癖」からも守られていなければなりません。
今すぐできる!LINEのセキュリティ対策
では、どうすればLINEの流出を防げるのでしょうか。実際にできる対策をまとめてみました。
スマホとLINEにロックをかける
スマホを他人に操作されないよう、まずは本体のロックを徹底しましょう。指紋認証や顔認証、あるいは強固なパスコードを設定することで、第三者による不正操作を防げます。iPhoneを使っている場合、基本的にはFace IDが最も安全性が高いと思います。
さらに、LINEアプリ単体にもパスコードロックを設定することで、仮にスマホ本体を操作されたとしてもLINEの内容までは簡単に見られなくなります。
LINEにロックをかけるには、LINEの設定画面を表示し、「プライバシー管理」をタップします。「パスコードロック」をオンにし、表示された画面の指示に従って暗証番号を設定すれば完了です。次にLINEを開く際、暗証番号が求められるようになります。


設定する暗証番号ですが、「1234」や誕生日のような単純な組み合わせは避け、他人に推測されにくい複雑なものを設定するようにしましょう。ただし、自分が忘れてしまうとLINEを開けなくなってしまいますので、その点はご注意ください。
なお、生体認証が使えるスマホの場合、暗証番号を設定した後、「(生体認証名)でロックを解除」という項目が表示されます。この項目をオンにしておくと、暗証番号入力の代わりに生体認証でロックを解除できるようになります。

通知内容の非表示も忘れずに
スマホの画面ロックを設定していても、通知内容がロック画面に表示されてしまえば意味がありません。特にLINEでは、トークの内容がそのまま通知に表示されることがあります。
スマホを机の上に置きっぱなしにしているとき、画面に「〇〇:あの件どうなった?」なんて表示されていたら、それだけで十分に情報漏洩です。たとえ本人がロック解除しなくても、周囲に内容を見られてしまうリスクがあるのです。
LINEアプリの設定で通知内容を非表示にしておくだけでも、こうした物理的な情報漏洩を大きく防ぐことができます。
通知内容を非表示にするには、LINEの設定で「通知」をタップします。「メッセージ内容を表示」をオフにすれば通知でメッセージが表示されなくなります。


複雑なパスワードを設定する
LINEのログインパスワードが単純すぎると、第三者に突破されるリスクが高まります。特にLINEはPC版やタブレット版でも利用でき、スマホ以外の端末からもアクセスできるので、IDとパスワードさえ分かれば中身を見られてしまう恐れがあります。
「名前+誕生日」や、辞書にある単語のみなど予測しやすい組み合わせは避け、英数字・記号を組み合わせた12文字以上のパスワードを設定しましょう。
なお、以前はパスワードを定期的に変更することが推奨されていましたが、現在ではむやみに変更すると忘れるリスクが高まるため、頻繁な見直しはやめた方がいいとされています。つまり、はじめに複雑なパスワードを設定し、それを安全に管理することが重要です。
パスワードを設定するには、LINEの設定で「アカウント」を開き、「パスワード」をタップします。表示された画面で設定するパスワードを入力し、「変更」をタップします。


2要素(2段階)認証を有効にする
LINEアカウントへの不正ログインを防ぐためには、2段階認証の有効化が欠かせません。2要素認証を有効にすると、LINEアカウントでのログインを必要とするWebサービスを、パソコンのブラウザやLINEアプリをインストールしていない端末からログインする場合、画面に表示された認証番号をスマホ版LINEに入力する必要があります。
このように、パスワード以外の認証が必要になるため、より安全になるというわけです。2要素認証を有効にするには、LINEの設定で「アカウント」を開き、「パスワード」をタップします。表示された画面で設定する「Webログインの2要素認証」をオンにします。

同期している端末を定期的にチェックする
LINEはスマホとPCで同時にログインできる仕組みになっているため、うっかり放置した端末からトーク内容が覗かれるリスクがあります。もし、今自分が使っていない端末と同期されている場合は、すぐにログアウトしましょう。
同期デバイスを確認するには、LINEの設定で「アカウント」を開き、「他の端末と連携」をタップします。現在同期されている端末一覧が表示されるので、不要な端末があれば「ログアウト」をタップします。


身に覚えのない端末が表示されていた場合は、パスワードが漏洩している恐れがあります。この場合は、端末をログアウトするだけではなく、必ずパスワードも変更してください。
トーク履歴送信に注意
LINEのトーク履歴は、テキスト形式で外部に送信することができます。この機能は無効化できないため、スマホやアプリにしっかりとロックをかけ、他人に操作されないようにすることが最大の防御手段です。特にスマホを一時的に他人に貸す場面では注意が必要です。
見られたくないトークは削除
プライベートな内容や仕事上の重要なやり取りなど、見られたくない会話は用が済んだら削除するのがおすすめです。自分のスマホから消すだけでは相手側には残りますが、それでも自分の端末が他人に操作された際のリスクを減らすことができます。
用が済んだら削除するクセをつけておくと、いざというときに安心です。ただし、大切なことなので繰り返しますが、自分の端末でトークを削除しても、相手の端末には残ったままです。
LINE側から流出する可能性はない?
LINEの情報流出というと「スマホの使い方」に意識が向きがちですが、実はLINE(LINEヤフー)側のシステムや委託先からの流出リスクもゼロではありません。過去には実際に複数の事故が発生しています。
過去に起きた主な流出事故
- 2023年11月:サイバー攻撃により約44万件の個人情報が流出
韓国ネイバーの子会社の委託先PCがマルウェア感染し、そこからLINEヤフーにも波及。氏名や性別、年代、スタンプ購入履歴などが対象に。 - 2024年2月:旧LINE従業員約5.7万件の情報も追加で流出
前年のサイバー攻撃の影響範囲が拡大し、従業員情報まで影響を受けたと発表。 - 2021年:中国委託先によるアクセス問題
日本のユーザー情報に中国の委託先スタッフがアクセス可能だったことが判明。中国当局による情報取得の懸念も報じられました。
トーク内容の安全性とLINEの対応
LINEのトークや通話は「Letter Sealing(エンドツーエンド暗号化)」で保護されており、サーバーがハッキングされたとしても、トーク内容そのものが外部に漏れる可能性は極めて低いとされています。
ただし、アカウントの登録情報(氏名・電話番号・スタンプ購入履歴など)は、システムの設計や委託先の管理状況によっては流出のリスクがあることは過去の事例の通りです。
ユーザーができる対策
このように、LINEは過去に色々と問題を起こしています。個人的にLINEを積極的に使っていないのもこのようなことがあるためです。しかし、LINEはあらゆる場面で使われていますので、「やめられない」という人は多いと思います。そこで、最低限ユーザーがしておきたい対策があります。主に次のようなものでしょう。
- LINEに登録する個人情報は必要最低限に
- 不要な外部連携アプリの許可を取り消す
- LINEヤフーが公開しているセキュリティ情報や注意喚起を定期的に確認
プライバシーを守るには、スマホの使い方と同様に「サービス提供側に預けている情報がどこまでか」を意識しておくことも大切です。
まとめ:誰のLINEも流出しうる時代
LINEの流出は、もはや特別な話ではありません。芸能人のように週刊誌に載ることはなくても、家族や知人とのトラブル、職場での信用問題につながるリスクは十分にあります。「自分は大丈夫」と思わず、まずはスマホとアプリにロックをかけるところから始めてみてください。