突然の発表でした。マイクロソフトは 1月16日に、Microsoft 365 に同社の AI サービスである「Copilot」を追加することを発表しました。これにより、料金も上がる見込みです。また、厄介なのは色々とサービスが入り組んでいるので、それが整理できていないこと。そこで、個人向けプランの Microsoft 365 に Copilot が追加されることによって影響が出そうな範囲についてまとめてみました。
Microsoft 365 は値上げ(回避策あり)
Microsoft 365 は、Word、Excel、PowerPoint などのマイクロソフト製オフィススイートが使えるようになるサブスクリプションサービスです。買い切りの Office と違って、常時アップデートされ、最新の機能が使えるのがメリット。このサービスに、マイクロソフトの生成AI である「Copilot」が追加されることになりました。
これまで、Microsoft 365 の各アプリで Copilot を使う場合は、Microsoft 365 の契約以外に「Copilot Pro」という月額 3,200円のサブスク契約が必要でしたが、これが不要になるということです。
個人向けプランは約 45% 値上げ
さて、サービスが新しく追加されるので、その分の値上げとなります。個人向けプランは、1 ユーザーが使える「Microsoft 365 Personal」と、6 ユーザーまで使える「Microsoft 365 Family」がありますが、いずれも約 45% の値上げです。具体的な公式価格は次の通り。
- Microsoft 365 Personal
(旧価格)1万4,900円/年 または 1,490円/月→(新価格)2万1,300円/年 または 2,130円/月 - Microsoft 365 Family
(旧価格)2万1,000円/年 または 2,100円/月→(新価格)2万7,400円/年 または 2,740円/月
Copilot Pro を契約する金額よりは安いですが、それでも大きな値上げです(最近は何でも値上げだ!)。
なお、公式で契約すると高いので、Amazon のセールなどを狙って購入すると、もう少し安く買えます。
Copilot が不要なら据え置きプランに変更可能
すでに Microsoft 365 を契約している人で、Copilot が不要な人も多いと思います。そのような人は、料金据え置きの「クラシックプラン」に変更可能。こちらは Copilot を利用できないだけで、その他は今までと同じです。なお、このクラシックプランは期間限定とのこと。ただ、具体的な期間は明示されていないので、不要な人は早めの対応がおすすめです。
クラシックプランに変更するには、Microsoftアカウントのサービス & サブスクリプションにアクセスし、現在のサブスク契約を取り消したあと、クラシックプランを選択します。詳しくは、下のヘルプページを参照してください。
すでに契約している分は追加料金不要で Copilot は使える
年間プランを契約している人の場合、次回更新がしばらく先というパターンもあるかと思います。自分もそうです。そのような人の場合、次回更新までは追加の課金が発生することはありません。よって、更新が遠ければ遠いほどちょっとお得になるということですね。
Copilot の利用は月に60回まで
Copilot は、生成 AI を活用して日常業務やビジネスプロセスを効率化できるものです。しかし、今回追加された Copilot は無制限で利用できるわけではない点は注意したいところ。
Microsoft 365 に 追加された Copilot には、月に 60 回の「AI クレジット」が付与されており、Copilot を使うたびにクレジットが減少していきます。そして、この AI クレジットを使い切ると Copilot が利用できなくなってしまいます。AI クレジットは、Microsoft 365 すべてのアプリで共通。なので、使い切ってしまうのには注意が必要です。
ちなみにクレジットの消費例は次の通り。これらの操作のそれぞれが1クレジットとしてカウントされます。
- Wordで文章を生成する
- Excelでデータ分析を行う
- Outlookでメールの要約を作成する
- Designerで画像を生成または編集する
なお、AIクレジットは毎月1日にリセットされ、未使用分の AI クレジットは翌月へ繰り越せません。もちろん、使い切らなかった場合も料金が下がることはありません。
Family プランはさらに注意が必要で、AI クレジットはサブスクリプション所有者のみが利用可能で、他の家族メンバーと共有することはできません。
Copilot Pro を契約していた人はどうしたらいい?
前述の通り、Microsoft 365 に Copilot が標準搭載されるようになりました。よって、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote などの主要アプリで AI 機能を使うだけなら、Copilot Pro の契約は不要です。それでは、これまで Microsoft 365 の各アプリで Copilot を使いたいが為に、Copilot Pro を契約していた人はどうしたらいいのでしょうか?
Copilot Pro を契約して得られるメリット
今後、Copilot Pro の契約を続けて得られるメリットは次のような感じです。
- 最新 AI 機能への優先アクセスできる
Copilot Pro では、マイクロソフトが開発する最新の AI モデルや、標準版 Copilot には含まれない高度な機能を利用できることがあります。 - 業務や専門的な用途に高度なAI機能が必要
クリエイティブな業務(プレゼン資料作成、デザイン補助など)や、大量のデータを扱う分析業務を行う場合、Pro 版の追加機能が作業効率を大幅に向上させる可能性があります。 - サポートやアップデートへの優先的なアクセス
Pro 契約者は、マイクロソフトの優先サポートを受けられる場合があり、トラブルが発生した際の対応が迅速です。また、新機能への早期アクセスが可能になることもあります。 - AI機能を使い倒したい場合
標準版の Copilot には利用制限(AI クレジット)があります。一方、Copilot Pro は無制限で利用できるので、利用回数を気にせず AI を活用できます。
解約を検討する際のポイント
メリットはこのぐらいなので、次の内容に該当するなら解約を検討しても問題ないでしょう。
- 月ごとの AI クレジット内で利用が収まる
- Copilot は Microsoft 365 の各アプリでしか使わない
- AI を簡単なタスクにしか使わない
- プラス 3,200円の出費は大きいと考える
個人的に感じることは、Copilot は Microsoft 365 以外でも色々と展開しているのですが、それらを使わないのであれば、毎月 3,200円も払って契約を維持する必要は内容に感じますね。
Copilot Pro を解約する方法
Copilot Pro のサブスクリプションを解約する場合は、Microsoft アカウントのページで行います。
まず、Microsoft アカウントにアクセスし、「サブスクリプション」を開きます。その中にある「Copilot Pro」の「管理」をクリックします。
サブスクリプションの管理が表示されるので、「サブスクリプションのキャンセル」をクリック。あとは画面の指示にしたがって解約手続きを行ってください。
まとめ:サブスク契約を見直して節約しよう
Microsoft 365 に Copilot が追加される影響についてまとめてきました。いつも思うことですが、マイクロソフト系のサービスは入り組んでいて非常にわかりにくい。また、このような情報がまとまっているサイトがないので、調べるのに一苦労してしまいます。もう少しユーザーフレンドリーになってほしいものです。
Microsoft 365 の Copilot を実際に使っていますが、精度は他の Ai サービスと同等ぐらいで、まぁまぁ使えるかなぁといった感想を持っています。例えば、Word で簡単な構成を指示すれば、それに従ってきちんと下書きしてくれますし、PowerPointでスライドや画像の生成は割といい精度で行ってくれます。
ただ、過剰な期待は禁物だと思っています。最近、Copilot をやたらと異様なまでに持ち上げる記事を見かけますが、正直に言うと提灯な感じは否めません。実際に使ってみて、合うか合わないかを体感した上で、クラシックプランにするかどうかを検討するのがおすすめです。
また、Microsoft 365 に関わらない Copilot のサービスは、昨年のリニューアルでかなり改悪されてしまっています。これについては、次の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。
ちょっと厳しく書きましたが、今後は Copilot が盛り返してくることもあり得ます。AI サービスは競争が激しく、あっという間に優位性が入れ替わっているので、今後はどうなっていくかわかりません。そんな情報もお伝えしていくので、よければ定期的にチェックしてみてください。
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